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銀河戦記/鳴動編 第一部  作者: 神崎理恵子
第二部
265/267

第十七章・決闘 Ⅲ



 シルバーウィンド艦橋。

 すれ違いを終えて、後方確認をしていた副長が驚いて言った。

「見ましたか? サラマンダーの形状が変わっていました」

「ああ、居住区の円盤部を切り離したようだな。かなりの損傷を与えたようだ」

「損傷部を切り離して軽量化を図ったのでしょう。速力がどれだけ上がったかが問題ですね」

「いや。速力よりも旋回半径の方が問題だ」

「ランドール戦法ですか? ですが、艦の全長が短くなると、艦の操縦性と安定性が悪くなるのではないですか? 拳銃でも銃身の長い方が命中率が上がるみたいな。それに円盤部は回転によるジャイロ効果で姿勢安定効果を与えていましたし……」

 結論を出せないまま、オペレーターの声で中断した。

「所定の位置に付きました」

「コース反転せよ」



 両艦、反転して戦闘態勢に入った。

「どうだ? 操縦性能は把握できたか」

「大丈夫です。操作性はヘルハウンドと同等と思っていいと思います」

「そうか。機関出力は倍近くあるが、慣らし運転をしていないエンジンだ。最大出力の九割ほどにセーブしていけよ」

「了解しました」

 どういうことかというと、前方後円墳の状態では円盤部にあるメインエンジンで航行しており、前方部のロケットエンジン部は円盤部の中に格納されている状態だったのだ。いわゆる多段式打ち上げロケットを想像すれば分かる。

 おそらく進宙式後のテスト航行ぐらいしか、前方部エンジンは起動していないだろう。

「格納式三連式レールガンを出せ!」

「了解。三連式レールガンを出します」

 円盤部が接合されている時は、それが邪魔で使用不能だったのが、三連式電磁加速砲レールガンである。

 艦体の後部より可動式砲塔が繰り出して、レールガンを展開させる。

「レールガン展開完了!」

「超伝導発電機より、レールガンへ電力供給開始!」

「敵艦へ照準合わせ!」

「合わせます」

 砲塔が回って砲身が敵艦に向いていく。

「照準会いました」

「そのまま待て!」

 レールガンは非常用なので、発射体の弾数が少ない。

 適時的確に狙わなければ無駄撃ちになる。

「まもなく射程内に入ります」



 シルバーウィンド艦橋。

 スクリーンを指さして副長が尋ねる。

「あれは何でしょうか?」

 サラマンダーの後部に今まで見たことがなかったものが映っていた。

「拡大投影してみろ」

 クローズアップされる。

「あれは大砲か……? いや、レールガンだな」

「レールガン?」

「まずいな。レールガンにビームバリアーは無効だ」

「どうしますか?」

「敵艦の下へ潜れ! 急速にだ!」

 レールガンは艦の上側に設置されており、下に逃げれば撃てないだろうと判断したようだ。

「上部ミサイル口開け!」



「敵艦、下に潜るようです」

「なるほど、そう来たか」

「レールガンの死角に逃げようとしています」

 宇宙に上も下もないが、航行の都合上として銀河平面に対して左回転となる直交する方向を、習慣的に上としている。

「艦を百八十度ローリングさせる。急げ!」

 相手が下に潜るなら、艦を回転させて対応するようだ。

 ゆっくりとローリングを始めるサラマンダー。

 重力のある惑星上でローリングすれば大変なことになるが、無重力空間では何でもない。

「ローリング終了しました」

 回転が終了し、レールガンの射程には、ミサイル発射口が開いていた。

「撃て!」

 アレックスの下令と同時に、弾体が発射口へ、さらにミサイル貯蔵庫へと飛び込んでゆく。

 そしてミサイルが次々と誘爆を始めた。

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