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第8話 僕とミーシェの幸せを邪魔するなら、全て潰しましょう


やっと、悪役令嬢シナリオ関連‼︎

よろしくね‼︎






そして、ミーシェとデートしたり、甘々に互いを甘やかしたり、ミーシェの発情期(満月の日を基準にして、その三日ほど前から起きて、満月から三日後くらいに収まるタイプだった)を共に過ごしたり、逢瀬を重ねて過ごして早十二歳。

ミーシェとの結婚まで後四年ほどになったある日、彼が現れました。



「うわぁっ⁉︎ルーク・エクリュと悪役令嬢がいるっ‼︎」



エディタ王国にある美しい公共庭園で、ミーシェとデートをしていたその日ーー。

僕は唐突に現れた彼に怪訝な顔をする。

目の前には、動きやすそうな服を着た赤毛の少年。

彼は僕とミーシェのデートを邪魔するようでして。

ちょっとムカついたので、黒い鎖を出現させて地面に引き倒しました。


「うぎゃあっ⁉︎」

「で?誰ですか、お前。返答次第では始末・・します」

「はぁっ⁉︎お前、おっかなすぎだろっ⁉︎」

「ルーク様、殺しますか?」

「ぎゃあっ⁉︎やっぱり悪役令嬢だぁっ‼︎」


ミーシェの言葉に異常なくらいに怯える少年。

と言いますか先ほどの言葉……。



アクヤクレイジョウ……悪役……悪役令嬢?



僕はふとその単語を思い出して、目の前の少年を見つめます。


「お前、転生者ですか?」

「えっ⁉︎」

「あ、この反応は転生者ですね。精霊、母上に連絡を」

『もうした〜』


さて……こうなるとデートどころの話じゃありませんね。

後でこいつは締めるとして……。


「ミーシェ、すみません。今日のデートはここまでにして、コレから事情聴取をしないといけません」

「…………むぅ……」

「ミーシェにも関係することのようなんです。ですから、ね?後でちゃんと埋め合わせをします。許して?」

「…………分かりました……後で、いーっぱいキスして下さい。そしたら、許してあげます」


ふわりと指先が僕の唇を掠める。

……………ミーシェ……なんて高等テクニックを……。

僕は顔を熱くしつつ、彼女の腰を抱き耳元で囁きました。



「勿論です、僕のお姫様。互いの境界が曖昧に溶けるまで、してあげます」



ミーシェの恍惚とした笑み。

………あぁ……大変です。

まだ子供なのにこの色気、この艶やかさ。

大人になったらどうなってしまうのでしょうか⁉︎

まさに傾国の女神と呼ばれるのでしょうか……あぁ、ミーシェ可愛い。



「………やべぇ…鼻血出そう」



ですが、それを見ていいのは僕だけです。



「誰の許可を得て僕のミーシェを見てるんですか、不審者」



僕はコイツに向かって冷たい冷気(威圧)を放ちます。

ガクガクと震える少年ですが、ギリッと彼は睨み返してくる。


「扱い酷くね⁉︎誰のもんでもないだろ⁉︎」

「…………あ゛?僕のですよ。踏み潰してないだけ感謝して欲しいですね。ミーシェのことを悪役令嬢なんて言ったんです。本当はその頭、踏み潰して中身をーー………」

「ぎゃぁぁぁぁあっ‼︎グロい、グロい‼︎グロい過ぎる‼︎お前、本当にルーク・エクリュかよ‼︎紳士キャラはどこへ行ったんだよ‼︎」


ふむ、どうやら僕の予想は当たったようですね。

親の因果は子の因果なのでしょうか?

