六章八幕=因縁=
もう少しでこの戦いも終わります。
「おうらぁっ!」
「ぐあっ!?」
全力の飛び蹴りを顔面に喰らわせ、続け様に胸ぐらを掴んで頭突きをかます。
黄金の額が割れ、額から血が多量にこぼれ始める。
「お、鳳ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
憎しみを込めた雄叫びが聞こえる。
だけど響さんが作ってくれたこの隙は逃せない! 全力で黄金の背中を捕まえ、鯖折りを仕掛ける。
こいつがここまで弱っていなければ、すぐに逃げられただろうが……今は別だ。
「もらったぞ、外道」
背後に回り込んだ千代さんの手には召喚された蛇が数匹、鎧の隙間に入り込み噛み付かせた。
さらにダメ押しとでも言わんばかりに毒を塗っていたクナイも切りつけた。
「い、いい加減にしろぉ!」
「っ!」
強引に、力で弾き飛ばされた。
完璧に極まっていた鯖折りを上半身の力だけでぶっ飛ばすとか、普通なら冗談でもあり得ない話だが……伊達に死んで蘇って復活してないか。
「ふざけるなよ、クズども! こんなにてこずらせてくれやがって……!」
「馬鹿な……毒が回っていないのか……!? 死なないとはいえかなり強力な蛇を噛ませたのに!」
「千代さん、響さんを連れて下がってくれ」
「主人様!?」
「お願いだ。多分毒が回るのに時間がかかってるだけだ。その時間は俺が稼ぐ。だから響さんを避難させてくれ」
「ですが……!」
泣きそうな声で千代さんはすがるが、わかってくれないならこう言うしかないだろう。
「これは命令だ、高垣千代。君にとっても大切な人を守ってやってくれ」
「……〜〜! 了解、しました……! 御武運を」
響さんの元へ千代さんは戻る足音が聞こえる。
これでいい。千代さんは最高の仕事をした。響さんはそのチャンスを作ってくれた。
そして最後に、俺がここで役目を果たさないでどうするのか。
「終わらせるぞ、俺たちの因縁を」
「君を殺して、鉄華領も奪い尽くす!」
互いに戦意は上々。
そして俺たちは同時に踏み込んだ。




