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マオ、スキルについて説明を受ける

 12月23日 誤字の修正をしました。

 リオとボクが姉妹だと勘違いされている中、ユウキとサキの2人は対人戦闘(PVP)を行っていた。正直、【廃神】の2つ名で呼んでいるユウキが『ボコボコ』にされている!


 本当! サキは怒らせると恐いよね!


 PVPが始まってから1時間後、サキの怒りが落ち着いてきたのか、或いは飽きたのかPVPが終了した。


「ごめんねぇ~、2人ともぉ~。ユウキの説教はぁ~終わったよぉ~」


 杖を持っていない右手で、頭をコンっと叩くフリをして、ウィンクしながら舌を出すサキ。"てへペロ"とかってやつか?


「気にしなくてもいいですから、戦闘の仕方を教えて下さい!」


 遠慮失せずに、何かを殴れるのは魅力的だ。リアルワールド(この世界)では、推奨されているから有り難い!!


「マオの意見に賛成ね。少しでも早く、初心者装備から抜けたいし──」


 そんな会話の中に入ってこない人物が1人、ユウキは足元で倒れている。あれだけ何度も、空を飛んだらこうなっても不思議はないが……。

 ズタボロになっているユウキを見下ろしながら、変な形で納得していく。


「そぅねぇ~、時間は有限だしぃ~、行きましょうかぁ~」


 そういうと、サキはユウキの尻目掛けて、ドスゥっとメイスを突き刺した。刺さることはないので、「押し込んだ」が正しいかもしれない。


『世界を満たす 命の息吹 その力の一端を 今この場に示したまえ 【初級治癒魔法(ライトヒール)】』


 そうサキが呟くと、メイス全体が淡く光り、その光がユウキに吸い込まれていった。これがリアルワールドで初めて見る『現象』だった。

 光が消えると、ユウキの体に出来た傷は無くなっていた!?


「────!! っ! イタタタ……」


「これは、『回復魔法』と呼ばれるものでしょうか?」


 元通りの姿になったユウキを見ながら、ボクはサキに問いかけた。その返事は「そうだよぉ~。詳しくはぁ~、あとでねぇ~」とのことだった。

 ユウキから、リアルワールドが『剣と魔法の世界』とは聞いていたが、武器はともかく『魔法』に関しては今が初めてだ。

 魔力というものが〈魔闘術〉として使えるのは、マッチョ兄さんから聞いて、試して理解している。


 復活したユウキと4人で街の外に出た。この街の門は、東西南北にありそれぞれモンスターの強さが違うらしい。

 向かったのは南の門で、1番弱いモンスターが出る場所らしい。ユウキとサキのスキルレベルからしたら、うま味は少ないそうだ。それは、βテスターの特権らしく、一般でLV5、トッププレイヤーに至ってはLV10とβで育てたスキルを引き継げるらしい。


 ──もちろん、ユウキとサキはトッププレイヤーの一角だ。


 ボクたちがスタートする街は【第1の街】と呼ばれ、平均スキルレベルが『20』までが対象となる。ここまでが、現時点でユウキから説明された部分である。それ、狡くない?



「──とまあ、こんなところかな。覚える【戦技(アーツ)】に関してだが、最初は何もないが、LV5毎に1つづつ覚えていく。


魔法(スペル)】に関しては、魔法の種類によって違うが、1~3個の範囲で覚える。

 魔法の種類に関しては、〈属性魔法〉〈付加魔法〉〈精霊魔法〉そして、獲得条件の不明な〈特殊魔法〉の4種類になる」


 ボクがフムフムと聞いている傍ら、リオは気になったことがあったようで、その内容にユウキも気付いていたようだ。


「リオは、他のゲームに出てくる〈召喚魔法〉を俺が言っていなかったことを疑問に思っているのだろ? 確かに、リアルワールドにも存在する(・ ・ ・ ・)


 ──ただし、〈特殊魔法〉の中の1つとしてだ」


「うふふ。じつはぁ~、βの頃にもぉ~噂自体はあったのぉ~」


 ユウキの言葉に続き、サキの口許に手を当て微笑みを浮かべている。その仕草は、サキのグラマーな肉体と絶妙な調和を生み出し、艶やかさを周囲に与える。

 リオには不可能で、あの娘にも不可……いや、やりかねない気がする!!


 ボクの脳裏には、もう1人の隣の家の幼馴染みを思い出した。1つ年下だが、ボク以上に大人だ(・ ・ ・)。『何が?』と聞かれたらこう答えることしか出来ない。


 ──肉体的(・ ・ ・)にだ!! その一言しかない。


 それは横において、〈召喚魔法〉……何か引かれるモノを感じる。何と言うか、必要不可欠(・ ・ ・ ・ ・)な要素(・ ・ ・)として──。

 ボクは基本的に、可愛いものと、ドンパチが好きだ。今回このゲームをするに当たって、魔法職だけでなく、生産職も行う気でいる。

 ゲームを始める前に、ユウキから聞いた話から〈魔力関連〉のスキルをメインに据えて、初期設定を行っている。そのせいか、魔法力量(MP)に関して面白いことになっている予定だ。


「ん? エンカウントしたようだな! それじゃあ、戦闘の仕方を見ていて────」


「せい!!!!」


 ズガガガガガガガン!!!!


