第12.5話 シゥロとククリの結婚、ルークの覚悟
ある初夏の日ーー。
ミーシェの家に遊びにきていた僕に、シゥロはサラッと爆弾発言をしました。
「あ、そうだ。もう少ししたらククリを産休させますね」
「「………………え?」」
唐突なシゥロの言葉に僕とミーシェは固まります。
というか、ククリも顔を真っ赤にして固まってますね。
「…………おめでた、ですか?」
「はい」
「おっ……おめでとうございますっっ‼︎シゥロ、ククリ‼︎」
ミーシェは興奮した様子で、ククリに抱きつきます。
ククリはガチガチに固まったまま「ありがとう……ございますぅ……」と返事をしました。
ですが、本当に驚きですね。
本当に成人したら、直ぐに妊娠させる……デキ婚に持ち込むなんて。
「まぁ、わたしとククリの仲なので」
僕の心の声を読んだのか、シゥロはクスッと笑います。
まぁ、そうですね。
シゥロとククリですから、オールオッケーですね。
「結婚式はしないんですか?」
「しますよ。身内だけの小さなヤツですけど」
「呼んでくれますよね?」
「はい」
話に聞くと、シゥロは夏頃(一ヶ月後くらい)に教会を予約していたらしく、ウェディングドレスも準備万端なんだとか。
どんだけ計算高いんですか。
「というか、普通産休させますじゃなくて、結婚式をしますからって言いません?」
「あはは」
「笑って誤魔化してる」
「子供ができたのが嬉しくて、つい」
そう言って頬を緩めるシゥロ。
……………別に、ちょっと羨ましいなんて思ってませんよ。
「大丈夫ですよ。ルーク様達も直ぐに御子に恵まれますから」
「心の声を読まなくていいですよ」
一ヶ月後ーー。
小さな教会で行われた身内だけの二人の結婚式は、とても幸せな空気の中で行われ……僕も嬉しくなってしまいました。
ミーシェ見守り隊の仲間であり、幼馴染でもある二人です。
そんな二人の幸せを見るのは……ちょっとジンっとくるものがありますね。
「ルーク様」
隣に立っていたミーシェがゆっくりと寄り添い、幸せそうに微笑むシゥロ達を見つめる。
「私達も、幸せになりましょうね」
「…………えぇ、勿論」
そのためならば、僕はなんだってしてやります。
全てを敵に回しても、ミーシェを悪役令嬢にはしない。
そのためならば……僕は世界を滅ぼす《穢れの王》にだって、なってやりましょう。




