誕生日
「すごく濡れてるね。傘貸すよ。使って。」
見覚えのある男の子から、傘を借りたさなかは、ゆっくり、歩いて帰りました。
あの男の子のことを考えて。
久しぶりに、また図書館に行きました。
入り口でばったりあの男の子と会い、二人で大きな声を出してしまいました。
「「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」」
さなかは前に借りた傘を返しました。
そうです。
見覚えがあったのは、二人ともよく図書館に来て本を読んでいたからなんです。
その日、初めて男の子と仲良く話しました。
その日の夜。
さなかはベッドで一人泣きしました。
今日のことに、とても感動して。
泣き終わった後、さなかは思い出しました。
男の子の名前を聞くのを忘れたことを。
そして、次の日も図書館へ行って男の子の名前を聞きました。
男の子の名前は、「かなたくん」
かなたくんとは、毎日図書館で会い、その日に学校などあったことを話します。
そのうちに、二人はだんだん仲良くなっていきました。
けれどある日。
かなたくんが図書館に来なくなりました。
さなかはとても心配しました。
でも、その3日後やっとかなたくんに会うことができました。
その日も、いっぱい図書館で話しました。
そして、その後3日間もその日のようにたくさん話しました。
さなかの誕生日はもうすぐです。
でもある日、かなたは急に来なくなりました。
そしてついにさなかの誕生日。
でもなかなか来ません。
さなかは、かなたくんはもう来ないかもとあきらめかけていました。