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第6話 その沈黙は肯定と取りますよ


沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます……‼︎


今後も頑張りますので、よろしくお願いします‼︎







という訳で婚約式です。



一応、婚約式だけは我がエディタ王国の教会で、身内だけの厳かな雰囲気で終わったのですが……その後の婚約パーティーが問題でした。

知り合いだけがよかったのですが、なんだかんだと言って互いの家はそれなりに有名なので……急にも関わらず、人が多いです。

ガーデンパーティーの立食形式なんですが、人が多いです。

僕とミーシェは控え室にて、窓から庭を見て溜息を漏らしました。


「もう少し人が少なければよかったんですけど」

「それは無理ですよ……だって、ルーク様のお父様は《ドラゴンスレイヤー》だし、私のお父様は王弟だよ?」

「ですよねぇ……ミーシェの可愛さをあまり、他の奴に知られたくないんです。僕のものだって宣言できるのは嬉しいんですけど……」

「………あぅ…」


頬を真っ赤にして目を伏せるミーシェの可愛いことやら‼︎

あ、ちなみに……今日の僕は紺の正装アクセントで琥珀色のカフスやネクタイピンなどを使っています。

本当はミーシェの瞳の色にしたかったのですが、彼女の瞳は鮮やかな琥珀。

そんな色の正装はないので、仕方なく小物で我慢しています。

逆に、ミーシェは僕の瞳の色である少し大人っぽいワインレッドのドレスです。

五歳児には少し大人っぽ過ぎると思いきや……ミーシェにぴったり過ぎて逆に驚きましたね。

美しさ倍増です。


「まぁ、二人が仲睦まじい姿を見せれば余計なことを考える奴も減るというものです」

「怪しそうなのはワタシ達が監視しているから、二人はただ笑っているがいい」


シゥロとククリはそう言いながらミーシェの髪飾りを直したり、紅茶のお代わりを用意してくれたりしました。

僕はふと聞いてみます。


「僕達が結婚する時にシゥロ達も一緒に結婚しますか?」

「うわぁ、それはいいアイデアです‼︎」


ミーシェが目を輝かせながら、シゥロとククリを見ます。

ですが、シゥロはニコッと笑いました。


「いえいえ、ご気遣いなく。ククリはお嬢様が結婚してからでないと結婚しないと言っているので」

「仕方ないだろう。お嬢様はワタシ達の妹のようなもの。幸せを見届けてからでないと、結婚など……」

「と言ってますので成人したら直ぐにデキ婚に持ち込みますから、先に結婚しますね」

「ふぁっ⁉︎」


ククリは初めてそれを聞いたのか、顔を真っ赤にして固まります。

僕とミーシェは互いに顔を見合わせて……グッと親指をサムズアップしました。


「頑張って下さいね、シゥロ」

「その時は私もお祝いします‼︎」

「ありがとうございます、お嬢様。ルーク様」


中々に男前な性格してましたね、シゥロ。

顔を真っ赤にしてますが拒否しないってことはククリも受け入れてますよ。

ファイト、シゥロ‼︎

そんな会話の最中、トントントンと扉がノックされました。


『ルーク様、ミシェリア様、そろそろお時間です』

「はい」

「分かりました」


僕はミーシェの手を取り、歩き出す。

庭に着く前に、僕は彼女に語りかけた。


「ミーシェ。場合によっては僕はミーシェに嫌われるかもしれません」

「それはないです」

「………即否定ですか」

「……はい。ルーク様が腹黒でも、人殺しでも、なんでも私が嫌いになることはないです。どんなルーク様も愛してますから」

「……………」


なんということでしょう‼︎

ミーシェはどんな僕でも愛してくれるなんてっ……‼︎

受け入れてくれるなんて……嬉し過ぎて泣きそうです。


「ミーシェには敵いませんね」

「……ありがとうございます?」


キョトンとする彼女の手の甲にキスをして、柔らかく微笑む。

そうすれば彼女は頬を真っ赤にして……あぁ、可愛い。








そうして、僕は可愛い僕のお姫様を連れて庭に出た。


突き刺さるような視線を笑みで躱して、ゆったりと微笑む。

「あの余裕は六歳児じゃない」とか聞こえますけど、それはそうでしょう。

僕は……僕だ。



「本日はお集まり頂きありがとうございます。わたし、ルーク・エクリュはマグノール帝国にあるレティアント公爵家令嬢……ミシェリア・レティアント嬢と婚約することとなりました。今後ともどうかよろしくお願い致します」

