第16話 後は、Xデーを迎えるのみです
ごめんなさい、短めです。
多分、あと一、二話で終わります。
よろしくどうぞ‼︎
結婚式の夜ーー。
所謂、初夜なるもの‼︎
エクリュ侯爵家に嫁入りした今日から、僕達は毎日同じ部屋で暮らす訳で……いや、もうそれだけでも危険なのに、これから初夜ですよ。
既に寝室で待機してる僕の心臓はドキドキです。
一応、学園(十五歳から通う)には連絡してあるので特別休暇を許されてますけどね?
お籠りがこれからどれだけ篭ることになるのか……。
それだけが謎。
あ、ちなみに上級貴族だと学歴が大事なので……ミーシェも我が学園に通うことになってます。
多分、乙女ゲームで隣の大陸のミーシェがウチの学園に通ってたのは、嫁入りが理由だったんでしょうね。
「ルーク、様」
寝室に入ってきたミーシェは、シンプルながらも上品なネグリジェを着ていて。
上気した頬に蕩けた瞳。
興奮しているからか既に出てしまっているケモミミ……。
おぅ、なんかもう色々とやばいです。
「ミーシェ」
名前を呼べば蕩けた顔でミーシェは微笑む。
そして………。
ポスンッ。
ミーシェに押し倒されました。
………………え?
僕の身体に馬乗りになり、チロリッと舌で唇を舐めるミーシェ。
うわぉ、エロ可愛い。
じゃなくてっっっ‼︎
「大丈夫。私がちゃーんとリードしてあげます」
「いやいやいや、普通男である僕がリードするものでは⁉︎」
「うふふっ、いい子だから……ね?」
妖艶に微笑む彼女はスルッと僕の頬を撫で、そしてねっとりと熱い口づけをしてきました。
それからどうなったか?
ご想像にお任せします。
取り敢えず、男として負けました。
*****
一ヶ月後ーーー。
竜人種特有の結婚してからの蜜月(お籠り、個体差あり)が終わった僕とミーシェは学園入学に際しての最終会議を行うことにしました。
参加者は勿論、ロイゼルとサリュ。
それにミーシェの嫁入りに合わせて我が家に来ることになったシゥロとククリです。
「じゃあ、最終会議を始めます」
母上の世界的な言葉で言うなら、Xデーは学園の入学式の日。
空からヒロインが降ってくるそうです。
「まず、攻略対象は僕とロイゼル、サリュ。後、ランツ皇子とセイジ王子。加えて学園の教師でしたね?」
「あぁ。セイジ様と先生以外は全員婚約者がいる、あるいは味方だから問題ないと思う」
まぁ、流石に王族に手は出しにくかったのでセイジ王子のことは放置しました。
アミル姫がランツ皇子に作用したのは予想外だったんです。
「シナリオは、《精霊姫》が攻略対象と恋愛し、ラスボスである悪役令嬢を倒す……って感じだが、ぶっちゃけルークの方がラスボス感満載だ」
「《穢れの王》でしたっけ?何度かその力の片鱗は見ましたけど、ヤバかったですよね」
サリュの言葉にロイゼル達は頷く。
いや……使い過ぎなければ、問題ないですし。
使い勝手がいいんですよ。
「ボク達の目的はヒロインの攻略回避。ルークの目的はミシェリア様の悪役令嬢シナリオの回避。まぁ、ミシェリア様の方は聞いた感じだと……婚約者を奪われたことによる嫉妬でラスボス化だろう?ルークがいる限り、もう既に回避してるような気がするけどね」
「ですが、ヒロインがいる限り絶対とは言えません。油断大敵です」
「確かに」
話を聞いていたミーシェはゆっくりと頷きました。
「私が悪役令嬢になる可能性はほぼないと思います。ゲームの強制力はないですし、もう既に令嬢じゃありませんし。ただ、そう思ってても今回はそうとは限らないかもしれない。ヒロインが特別な力を持っているかもしれない。私も充分注意しますけど……よろしくお願いしますね」
「大丈夫です、ミーシェ。もし、何かあれば……僕が力技で解決します。それこそ……世界を滅ぼす必要があるなら、容赦なく」
えぇ、もし世界がミーシェを滅ぼそうとするならそんな世界を逆に滅ぼしてやります。
ミーシェを否定する世界なんて、必要ない。
どうせだったら、ヒロインが現れた時点で殺ーーー。
「ルーク様、落ち着いて下さい。久し振りに黒氷が出てますよ?」
「おっと……」
気づくと、僕を中心に地面が黒氷で凍っていて。
僕は慌ててそれを溶かします。
「ちょっとミーシェと結ばれたばかりなので、沸点が低くなってるみたいですね」
「そうなんですか?」
キョトンとするミーシェに僕は微笑む。
そして、彼女の手の甲にキスをして、告げました。
「やっと愛しい人の身も心も手に入れたのに、それが奪われる可能性がある……そんなことになったら、僕だって沸点が低くなってしまいますよ」
ポッ……と頬を赤らめるミーシェの可愛さよ。
ロイゼル達は若干顔を赤くしつつ……顰めっ面で咳払いをしました。
「二人の世界に入る時は一言頼む。砂糖吐きそうになる」
「ストレートティー頼んでいいかい?」
「直ぐに入れてきます」
「手伝うぞ」
シゥロとククリがサラッと逃げていきますが、まぁ良いでしょう。
そうして、僕達は一応シミュレーションのようにいつくかの可能性を考えては、対策を立てて……砂糖なしのストレートティーを飲みながら最終会議を終えました。
後は、Xデーを迎えるのみです。




