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銀河戦記/鳴動編 第一部  作者: 神崎理恵子
第一部
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序章・銀河の争い

作戦を立てることは誰にでもできる。

しかし、戦争ができる者は少ない。

なぜなら、状況に応じて

行動することは

真の軍事的天才だけに

可能なことだからである。

最上の戦術家が将軍として、

ともすれば凡庸であったりするのはそのためである


ナポレオン・ボナパルト


序章


 銀河系は、肉眼でも観察されるように恒星や惑星や星雲などのように星間物質が重力収縮によって濃密に密集し形成された無数の星々によって構成されている。

 それらの星々の間の一見何もないかのような空間にも僅かながらも重力収縮で残された希薄な星間ガスが存在する。星間ガスは収束や拡散を繰り返しながら銀河面方向に流れている。

 ところが、銀河の中心には巨大な銀河ブラックホールの存在があり、それが及ぼす重力と銀河の回転により星間ガスの流れに波動が生じる。その波動によって、銀河には星の密集した空間と星のない空間が渦巻状に並んで、腕とよばれる構造をなしている。


 この腕の発生は、地球上において重力・自転・温度差などの影響によって、大気が循環しジェット気流が蛇行して低気圧や高気圧の発生が促されたり、熱帯雨林帯・中緯度乾燥地帯などが発生したりすることを考えると理解しやすい。

 上昇気流の生ずる低気圧下では雲が発生し、下降気流の生ずる高気圧下では雲が消失する。

 これと同様なことが宇宙規模で恒星の発生と消失が繰り返されて、あの銀河の腕として観察されるのである。

 波動によって生じた衝撃波が恒星を消滅させる結果として、星のない空間が渦巻状にできるというわけである。

 地球のような球体表面上での大気循環では、緯度の変化によって雲の発生に違いがでるが、偏平銀河面ではそれが渦巻状に引き起こされる。


 人類が自分達の生まれた母太陽系を飛び出して、宇宙空間に進出しはじめた銀河開拓時代、人々は銀河の腕に沿って星々を渡り歩き、その生息域を広げていった。

 星をも消滅させるほどの衝撃波の存在や航続距離の問題によって、星のない空域は通常航法や当時のワープ航法だけでは航行不可能であったからだ。

 いわゆる大河の激流の中を丸太の筏で川を渡ろうとするようなものである。

 しかし、どんな激流でも浅瀬があったり淀んだ箇所が必ずあるように、人々は永い年月を経てついに航行可能な宙域を発見したのである。

 そこに誘導ビーコン灯台を設置したりしてより安全に航海できるような工夫が随所に施されるようになった。それらの橋を拠点として銀河は開発されていき、百年を経たないうちに全銀河に人類は行き渡ったのである。


 大河を渡る橋は、時として戦争の際には重要な拠点となる。


 やがて勃発した第一次銀河大戦において、橋を制するものが戦争を制すると言われるとおり、それらの橋をめぐってのし烈な戦いが繰り広げられた。

 すべての橋を手中におさめて第一次銀河大戦を勝利し、全銀河を統一したアルデラーン公国の君主は、銀河帝国の成立を宣言し初代皇帝として君臨した。

 銀河帝国はおよそ三百年の長きに渡って安定した基盤を確保していたが、大河を一瞬にして渡ることの出来るハイパー・ワープドライブ航法とそれを可能にする新型ワープエンジンの発明によって、もはや橋は必要性を失い帝国の基盤も揺るぎはじめた。


 帝国暦三百五年、ついに第二次銀河大戦が勃発する。


 豊富な資源と経済力で力をつけてきたトランターを中心とした地方の豪商達が、帝国支配からの独立を企てようとし、これを阻止しようとして帝国軍隊を差し向けたのがきっかけである。

 一時的には鎮圧されはしたものの、豪商達は密かに賛同する地域を集めて共和国同盟トリスタニアを樹立し、軍隊を組織して帝国に反旗を掲げたのである。

 戦いは三十年続き、資源と経済力で優位にあった共和国同盟は、強力な火器と高性能のハイパー・ワープドライブエンジンを搭載した最新鋭戦艦を続々と投入して、旧式戦艦の帝国艦隊に圧勝し、ついに独立を勝ち取ることに成功した。

 敗れた帝国はその弱体化をしめしたことで、やがて軍事クーデターを起こした将兵達によってさらに分裂、軍事国家バーナード星系連邦が誕生する。

 こうして銀河は、帝政銀河帝国と議会民主制共和国同盟と軍事国家バーナード星系連邦の三つに分裂したのである。


 それから十数年後、バーナード星系連邦と共和国同盟との間に戦争が勃発、以来百年の長きに渡って戦いが繰り広げられているのであった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 読みにくいです。ちょっと無理 なんでいちいち改行を入れてるんですかね。。。 たまにこういうWebのことを知らない人は目にしますが、スカスカの小説ならまだ我慢できるものでも、がっつり系の…
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