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銀河戦記/鳴動編 第一部  作者: 神崎理恵子
第一部
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第十一章・スハルト星系遭遇会戦 Ⅲ


 その頃第一艦橋では、スザンナ・ベンソンが、巡航速体制下における部隊の指揮を執っていた。パトリシアも副指揮官席に陣取っている。

 このところアレックスが席を外している時は、スザンナが指揮、パトリシアが副指揮という体制が続いていた。スザンナは艦の操艦だけでなく、艦隊の指揮能力もかなりの素質があり、パトリシアをも上回ることをアレックスは見抜いていた。それゆえに極力スザンナに指揮を任せるようにしていた。もっともパトリシアは艦隊の指揮よりも、作戦参謀としての能力が高い。適材適所ということで、この二人のコンビネーションはなかなかのものであった。巡航時と戦闘訓練ではこの二人に任せることが多かった。

「まもなくスハルト星系重力圏内に入ります」

「機関出力を惑星間航行出力へ」

 思えば……士官学校時代からずっとアレックスの乗る艦の操艦に携わってきた彼女こそ、女性士官の有能さを再認識させ、アレックスに女性士官大量登用の道を開いたといえるのではないか。部隊の指揮を執るアレックスの側には、必ず彼女の姿があったのだから。

 その時、突如として警報が鳴り響いた。

「哨戒機CPー402号機が、敵艦隊を発見」

「位置は?」

「スハルト星系第六番惑星軌道上にあって、恒星スハルトに対して丁度反対側を航行しています」

「警報! 司令に連絡を取って」


 艦内を警報が鳴り続けている。

 何事かと近くの端末に飛びつくアレックス。

 すぐさま艦橋に連絡される。

「艦長。ヴィジホーンに司令が出ておられます」

 ヴィジホーンに映るアレックスが尋ねる。

「どうした、スザンナ。敵来襲か」

「恒星スハルトの反対側に敵艦隊です。まだ、こちらには気付いていないようです」

「勢力分析図を、こちらのモニターに流してくれ」

「わかりました。ただちに送信します」

 ややあってから、アレックスから回答が返ってきた」

「今、受信した……」

「いかがいたしますか」

「そうだな……取り敢えず現在のコースを維持しつつ、恒星スハルトに対して常に点対称になるように、敵艦隊との相対速度を合わせろ」

「わかりました」

「今からそっちへ向かう。全艦に、第一種警戒体制を敷いておけ。パトリシアは、参謀全員を至急第一作戦司令室に招集させておいてくれ」

「はっ。第一種警戒体制を発令します」

「参謀全員を至急第一作戦司令室に招集します」

 スザンナとパトリシアがほとんど同時に答えた。

「よし。それまで、そこを頼む」

 通信がとだえるや、スザンナはアレックスに受けた命令を反復して、指令を出した。

「発令! 全艦に第一種警戒体制」

「了解。全艦に第一種警戒体制」


 女性士官居住ブロック。

 第一種警戒体制を告げる艦内アナウンスが続いている。

「というわけだ、レイチェル。査察は中止。一旦艦橋に戻るぞ」

「助かりましたね」

 と、肩をすくめるレイチェル。

「そう言うことだ」


 艦橋のパトリシアもゴードン以下の参謀達に連絡を取り始めた。

「全参謀に至急伝達。第一作戦司令室に招集」

「了解!」

 巡航体制での指揮は執ったことがあるが、臨戦体制はまだ経験のないスザンナであった。緊張して手に汗を握る状態ながら、それでもしっかりとした態度で指揮を執っていた。

「現在の我が部隊と敵艦隊の相対速度は?」

「はい。現在、速度ベクトルで、我が部隊の三パーセントのゲージダウンです」

「速度を上げる。機関出力増幅、8000デリミタ!」

 とにかくアレックスが来るまで、持ちこたえなければならない。

「ウィンディーネのオニール少佐から通信です」

「繋いでください」

「繋ぎます」

「よう、スザンナ。今、敵勢力分析図を受信したが、恒星系に、反対側からほとんど同時に進入したみたいだな。中佐殿は?」

「現在位置は、女性士官専用居住ブロック。急ぎこちらへ向かっております」

「女性士官居住ブロック?」

「定期巡回査察中だったようです」

「そうか……役得というところだな」

「ご用件は?」

「敵と交戦するかどうかを、確認したくてね。中佐は、何か言っておられたか」

「いえ。第一種警戒体制を発令するようにおっしゃられただけです」

「ふーむ……。ということは、どうやら一戦交えるつもりらしいな。今からそっちへ行く」

 通信を終えて、パネルスクリーン上に投影された、敵艦隊との相対図を眺めていたスザンナだったが、何を思ったのかコンピューターを操作しはじめた。


「これだけ接近していながら、双方のレーダーに引っ掛からなかったのは不思議ですね」

 スザンナが呟くようにいうとパトリシアが答える。

「双方の侵入角度が、たまたま恒星スハルトを点対称となす位置関係にあったからですね。間にあるスハルトが丁度邪魔をしているのでしょう」

「しかし、いずれ敵も哨戒機でこちらを発見するのは目にみえています」

「ともかく中佐殿が到着するまで、現在の位置関係を維持しましょう」

「そうですね。敵艦隊との相対速度を合わせます」

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