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銀河戦記/鳴動編 第一部  作者: 神崎理恵子
第一部
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第九章・コレット・サブリナ 犯人を捜せ V


「そう言えば、中佐が言ってたわね。スパイが侵入して、気づかれたために口封じに殺されたと」

 中佐の予見能力には評判がある。将来を見据えた先見の明を秘めた作戦能力は、誰もが賞賛している。

 この事件には共犯者が必ずいるはずだ。そうでなければ遺体を一人で運べるはずがない。

 それが潜入したスパイだとしたら……。

 ランジェリーショップの店員の証言から、カテリーナには男がいたかも知れない。その男がスパイだという可能性もある。

 仮にスパイが潜入したとしたら、その目的というものがあるはずだ。

 一番考えられるのは、昇進著しい艦隊司令官アレックス・ランドール中佐の素性調査しか考えられない。

 ランドール司令が、銀河帝国のスパイだと風潮されているのは周知の事実だ。

「ランドール中佐か……調べてみる必要があるわね」

 自分には乗員名簿を閲覧する権限が与えられている。相手が艦隊司令官といえども、捜査の必要性があるからには、閲覧を許されるはずだ。

 もう一度乗員名簿を閲覧する。


 次に開いてみたのは、ランドール中佐の登録情報であった。依頼主なのだから本来なら捜査範囲から除外してもよさそうであるが、すべてを疑ってかかるという性分と、同盟の英雄と称えられている人物を知りたいという誘惑にはかなわなかったのだ。


 アレックス・ランドール中佐。

 第十七艦隊独立遊撃部隊司令。

 高等士官学校スベリニアン校舎卒、戦術科戦術用兵専攻。

 模擬戦闘戦優勝指揮官に与えられる特進規定により少尉に任官、第十七艦隊第十一哨戒部隊配属。

 ミッドウェイ宙域会戦において、敵主力空母四隻撃沈その他多大なる功績により少佐に三階級特別昇進、独立遊撃部隊司令となる。

 カラカス基地において、揚陸戦闘機による奇襲攻撃により基地を奪取、敵艦隊を敗走させた功績により中佐に昇進。


「キャブリック星雲不時遭遇会戦では、訓練航海中にも関わらずたった四百隻で一個艦隊を撃退か……」


 まともな実戦経験が二度しかないのではそれ以上調べようがなかった。

 ため息をついて、士官学校時代の年譜に目をやった時であった。

「あれ!」

 そこにはコレットにとっては、意外な事実が記されていた。

 パトリシア・ウィンザーとの婚約、既婚者宿舎入居といった記録が並んでいたのである。改めて配偶者欄を確認してみると、副官のパトリシア・ウィンザーの名前が同居婚約者として記されている。


 同様にしてパトリシアのものを開いてみると、やはり配偶者欄にはランドールの名前が記されている。

「そうか、二人は夫婦だったのね」

 士官学校スベリニアン校舎卒業の者なら、パトリシアとアレックスが恋人同士だということは誰でも知っているが、同居婚約していることまでは知られていない。

 とはいえ、二人は夫婦であることを公表しておらず、艦内では宿房も別々に別れて生活していた。実質上の夫婦関係にある同居婚約者であれば、既婚者用宿房があてがわれて夫婦同室になれるのだが……。

 正式な婚姻ではなく、あくまで婚約関係である以上、艦隊内における待遇として既婚者扱いか独身者扱いとするかは、本人達の意志に従うことになっている。

「司令官と副官という関係上、夫婦であることを隠していたほうが、都合がいいってことは理解できるが……ともかく士官学校時代の記録を徹底的に調べてみよう」


「パトリシア・ウィンザー中尉。

 ランドール中佐の副官として就任中。

 士官学校スベリニアン校舎戦術科戦術用兵専攻首席卒業。

 特進少尉として第十七艦隊独立遊撃部隊配属、ランドール少佐の副官として着任。

 在学中にランドールと同居婚約の申請、受理されてなお継続中。

 佐官クラス既婚者用宿舎在宅資格所有。衛生班長。

 カラカス基地攻略戦において、作戦参謀として参戦。中尉に昇進」


「ジェシカ・フランドル中尉。

 航空参謀兼医務科衛生主任。

 士官学校スベリニアン校舎卒。戦術科航空作戦専攻。

 ランドール司令の要請により、独立遊撃部隊へ転属。

 カラカス基地攻略戦にて航空参謀として参戦、中尉に昇進」


「レイチェル・ウィング大尉。

 情報参謀兼主計科主任。

 士官学校ジャストール校舎卒、特務科情報処理専攻。

 独立遊撃部隊に転属申請し許可される。

 以降副官としてその部隊編成に尽力する。

 カラカス基地攻略戦及びキャブリック星雲会戦における情報収集の功績により昇進、大尉となる」

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