四章四幕=追憶二=
教師たちに連れられ俺はその場で俺のせいで響は死んだ、と言う風に決めつけた。
目の前にいながらも止められなかった以上、俺はそう思われて当然だと思って何も言わなかった。
だけど、その間も涙は流れ続けて止まらなかった。
それから俺は気力がなくなり、惰性的な日々を過ごした。
学校を退学にも停学になるわけもなく、俺はただ今まで通りの生活を過ごした。変わったことは、響がいなくなってしまったことと、腑抜けになった俺をサンドバッグにする奴が増えたくらいだ。
反撃する気力も気概もなくなった俺はいつも身体に怪我をして、じいちゃんを心配させてしまった。
この時の救いは、じいちゃんは俺を信じてくれていたことだった。俺が響を自殺に追い込んでいないことを、確信してくれていた。
っと、少し話が逸れた。
それで、ある日の放課後に校舎裏にふらっと立ち寄ったら何人かの男女が話をしていた。それが気になって聞き耳を立てていたら、一人の男子生徒がこう言ったんだ。
『桂のやつよかったよなぁ。まだまだ使いたかったのに自殺しやがって』
響のことを言っていた。
どういうことだ、とはやる気持ちを無理やり抑えそのまま聞きに徹する。
女子たちも「あいつ気に食わなかったから清々したわ」とか「あんな不良とつるむからああなったのよ」とも。
心臓が痛いほどに早鐘を打った。
ゲラゲラ笑いながら話しは続けられ何かを再生する話をしていた。
『ここ! 泣きながら鳳ってやつの名前呼んでてさ! バカだよなぁ、そいつから離れてる時を狙ったんだから来るわけないのに』
ブツン、と俺の中で何かが切れる音がした。
明確な悪意で、響は傷つけられた挙句に命を落とした。
明確な敵意を持って、殺意を持って俺はその集団へ向かった。
『あん? なんだ噂をしたら鳳くんじゃないか。どうしたんだ? 人殺しくん』
俺を押そうとしていた右手を掴む。
そしてそのまま腕をあらぬ方向へ曲げ、頭突きで鼻の骨を砕いた。
ざわめかれたけど、こっちはもう自分でも歯止めが効かないほどに怒ってて、気がついたら拳が擦り剥けてるわ返り血やらで……周りには悶絶して苦しんでる奴らが大勢いて女子どもはかなりびくついてた。
『隠さず、話せ……全部だ。お前らが響になにをしたか……包み隠さず言え。でないと』
殺す、と断言した。
そして話した奴らが言うには三年の女子連中が響を気に食わず、主犯の男と目的の合致から響を連れ出し……男子生徒たちに強姦させた。
その主犯の男が、黄金竹虎だった。
俺と同学年で、けれど学校を裏で操っているとかそんな噂があるやつだった。俺も声をかけられたことがあったけど、興味もなかった。
けれどそれが原因なら、響が死んだ原因は俺だ。
ケリをつけなければならない、女子どもも騒ぐのがうるさかったから二、三発殴って黙らせる。そして倒れた奴から携帯を取り出させて、黄金の奴を適当な場所に呼ばせた。
場所は町外れの公園だった。最後に呼ばせた奴を蹴り飛ばして、俺は公園に向かった。