「ご紹介に預かりました、レティアント公爵家の長女ミシェリアと申します。ルーク様を支えていけるよう、よき婚約者として邁進していきますので、よろしくお願い致します」



年齢にそぐわない挨拶をしたことで、その場にいた人達から驚きが漏れる。

それを見て、両親達は苦笑していた。


「では、俺達の可愛い子供達に祝福があるように」

「精霊達。貴方達なりの祝福を見せてあげて」


父上と母上がそう言って空に手をかざすと、淡い光が飛び回り空から柔らかな白い花弁が降ってきた。

まるで結婚式のようなフラワーシャワーに、僕とミーシェだけでなく……その場に参加していた人達さえも驚いていて。


『おめでとー‼︎』

『やったね〜‼︎』


なんて精霊達の方が大盛り上がり。

母上はクスクスと笑って、教えてくれた。


「きっと、この感じだと結婚式には大精霊か精霊王がしゃしゃり出てきそうね?」

「精霊王に対してしゃしゃり出る」

「だって、私達の結婚式の時はそうだったもの。ねぇ、ルイン?」

「そうだね。大変だった……」


遠い目をする両親に何があったのか聞きたいけど、我慢しておきましょう。

そうしたら、今度はリオンおじ様とノエルおば様も言ってきた。


「この時点でこんなに溺愛してるんだから、結婚後のお籠りは大変なんじゃないか?」

「そうですね……発情期もリオン様より無駄に長かったですし……お籠りもリオン様の時は一ヶ月だったので、ミーシェは……あぁ、怖くて想像したくないです。ルーク君、頑張るんですよ‼︎」


お籠りとは竜人の文化で、結婚後の夫婦が部屋に籠って蜜月を過ごすことです。

一般的には最短で三日、長くて一週間らしいのですが……それが一ヶ月⁉︎

発情期で一週間篭ってた時点で……。


「うわぁ、早く大人になりたいですね‼︎」

「あうっ⁉︎」


ピキンッ‼︎とミーシェの可愛らしいケモミミが立ち上がります。

だって、皆に許されて二人っきりになれるんですよ?

それこそ永遠にだって構いません。

でも、その前に。


「改めまして。《僕、ルーク・エクリュはこの身の全てを持って、ミシェリア・レティアント嬢を愛し抜くと誓い、宣誓とします》」

「「えっ」」

「「あら」」


両親達の驚いた声がしますが、精霊達は『その宣誓、受け入れた〜』と言ってキラキラと舞う。

これで僕の気持ちが嘘偽りないと証明されましたね。

ミーシェも驚いた顔をしてから……嬉しそうに目を潤ませます。


「ルーク君……将来、ミーシェの気持ちが揺るぐとか考えなかったのか?下手したら、ミーシェが離れていっても、君は……」

「そんなことさせる訳ないでしょう?ミーシェが俺から逃げれないように、愛するから」


彼女の頬を撫でて、優しく微笑む。

ミーシェも微笑み返してくれるから、胸に甘い感情が満ちる。

それを見た父親達は呆れた顔をしていた。


「………なんか家の息子がごめんな、リオン」

「………いや、いい。それぐらい言ってもらった方がミーシェを託しやすい。その言葉、偽りとなった暁には覚悟しろよ」

「はい」


両親への挨拶(?)を終えると、爵位の高い順に挨拶をする。

「おめでとうございます」、という祝福がほとんどだけど……ミーシェの美しさに絶句している奴もちらほら。

その顔、僕とシゥロ達が覚えましたからね。

…………まぁ、見惚れるのも分かってしまいます。

ミーシェはあの美形二人の子ですからね。

天使ですから仕方ないです。

でも、彼女は僕のものなので……見せつけるように髪にキスしたり、頬にしたりとしてみました。

その度に顔が赤くなって、ケモミミがぴょこん‼︎とするのですから……。

あぁ、可愛い。

周りからの目線が温かいものなんですが、まぁこの際はどうでもいいです。

僕達の世界に入りたい。



まぁ、そうは問屋が卸さないのですけど。



問題は、子連れの貴族ですね。

父が《ドラゴンスレイヤー》ですから、僕とも親しくなりたいと思って自分の子供を紹介する奴がいるんですよ。

婚約パーティーだって言ってんのにいい度胸してんな、って感じです。

まぁ、これが貴族といったものなので仕方ないでしょうけど。


「あのっ……ミシェリア嬢‼︎」

「………はい?」


声をかけてきたのは、空のような髪にオレンジの瞳を持つ少年で。

その真っ赤な顔からして、天使でお姫様な僕のミーシェの美しさにやられるんでしょ……。




「好きですっ‼︎」




「……………は?」


ぞわりっ……僕の足元から漆黒の氷が走って地面を凍らせます。

周りから悲鳴が聞こえますが知りません。



こいつ、今、なんて言いやがった?



