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銀河戦記/鳴動編 第一部  作者: 神崎理恵子
第一部
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第六章・カラカス基地攻略戦 Ⅰ


 パラキニアに到着した独立遊撃艦隊は、早速宇宙港に入港して損傷箇所の修繕と燃料補給を開始した。

 司令室で報告書に目を通しているアレックス。

「司令。艦隊司令部より入電です」

「こちらへ回してくれ」

「司令室に回線を回します」

 通信士に代わってトライトン准将の姿が映しだされた。

「よう。元気そうだな」

「はい。提督こそ」

「部隊の指揮統制はうまくいっているかね」

「今のところ順調にいっております」

「それは、良かった。早速だが、作戦指令が君の部隊に下された」

「初陣というわけですか」

「シャイニング基地より銀河中心方向、敵陣中にある補給拠点カラカス基地の攻略が、与えられた任務である」

「しかし、いくらなんでも……。いきなりカラカス基地攻略とは、よほど我が部隊に期待をかけていると見えますね」

「それは、皮肉かね。期待どころか、君の部隊を潰そうという魂胆だ。一切の部隊増援はなし、現有勢力の二百隻のみで、事にあたること。だそうだ」

「真意はともかく。部下達の士気統制のためにも、前向きに考えていかないとね」

「君は楽天家になれるな」

「とにかく、命令では仕方ありません。従うまでです」

「勝算はあるのかね」

「それは、これから考えます」

「そうか。作戦遂行に必要なものがあったら遠慮なく言ってくれ。出来る範囲内で極力用意しよう」

「頼もしいお言葉です。では、早速ですが揚陸戦闘機を五百機ほど調達してください。部隊増援は無理でも、戦闘機ぐらいなら大丈夫でしょう?」

「ほんとに早速だな。ということは作戦の骨格は掴んでいるということか」

「はい。カラカス基地の事は以前から脳裏にあったものですから」

「わかった。早速手配しよう」

「お願いします」

 通信が切れた。

 目の前の装置を操作して、カラカス基地の情報をディスプレイに表示するアレックス。

 今度の指令によって向かうこととなった、連邦の前線補給基地がある惑星カラカスが映しだされる。時折操作パネルをいじって惑星周辺の詳細な情報を取り出している。


 カラカス基地。

 連邦軍最前線機動要塞タルシエンから同盟へ侵攻する際における補給基地である。常時一個艦隊が常駐している。軌道上には強力な粒子ビーム砲を搭載した衛星砲台が十二基周回しており、全方位をカバーし必要に応じて地上から自由にコントロールが可能である。衛星粒子ビーム砲は、通常戦艦搭載のものより約二倍の長射程を誇って、総合火力は一個艦隊に匹敵するといわれ、近づくには相当の覚悟が必要である。

 アレックスは投影ポイントを惑星からかなり離れた場所へ移動させた。そこにはバークレス隕石群があった。その周回軌道は、惑星カラカスのそれとかなり接近したコースで交差するように通っている。六十年に一度の周期で、両者は近づき合うが、今年はその最接近の年にあたっていた。

「うーん。やはりここはジェシカが適任だよな……」

 通信機器を操作して艦橋にいるパトリシアに連絡をとる。

「ウィンザーです」

「済まないが、そこはスザンナに任せて、レイチェルとジェシカと共にこっちに来てくれないか? 作戦会議だ」

「かしこまりました。大尉殿達はよろしいのですか?」

「いや、君ら三人で十分だ。ゴードン達には作戦を煮詰めてからにする」

「わかりました」


 それから数時間後。

 カラカス基地攻略の指令が下ったことが、正式に部隊発表された。

「ちっ。どうせ、チャールズ・ニールセン中将の差し金だろうさ。躍進著しいトライトン少将と、配下の精鋭部隊指揮官であるフランク・ガードナー大佐や、アレックス・ランドール少佐に対する風当たりは、並み大抵なものではない」

「結局、派閥争いに巻き込まれたというところかな」

 艦内のあちらこちらで討論する隊員達。

「我々の指揮官殿は、この難問をどうやって切り抜かれるおつもりなのだろうか」

「一つ返事で引き受けたといわれるから、それなりに考えておられるのではないか」

「いくらなんでも、不可能じゃないかな。相手は守備の一個艦隊と軌道衛星砲が堅固に守っているんだ」

「例えば軌道衛星砲を無力化するとかさ」

「どうやってだよ。近づくだけも困難だというのに」

「そ、それは……」

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