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銀河戦記/鳴動編 第一部  作者: 神崎理恵子
第一部
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第十五章・収容所星攻略 Ⅰ


 パトリシアは副指揮官リーナ以下の参謀達を作戦室に招集して、タシミール収容所の状況と作戦の概要を説明した。

「これが今回の作戦の目的地のタシミール収容所です」

 スクリーンに情報部よりのタシミール概要を表示させた。

「ここに同盟の捕虜数千人が収容されているという情報があります。我々はここに進軍して事実確認をすると共に、情報通りなら捕虜を救出します」

「その情報というのは、どこから出たのですか? 情報参謀のウィング少佐ですか?」

 リーナが尋ねた。

「いえ。ウィング少佐の情報部ではありません。統合軍直属の情報部よりのものです」

「となると信憑性はかなり低いですね」

「信頼性ないですからね、統合軍は。何たってランドール提督を落としいれようとしている連中ばかり集まっているんですから」

 ジャネットがさもありなんといった表情で答える。

 うんうんと皆が頷いている。

「とにもかくにも任務です。情報通りと考えて行動するよりありません。そして捕虜という人質がいますので、電撃的速攻であたらねばなりません」

「電撃的速攻と申されても、それには敵に悟られることなく接近、戦闘を開始するしかありません。どうなさるおつもりですか?」

「我々の接近を直前まで知られないために、Pー300VX特務哨戒艇を使って敵艦隊の動静を探り、一気に行動を起こします」

「特務哨戒艇?」

「Pー300VX?」

 一同が首を傾げた。

 Pー300VXは、戦艦搭載の索敵レーダー能力の十倍以上の索敵レンジを誇る、超高性能の索敵レーダーを搭載した哨戒艇である。戦闘用の艤装は一切なく、エンジンを除けば、挺身のほとんどが最新最高性能の索敵レーダーと電子装備で占められていた。秘密兵器は索敵レンジの広さだけではない。敵の索敵レーダーなどの探査波が到来してきても、川面に頭を出した岩に当たった水の流れのように、特殊な歪曲場シールドがそれをすべて後方に透過させて、哨戒艇自身が発見されることを防いでいた。とりもなおさず可視光線さえも透過させるので、その艦影を視認することさえも不可能であった。

 これを開発したのは、技術部開発設計課にいたフリード・ケイスンであった。

「ほんとに何でもできるんだな」

 とアレックスを感心させる天才科学者である。

 しかし哨戒艇の発案者はパトリシアであった。

 キャプリック星雲遭遇会戦の教訓をもとに、いかに索敵が重要かを身に沁みて実感していたパトリシアが、哨戒艇の原案をフリードに説明して開発研究を依頼し、アレックスに具申して五隻ものPー300VXの導入を実現させたものだった。基本的にサラマンダー以下の旗艦・準旗艦にそれぞれ一隻ずつ配属させていた。

 最新鋭高性能な哨戒艇ではあるが、反面その製造コストも莫大で、戦艦百二十隻分にも相当すると言われている。共和国同盟の新造艦艇リストに加えられ、詳細性能が公表されても。それを進んで導入する艦隊は少なく、せいぜい一艦隊に一隻か二隻ほどしか配属されていなかった。哨戒など数隻の駆逐艦を索敵に出させば済むことだと、高価な哨戒艇よりも戦艦百二十隻の方を選択するのが当然であった。

 パトリシアは今回の任務に、その貴重な哨戒艇を三隻も借りて連れてきていた。


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