まさか、僕も巻き込まれることになるとは。




まぁ、僕とミーシェの邪魔をするなら潰しますけど。






*****





ミーシェを連れてエクリュ侯爵家に戻ると、僕達はサロンに向かいました。

そこには先に来ていたらしい父上と母上。

二人は簀巻きにされている少年を見て、微笑みました。


「あら、この子がルークの言っていた転生者君かしら?」

「………美女…」


少年はポーッと母上に見惚れています。

あ、その言葉はアウトですね。

スッと視線が鋭くなった父上は、にっこりと冷たい笑みを浮かべました。


「シエラ、殺していい?」

「殺すなら情報を吐き出してからね?」

「へっ⁉︎」


父上は母上を抱き上げて、膝の上に乗せ後ろからぎゅうっと抱き締めます。

あ、僕がよくミーシェをこうやって抱っこしちゃうのは父上達の見てたからなんですね。

少年はまさかの展開にどこか遠い目で「なんで、こんな物騒なヤツしかいねぇの……?」とか言ってますけど、君の発言が悪いからだと思いますよ。


「さて……父上」

「…………精霊。壊したら駄目だけど、多少ゾワっとさせるのはいいよ」

『はーい』


どうやら、精霊達に彼の記憶を覗かせているようです。

アレ、本当に気分が悪くなるらしいんですよね。

少年は身体をゾワっとさせてブルブル震えます。

流石、父上。

母上に見惚れた相手が子供でも、容赦がない。


「この子の名前はロイゼル・マックス。近衛騎士団の新団長の息子らしいよ。前世の名前とか、前世の個人情報みたいなのは思い出せないみたい」

「多分、この世界で暮らしやすくするためなんでしょうね」

「で、こいつの妹が乙女ゲームをやってて、手伝いをさせられていた。そのゲームのタイトルは《精霊と乙女と愛のワルツ3》。ルークとこの子は攻略対象、ミーシェちゃんは悪役令嬢らしいよ」


《精霊と乙女と愛のワルツ》。

それはまさに父上と母上も関わったゲームの名前じゃないですか。

やはり、親の縁は子の縁になるんですね。


「な……なんで知って……」


少年……ロイゼルは、呆然とする。

しかし、何か悟ったように叫びました。


「もしかして、お前らも転生者っ……」

「まぁ、転生しているのは私だけだけど……でも、3は知らなーー」

「マジか‼︎君みたいな美女が同じ転生ーー」


ロイゼルは目を輝かせて、簀巻きにされているにも関わらず母上に近づこうとします。

ですが、その前に父上の殺気に止められました。



「俺の妻に近づこうとするなよ」



ピリピリと震える空間。

ロイゼルは顔面蒼白で、部屋に特徴的・・・な匂いが満ちる。

……まぁ、ただの子供(転生者らしいですから、精神年齢は大人でしょうけど)が父上の殺気に晒されたらそうなりますよね。

ふむ。やっぱり僕と父上の威圧具合は、まだまだ差があるみたいです。

僕の時はガクガクと震える程度だったのに……年の差というより、力の差ですかね?

…………でも、まぁ……今のはこいつが悪いです。

父上の前で、母上に近づこうとしたんですから。


「………ルイン。私は貴方だけよ?こんな小物、放っておいて構わないわ」

「ん……でも、無理。だってこいつ、シエラに見惚れてるんだよ?殺したくなっちゃうのも、仕方ないでしょ?」

「うふふっ……もぅ。ルインったら可愛いんだから」


仄暗い瞳で笑う父上と、恍惚とした笑みを浮かべる母上。

あぁ……甘いですねぇ。

こういうピンクな空気に、息子()と(未来の)義娘ミーシェの前でならないで欲しいです。


「取り敢えず、掃除ですね。これ、汚いですし」


僕は精霊術を発動させて、汚物を清掃します。

はぁ……なんで僕がこんなことしなくちゃいけないんですかね。

まぁ、ミーシェの前で汚いモノをそのままにはしておけませんし。

仕方ありませんか。


「さて……簡単なシナリオ的に言うと、高等科入学と共に異世界から《精霊姫》がやって来る」

「あら。3は異世界転移モノになったのね」

「その《精霊姫》と攻略対象達がキャッキャうふふしながら愛を深めて、悪役令嬢を倒す……なんてシナリオらしいよ?」

「は?なんですか、そのふざけたシナリオ」


僕は隣に座るミーシェの手を掴みながら、殺気をロイゼルに放ちます。

すると、またロイゼルは漏らしてしまったようです。

…………本日二回目の掃除……。


「ルーク。怒るのは分かるけど、ソレに当たっても仕方ないわ。とにかく、ミーシェちゃんの悪役令嬢シナリオ回避のための作戦会議をしましょう」


母上はそう言って微笑みます。

僕はその笑顔に、ゆっくりと頷きました。





「えぇ。僕とミーシェの幸せを邪魔するなら、全て潰しましょう」








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