2人の王様
(またまた)前回から間が空いてしまいました…
最後まで読んだもらえると嬉しいです。
「……まじか」
優斗は唖然として、その王様(仮)を二度見した。
モブだと言わんばかりの見た目…それから話し方。もう少し偉そうにできないのかな、『王様だよっ』って……かわいいかよ。
と心の中で思っているうちに、王様の中で話は進んでいたようで。
「それで、何の用?」
「あの、僕たち忙しいんだけどなぁ」
生意気な少年のような話し方をするおじさんを王様A、間延びする話し方をするおじさんを王様Bとしておこう。
「俺の名前はユウト。まぁ遠い所から来た。訪れたのは他でもない、このロクでもない理由で始まった戦争をやめさせるためだ」
ドドーン、という効果音がつきそうな勢いで言い切った事に、少し恥ずかしいと思いながらも早く解決できるように、と頭を回転させていた。
「はぁ……俺の名前はライト。あと、ロクでもない理由とかいうな。大事なことだ。うん」
王様A……改め、ライトはそう言った。
自分で言った理由に納得して大きく満足気に頷いてるとこが少しイタイ。
「僕の名前はレフト。ロクでもなくないよ、大事だよ。……うん」
王様B…改め、レフトも自分で言った理由に納得して大きく頷いている。
それにしても、ライトとレフトとはいかにもモブキャラっぽい名前だな……と優斗は思った。
「……いかにもモブキャラっぽい」
「んだとコラァ!」
「別にモブキャラっぽくないもん」
それぞれの言い訳。ただ、ライトに関してはもうモブキャラのチンピラにしか思えない。
「あーまぁ、名前のことに関してはすまない。ただな、私的な理由で部下たちを傷つけるのもどうかと思うんだ」
「おう」
「申し訳なく思ってるよ〜」
素直すぎて驚き、あともう一押しでいける、と思った優斗は、さらに言った。
「ほらその……現実でも嫁……探したら?」
「………」
返事が無いことを不思議に思い、2人を見たら。
泣いていた。
「わかってるし」
「いちいち指摘しなくてもいいでしょ〜!」
また振り出しに戻りかけた。
なるほど、現実のことに触れるのはご法度のようだ。
ならば…と優斗は切り札を使った。
「お前らの嫁も、この戦争を起こしたと知ったら泣き始めるぞ!」
その一言で、王様達はピタリと泣き止み、すんなりと。それはもうすんなりと、こう言った。
「そうか。あいつが…悲しむのか」
「ではこの戦争は終わりにしましょ〜」
そう2人が言った後に。
「「はい、止め」」
その一言を言い放った。途端に、周りで聞こえていた銃声はしなくなっていた。
「わお、さすが王様」
「だから王様だっていってるじゃん」
「だから王様だっていってるのに〜」
2人は何か愚痴を言っていたが、本当に凄かった。
あんなにすぐ命令が通るとは、思わず優斗も感心したほどだ。なにより、力の行使で言いくるめるようなことにならなくてよかった、と安堵した。
「そろそろ俺は、この世界にいて3時間経つな……」
この世界にいれるタイムリミットは刻々と迫ってきている。
「じゃ、俺は帰る。もともと、この戦争を終わらせてくれ、としか頼まれてないしな」
「へぇ、そっか。帰るんだ……」
「帰っちゃうんだ……」
さっきの命令を除いて、最後の最後まで王様らしくなかった。別れの時まで名残惜しそうにずっと見ていたから。
「帰るんだよ。まぁなんだ、ともかく戦争を止めてくれてよかったよ」
戦争の原因も彼らなのだが。
「そっか、今度は自分たちでケリをつけるようにする」
「ちゃんと、話し合いで決めることにするよ〜」
「あぁ、そうしてくれ」
そろそろ人目のつかないところに行かないと、目の前で消えることになる…と思い、優斗は早く帰れるように急いだ。
「じゃあライト、レフト、また。何処かで」
「気をつけて帰るんだぞ」
「またね〜」
「ん、またな」
これでこの世界でやること はおわったので、建物の裏に行く……途中で消えた。
「なんか今消えなかったか?!」
「うん、消えた……」
2人の王様が、優斗が消えたところを目撃して騒ぎになるのはまた別の話……
優斗は無事、家の目の前に帰ってきた。
「なんだかんだ言って楽しかったなー、あの世界」
そう言い、1人満足気に伸びをした。
「さて、また明日にでもどこか行くか」
そう言い、また普段の日常に帰っていった。
いかがだったでしょうか…?
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