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銀河戦記/鳴動編 第一部  作者: 神崎理恵子
第一部
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第六章・カラカス基地攻略戦 Ⅲ


 優秀な参謀を持ちながらも聞く耳を持たずに一人よがりな作戦を実行する愚鈍な司令官も多いのである。その点自分では何も考えることはしなくとも、適材適所に優秀な人材を配置してまかせるということも、また司令官の采配の一つでもあった。

 戦闘の現場における実戦力の手腕に長けたゴードン・オニール大尉。

 艦載機などの航空兵力の運用に優れたジェシカ・フランドル少尉。

 図上演習から作戦立案に至る作戦の要の参謀役パトリシア・ウィンザー少尉。

 作戦を立てるに必要な情報収拾を担当するレイチェル・ウィング少尉。


「今回の作戦には私自身も戦闘機で出る」

「司令自らお出になられるのですか?」

「そうだ。現場ではどうなるか皆目見当がつかんし、敵勢力圏内で通信回線を通して作戦指令を出すこともできん。傍受されるからな。現場において戦況を逐一把握して、状況の変化に応じて的確な指令を出す必要があるからだ」

「しかし、万が一作戦が失敗したら……」

「その時は、敵地に進入した部隊は全滅。運が悪かったと諦めて艦隊を撤退するしかない。その時はゴードンに後をまかせる」

「いやですよ。そんな役目は」

「それはともかく、司令は戦闘機に乗れるのですか?」

「それが乗れないんだよ。士官学校の教練に戦闘機の操縦科目があるにはあったのだが、さぼっていたからな」

「では、どうなさるつもりですか」

「複座式の揚陸戦闘機ブラック・パイソンがあるから、その後ろに乗っけてもらうさ」

「誰に操縦させるのですか」

「ジミーやハリソン以外がいいだろうな。奴等の性格からして、後ろに司令を乗っけていると、腕が鈍る」

「それでしたら、ジュリー・アンダーソン少尉が適任でしょう」

 とパトリシアが進言した。

「ジュリーか……それもいいだろう」


「ジミー・カーグ中尉、ハリソン・クライスラー中尉が見えました」

「おお、来たか。通してくれ」

「はい」

 両中尉が席につき、無事に大気圏突破を果たした後の詳細な作戦の打ち合わせに入った。

 正面のパネルスクリーンにカラカス基地の全貌が投影されていた。

「これがカラカス基地の詳細図だ。右から、基地周辺の地形図、管制塔周辺見取り図、管制塔内の3D透視図面だ。基地攻略に必要なデータはすべて揃っている」

「司令、基地の詳細図など、どうやって手に入れたのですか?」

「軍事機密ですよ。ガードはとんでもなく固いはずです」

「ふむ……まあ、そこがレイチェルの情報参謀としての能力値の高さを示しているんだな。情報戦略においては一個艦隊に匹敵するだろう」

「司令、あまり買いかぶらないでくださいよ」

 ジェシカが謙遜して訂正する。実際に敵基地の詳細情報を収集したのは、天才ハッカーであるジュビロ・カービンという人物なのだろうが、そういった優秀な人脈を集め維持することも、その人なりの能力でもあるのだ。

「ともかくだ……。ジェシカ、作戦の概要を説明してくれ」

「はい」

 ジェシカがスクリーンの前に立ち、詳細図を指し示しながら作戦を伝達する。

「基地攻撃には、ジミー・カーグ中尉及びハリソン・クライスラー中尉を編隊長とする二編隊を投入します。カーグ編隊は、基地滑走路への強行着陸を敢行し、白兵戦により中央コントロール塔を占拠していただきます。クライスラー編隊は、基地コントロール塔以外への継続攻撃とカーグ編隊の援護を担当していただきます」

「了解した。白兵戦ならお得意だ」

「私の編隊は、ジミーが占拠した管制塔へ敵守備隊を近づけさせなければいいのですね」

「その通りです。中央コントロール塔への連絡通路などを破壊して敵守備隊を分断してください」

「これって士官学校時代の模擬戦闘の作戦まんまじゃないですか。戦艦と戦闘機との違いはありますが」

「まあな。レイチェル少尉とカインズ大尉を除けば、司令官も参謀もその時とまったく一緒だからな。なんたってこの部隊はスベリニアン校舎の士官ばかり集まっている」

 ゴードンが肩をすくめるようにして言った。

「しかし、今回は実戦だ。一度成功した作戦が二度うまくいくとは限らない。失敗は即死を意味するのだ。こころして掛かるように」

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