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銀河戦記/鳴動編 第一部  作者: 神崎理恵子
第一部
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第三章・模擬戦闘 Ⅶ


 第十二番基地から、索敵レーダーの捕捉圏ぎりぎりの外側領域で待機するアレックス達。ミリオン達が第十二番基地を占領してから約五時間が経っていた。

 アレックスは隊員達に交代で休息をとらせながらも、最大速度で引き返してきたのである。

「どうやら無事に占領されたようだな」

「それって変な言い方ですね」

「そうかな。レイティをここに呼んでくれ」

「はい」

 やがて技術将校のレイティ・コズミックが艦橋に出頭した。

「モニターで見ていましたけど、いつもながら鮮やかでしたね」

「それはともかく。さっそく準備にかかってくれ」

「はい、はい」

 レイティは定位置について機器を操作した。

「パトリシア。隊員達の士気はどうか」

「はい。交代で休息しておりますので、気力は充分あります。先の第一次作戦の成功で士気は盛り上がっております」

「そうか、なら心配ないな」

 レイティが振り返って報告した。

「大丈夫。いけますよ。準備OKです」

「よし。基地のレーダー管制をこちらへまわせ」

「了解、レーダー管制をまわします」

「勢力分析図を投影」

「パトリシア。敵艦船の配備状況はどうか」

「はい、半数が燃料補給のために地上に降下しているようです」

「ということは、現在戦える戦力は互角というところだな」

「でもそれはあまり関係ないのでしょう?」

 持ち点の高い航空母艦と艦隊戦に使用できない突撃強襲艦を連れているために、アレックス達は戦艦数で半数であり艦隊戦では不利であった。しかし敵艦船の半数が地上に降下している今が攻撃のチャンスといえた。

「まあな。さておっぱじめるとしようか」

「はい」

「レイティ、基地の無線を封鎖しろ」

「はっ。無線封鎖します」

「パトリシア。全艦に、ミサイル発射準備だ」

「はい」


「敵はこちらを捉えることすらできないが、こちらは目標をロックオンしてミサイルを発射できる」

「敵は驚くでしょうね」

「全艦、ミサイル発射準備完了しました」

「よし。ミサイルを敵艦に目標ロックオン」

「ミサイル、目標ロックオンします」

 パネルスクリーン上にミサイルの制御数値が表示され、刻々と変化していた。

「上下角微調整一・七秒」

「全艦。発射体制に入りました」

「ようし。叩きこんでやれ」

「はっ。全艦、ミサイル発射」

 全艦から一斉にミサイルが発射される。


 ミリオン達の背後をミサイルが襲った。

「艦尾にミサイルです!」

 オペレーターが驚愕の声を上げて報告する。

「なんだと!」

 ミリオンが驚いてオペレーターの方向を向いた途端に、ミサイルが舷側に命中して炸裂音が艦内に轟く。

「警報!」

 金切り声でミリオンが叫ぶ。

 艦内に突然鳴り響く警報に、あたふたと自分の持ち場へと走りまわる隊員達。一体何事が起こったのかと、事態の収拾がつかめない表情。

 ミサイルといっても炸薬のない模擬弾であるから、艦が多少へこむくらいで直接な被害は及ぼさない。しかし模擬戦用にシュミレートされた艦のコンピューターは、実弾だった場合の被害想定を算出して、艦橋のモニターに仮想被害結果を映しだす仕組みになっている。

「左舷に損傷。被害は軽微」

「管制レーダーに敵影は?」

「いえ。一艦たりとも映ってはいません」

「馬鹿な。基地の管制レーダーは艦船に搭載されているレーダーよりはるかに索敵能力があるのだぞ。今のミサイルは明らかに目標ロックオンされている。敵は管制レーダー捕捉圏内に入らねば、我が艦隊を目標ロックオンできるわけがない」

「しかし、敵は間違いなく我が艦隊の位置を正確に捕捉しております」

「なぜだ!?」

「わ、わかりません」

「ミサイル第二波がきます。第三波、続いています」

「待避せよ、取り舵三十度だ」

 艦はゆっくりと旋回をはじめるが、その待避先にもミサイルが飛んでくる。

「しまった! 待避行動を読まれた」

 次の瞬間、艦内の照明がすべて消えて真っ暗になった。機器の点滅する光だけが闇を照らしている。

「貴艦ハ撃沈サレマシタ。コレヨリ戦列ヲ離レマス」

 艦内のコンピューターが告げていた。

 やがて再び照明がついたかと思うと、自動運行装置が作動して、ゆっくりと戦列を離れはじめた。

「やられましたね」

「ああ……」

 ミリオンは、軌道上に残った艦隊が次々と姿なき敵艦隊に撃滅されていく様を、モニターに食い入るように見つめていた。

「あ、最後の艦が落とされました」

「負けたな……」

「そうですね」

 やがてモニターに、勇壮と進駐してくるアレックスの艦隊が映しだされた。

 基地を占拠していた連中が、事態をすべて把握して降伏勧告を受諾したのは、それから二十分後であった。

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