「こらっ、ザック‼︎お前っ、何をっ……‼︎」


少年の後ろからきた男性は、この前、謁見の間にいた騎士さんで。

僕はスッ……と目を細めました。



「貴方のところの息子は、人の婚約パーティーでいきなり、俺の婚約者に告白するような愚か者なんですか?」



地獄から響くような声で、告白してきた少年も周りにいる大人達も凍りつきます。

だが、しかし。

空気が読めないのがもう一人。




「なら、わたくしはルーク様が好きですわっ‼︎」




「…………は?」


今度はミーシェから驚くような冷たい声が漏れました。

バッと振り向くと、顔を真っ赤にしたアミル姫と……頭を抱えたジャック殿下。

彼女は名案だと言わんばかりに勢いよく歩み寄ってきた。



「ザックがミシェリア様を好きなら、そちらで婚約して‼︎ルーク様はわたくしと婚約しましょう⁉︎わたくしはこの国の姫ですから、お父様もこの話をしたら直ぐに了承して下さりますわ‼︎」



「「………………」」


多分、現実が見えている奴らならもうこの場から逃げたくて仕方ないでしょうね。

だって、僕とミーシェの発する殺気が……とんでもないんですから。



「………………ふふふっ……父上」



僕は冷たい笑顔を浮かべて、父上に視線を向けます。


「……つい癇癪を起こして、そのついでに国が滅びても仕方ないですよね?」

「うーん、してもいいと言いたいところなんだけど……落ち着こうか?ミーシェちゃんもそんなの望んでないんじゃ……」

「ルーク様を奪おうとする奴がいるなら死ねばいいと思います。もういっそのこと、二人だけの世界に……」

「…………こっちもヤンデレだったか……」


父上の困ったような声が聞こえますが、僕の足元から闇色の光を放出し始めます。

ですが、それを止めたのは母上達でした。



「待ちなさい、ルーク。今、ここでこの世界を滅ぼしたら、貴方達の子供に友達ができなくなっちゃうでしょう?」

「ミーシェも落ち着くんですよ。どうせやるなら暗殺される恐怖で脅した方がいいですよ?」



………母上の説得はともかく、おば様、それはなんですか?

なんで笑顔で暗殺とか仰ってるか意味が分かりません。


「うぅ……お母様ぁ‼︎」

「はいはい。お家に帰ったら相手してあげますからね」

徒手戦闘ステゴロですか?」

「特別に魔術も使って相手してあげます」

「はいっ‼︎」


ミーシェは嬉しそうに笑ってますが、ちょっと気になる単語がチラホラ出てきたんですけど?

マグノール帝国の公爵家は一体、どんな教育をしてるんですかっ⁉︎



「さて、この婚約はちゃんと国を通してるんだけどね?君らがそれを邪魔するってことはエディタ王国とマグノール帝国の間に亀裂を入れるってことなんだけど……その意味が分かってるのかな?」



父上のゾワリッとする冷たい声が会場の温度を奪っていきます。

リオンおじ様が冷たい笑みを浮かべて言います。



「それ以前に親である我々も認めているのだが……まさかエディタの姫君がそれをぶち壊そうとするとは思わなかったな……」



そして、最後の締めと言わんばかりと母上とノエルおば様。



「ちなみに、ルインは《ドラゴンスレイヤー》、私は何故か《神妃》。リオン様は竜皇の弟でノエルちゃんは魔王の娘なんだけど……」

「この国は私達を相手取る覚悟がありますか?下手したら、国滅びますよ?」



………………周りの人達は一斉に首を横に振ってますね。

親の七光りのようで少し嫌です。


「ノエルおば様」

「どうしました?」

「やろうと思えば僕だって世界ぐらい滅ぼせます」

「……………ミーシェのためなら本当にやりそうですね」

「……?やりますよ?」


父上の笑みが深くなり、よしよしと頭を撫でられる。

なんでしょう?と思ったら、いい笑顔で言われました。


「お前充分、立派なヤンデレだ」

「……………まさか…精霊王、ルークにまでヤンデレ属性付与してないわよね?……取り敢えず……ミーシェちゃん、上手くルークの手綱を握って頂戴ね?」


母上の呟きを聞いて、僕はふと思ってしまいました。

確か……ヤンデレ属性は精霊王がつけたもので、暴走すると世界を滅ぼすレベル。

ですが、愛の力でなんとかなってるんだとか。

そして呆れたような母上の顔……。




「父上もヤンデレで世界を滅ぼしかけたんですか?」




「「…………………」」



両親よ、その沈黙は肯定と取りますよ。


「さて。ルークの機嫌&ミーシェちゃんの安全状態によって世界が滅びるかもしれないから、子供さん達にはちゃんと教育なさっておいて下さいね?」


母上の言葉により、我が国の貴族達は全員顔面蒼白で頷きます。

……………あぁ……この人達も父上で経験済み。



「取り敢えず、どっかのお馬鹿なお子さん達の所為でやる気が無くなったから、婚約パーティーは解散ね。よし、片付けよう」



父上の言葉で容赦なく貴族達を追い返し始める使用人達。

あの……一応、国王陛下夫妻もいたんですけど……あ、素直に従って帰る準備してますね。


どちらかと言えば両親達の脅しの所為……でも、やる気がなくなったというのが理由だから、いいのか?





まぁ、こうして。

僕達の婚約パーティーは両親達の脅しと共に、終わりを迎えました。






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[一言] 俺この国大好き。ノリがよいなぁ
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