一章三幕=想い=
メッサ短い(ぺしょ
「で、あの連中は?」
「テラサイトっていう国のお抱えの武者たち。ああ、でも龍臥くんからいうと騎士様とやらなんだっけ?」
「まぁ、そうだけど……なんで響さんを狙うんだよあいつら」
「異次元道化師のことでしょうね。あいつ、私とよく一緒にいた妖だし、別世界にいけるっていう特別な能力あるから、そのことについてでしょ……でも、もうあいつはいない」
「いない? なんで?」
「……あいつ、私が前に助けた恩にって、能力を使って龍臥くんを呼んでくれたのよ」
「ごめん、状況が掴めないんだけど……」
「異次元の道化師っていう妖は、一度自分の力を使ってしまうと死ぬのよ」
「……え?」
死ぬ。
その言葉はよく理解できた。けれど力を使えば死んでしまうというのは……
「なんで、そんなことあのピエロは」
「……さっきも言ったでしょ。異次元道化師は、前に助けた恩って言って……私だけ呼んで、あなたを連れてきてくれた。私たちを助けてくれるかもしれない人を」
「助けてくれるかもって……お、俺が?」
「ええ。実力はさっき見せてもらったから問題ないわ。少なくとも助っ人にはなれそう……」
少し彼女の声は、震えていた。
あのピエロが、響さんにとってどういう存在だったのかはわからない。けれども、響さんにとっては少なくとも大事な存在だったのは間違いないのだろう。
いろいろ状況はまだ掴めていないけど、少なくとも今はまだそっとしておいてあげよう。
……そういえばあのピエロ、最後に……
「彼女たちをよろしく」
「……ん?」
「あのピエロ、最後に俺をこっちに送った時……彼女たちをよろしくって言ってた」
きっとあの言葉は嘘じゃない。だからこそこの言葉は、そってしておかねばと思っても今伝えるべきだと考えた。
響さんが止まり、振り返る。
その瞳には、涙が溢れていた。
「……あの、バカ! 最後にそんなこと言うくらいなら、死ぬのを覚悟してまで能力なんて使うんじゃないわよ……!」
「響さん……」
彼女はぐしぐしと涙をぬぐい、すぐに「ごめんね」と言って俺の手を引く。
「さ、私の住むとこまでもう少しだから行きましょう」
そういう彼女の表情は、少し寂しげだった。