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銀河戦記/鳴動編 第一部  作者: 神崎理恵子
第一部
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第八章・犯罪捜査官 コレット・サブリナ Ⅳ


「続いての質問に入ります。ミシェールの膝に擦り傷があるのですが、その傷が何時ついたかご存じの方はいらっしゃいますか?」

「擦り傷ですか?」

「そうです。血が滲んでいたらすぐに判るほどの」

「ジムではずっと一緒でしたし、レオタードを着ていましたから、怪我していればすぐに気がついたと思いますけど……」

「他の方で、気づかれた方はいらっしゃいますか?」

 みんな首を傾げている。

 はて、怪我していたっけ?

 とばかりに。

 どうやら誰も気づかなかったか、或は生前には擦り傷はなかったかである。

「ではもう一点。部屋に一旦戻ったミシェールが、再びこのジムに引き返してきて、トレーニングしていたということは考えられますか?」

「そんなはずはないと思いますよ。ほんとに具合が悪そうでしたから」

「それにトレーニングは好きじゃありませんし、そんな元気があるくらいなら……ねえ」

 と同意を求めるように一同を見回す。

「実は、ミシェールには彼氏がいたんですよ。トレーニングするより彼氏の元にいっちゃいますよ」

「彼氏ですか……」

「そうそう。一目散ではせ参じますよ」

「ミシェールと特に仲の良かった人は、どなたか判りますか?」

「それなら、パトリシア・ウィンザー中尉です。士官学校では良く一緒に、共同研究とかもやっておられたようですから」

「ウィンザー中尉というと、司令の副官でしたよね」

「そうです。ミシェールについては、中尉が一番良く知っておられると思います。ただ今は艦橋勤務についていますからお会いできません。艦橋は一般士官は立入禁止ですから。もちろん捜査特権のある中尉殿でも例外ではありません」

「司令と中尉には、わたしの方から証言を聞ける機会を作っていただけるように言っておきましょう」

 レイチェルが言った。情報参謀として、艦橋には自由に出入りできて、司令にも進言できる身分だからである。

「ありがとうございます」

「ああ、ご存じかと思いますが、夕食時には食堂にやってきますが、艦橋勤務の者に対する取材や尋問は一切厳禁になっております。それが原因で、食事が満足に取れなかったり、交代に遅れるわけにはいきませんから。艦隊の運命を左右する重要な職務ですから、精神的負担を与えてはいけないのです。尋問は、非番になるか、その機会を与えられるまで控えてください」

 もちろん艦隊規則は重々知り尽くしているコレットであった。

「判りました……。中尉には後でお会いしましょう。ところで丁度主計科主任のウィング大尉がいらっしゃるのでお願いしたいことがあるのですが」

「どうぞ何なりとおっしゃってください。協力しますよ」

「このジムと、ミシェールの宿房を当面の間立ち入り禁止にしてください」

「いいでしょう、判りました。ミシェールと同室の者達は他の部屋に代わってもらいましょう」

「お手数掛けます。助かります」


 さて……。だいたいのことは確認できたようだ。勤務の始まる者もいるだろうし、全員をいつまでもここに足留めしているわけにはいかない。もっと突っ込んだ話しは、個別に明いた時間に尋問すればいい。

「今日はこれくらいで結構でしょう。何かあればお伺いしてお尋ねすることがありますけど、取り敢えず解散してください。どうもありがとうございました」

 ぞろぞろと部屋を出ていく証人達。

 やがて一人きりになって、考えをまとめはじめるコレット。


「さて、それぞれの証言をまとめてみると……」

 ミシェールはジムから部屋に戻るまでは生きていたが、食後のトレーニング開始時には死んで発見された。検屍では死後二時間程度ということだ。

 最後に見た者の証言では、かなりの体調不良で部屋にこもって食事も取らなかった。その時刻はスタジオで証言を取るとして……。ミシェールはアスレチックジムに行く気力もなかったようだ。それが何故ジムで発見されたかが問題だ。

 つまりこれが殺人だった場合、他の場所で殺されてジムまで運ばれた可能性が高くなる。だとすると殺害場所の特定と、遺体の搬送方法だ。

「殺害はミシェールのいた宿房というところだろうが、誰にも見られずに遺体をジムまでどうやって運ぶ……?」

 ミシェールの膝にできた擦り傷はその時にできたものに違いない。それは解剖ではっきりとするだろう。

「まずは、アスレチックジムから宿房まで歩いてみるか……。手掛かりはたぶん見つからないだろうがな……」

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