プロローグ
花粉症の季節ですね。
ストレス発散小説です。
花粉が飛ぶ季節が来た。一年の中で、俺が最も嫌う最悪な季節だ。
「雌しべちゃーん! どこにいるのー!?」
「俺が一番雌しべちゃんを愛してるんだあああ!!」
俺たち人間の周りを飛び交う花粉。彼らの目的は一つ。雌しべという自分たちの運命の相手に誰よりも早く辿り着くこと。
だが、それは簡単なことではない。
「ぐあああ!!」
「花粉20563号!!」
「俺はここまでだ……。俺の分も頼んだ……」
「20563ゴウウウゥ!!」
時に水没したり、
「ちくしょう! せめて、あいつの分も俺が……! な、なんだここ!? 雌しべはどこなんだよ!?」
「20565号! バカやろう! そこは河原だ! 早く風に乗れ! そんなとこに雌しべはいねぇ!!」
「そ、そんな! くっ! 早く風に……そ、そんな……。石に囲まれていて、風に乗れない……」
「20565号!?」
「はは……。俺はここまでみたいだ。俺とあいつの分も頼むぜ」
「20565ゴウウウゥ!!」
時に、雌しべの無き土地に降り立ったり、
「ちくしょう……! ちくしょう……! せめて、俺だけでも! な、なんだ!? か、身体が吸い寄せられる!? うわあああ!!」
時に、人の体内に入り込んだりする。
そして、人の体内に入り込んだ花粉は人体の免疫機能を刺激し、とある症状を引き起こす。
「ぐああ!! 目が痒いいい!! 鼻水が止まらないいいい!!」
そう。花粉症である。
「おのれえええ!! 花粉めえええ!! 絶対にこの世界から一つ残らず消してくれるわあああ!!」
俺は重度の花粉症だ。だからこそ、ここに誓う。
必ずや花粉を打ち滅ぼすと。
だが、俺には力がない。力が無ければ世界を変えることも、何かを奪うことも出来ない。
力を持たない今の俺は、花粉に抗うことも出来ない雑魚。
「力がいる。花粉を打ち滅ぼせるだけの力が……!!」
俺は旅に出た。出口の見えぬ、途方もない旅だった。
その旅の果てに、遂に俺は手にした。人間を超越したとてつもなく強大な力を。花粉を駆逐できるだけの素晴らしい力を。
「くくくっ。ここからだ。ここからようやく俺の復讐が始まる。はーっはっはっはっは!!」
長く苦しかったプロローグはこれで終わりだ。
これから俺の物語は始まる。
誰にも邪魔はさせない。いや、邪魔をするものがいるならそいつ諸共消してくれる。
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