 ユウキの説明を聞く前に、体が動いていた。戦闘方法は知らなかったが、噴水前でマッチョ兄さんから聞いていた方法で、〈魔闘術〉を発動させて殴っていた!


【ファストアタック! クリティカルが発動した!!

 ラビットに1000のダメージ! ラビットを倒した】


「何じゃそりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「あらぁ~~」


「こう言うところって、マオらしいよね」


 ユウキは草原のど真ん中で叫び声を上げ、サキは「どうしましょう~」と暢気に頬に手を当て、リオは何故か納得していた。


「見てください! ウサギの毛皮とウサギの肉を手に入れました!!」


 ボクは事前に聞いていた方法でアイテムを両手に持ち、3人に見えるように掲げた。戦闘に関しての感想は、「意外と簡単だった」と言うことだ。


【アーツ【魔王撃】を入手しました】


 何やら、システムが無情なことを言ってきた気がする。何かを覚えたらしい。


「何やら、アーツを覚えたらしいです!」


 ボクがそう言うと、ユウキは怪しみ、サキは「あらぁ?」と首をかしげていた。実際のところ、ボク自身が自身が「聞き間違えをしたのでは?」と考えている。

 これが本当だった場合、「【魔王撃】って何ですか!?」と声を上げ、騒いでしまいそうだ。


「たった一撃で、アーツを覚えるほどの経験値は手に入らないぞ?」


 ユウキはそう言ってボクを注意してくるのだが、サキは「ステ~タスを、確認するのよぉ~」と言って来たので、ステータスをチェックした。



 ───────────────────


 プレイヤーネーム マオ


 種族 狐人族(フォクサ)


 職業 魔王様 LV1(固有(ユニーク)職業)


 HP 2000/2000

 MP 4930/4930


 STR 500

 VIT 500

 INT 3900

 DEX 900

 AGL 1150

 LUC ××××(測定不能)


 スキル

 〈魔法才能〉LV5

 〈魔力量増加〉LV5

 〈魔力回復量増加〉LV5

 〈魔力操作〉LV5

 〈消費魔力減少〉LV5

 〈魔闘術〉LV25

 〈魔力武装〉━━


 アーツ

【魔王撃】


 ────────────────────


 ボクのステータスは、以上のようになっていた! 数値がおかしくない?


「そういえば、きちんと聞いていなかったですが、『職業』とは何ですか?」


 ポン! と手を叩いて、「まだ詳しい説明が"まだ"だったな」と言い、説明をしてくれた。


「それはねぇ~。職業はぁ、ステータスやスキルとかにぃ~、補正がかかるのよぉ~」


 出鼻を挫かれた形のユウキは、(そら)を見上げ、ヤレヤレとアクションを行っている。サキの説明を引き継ぐ形で、ユウキが詳しく話してくれた。


「もう少し詳しく言うと、職業は『個人が選んだスキル構成』からシステムAIが判断してプレイヤーに与える1種の称号(・ ・ ・ ・ ・)だ。

 βの頃は、俺のスキル構成からは【大剣使い】、サキの場合は魔法偏重の【水聖の魔術師】が職業に与えられていた。

 俺は『ATK・VITに多少の補正』が、サキには『MP・INTに多少の補正』が入っている。それだけじゃなく、スキルにも成長補正が入っているんだ。


 ──もっとも、『職業の根幹となるスキル』だけだがな


 今の俺は【剣士】、サキは【魔法使い】だがな!」


 そうユウキは言っているが、それでも結構スゴいことなんじゃないのかな?


「ステータスは全種族固定の『100』だが、各種族によりプラス補正(・ ・ ・ ・ ・)が加わる。

 俺は人族だから、全ステ(LUK以外)120%の補正。サキはエルフでDEX・INTに130%、MPに140%の補正を受けている。


 リオの猫人族(キャッツ)は、DEX・AGLに150%、マオの狐人族(フォクサ)はINT・MPに150%の補正がかかる」


 それはおかしい! ユウキの説明通りなら、上から『100、150、100、100、100、150』になっているハズである!!

 それに、MPの数値が5000に近いのはどういうわけだ? 1番の不安要素は、職業の欄にある【魔王様】って一体何!?

 ボクは混乱の極致にあった。


「ねえねえ、マオはどんな職業だったの? 私は、【盗賊見習い】だったよ!」


 リオが背中側から体を乗り出して覗き込んできた。その際、鎧に包まれていない柔らかさが背中に当たった。


「職業────【魔王様】??」


 勝手に人の職業をバラす、幼馴染み(女)。


「──マオ、一体どんなスキル構成にしたんだ?」


 草原で戦闘するまでに、「スキル構成を聞くのは、ルール違反だから気を付けろ!」と言った人物と同一人物なのか不思議に思う。

 そのセリフに対しては、「乙女のヒミツです!」と殴りながら答えた。「パクゥ!!?」と奇声を発したユウキは、地面に倒れ込んだ。


「乙女じゃ──ないだろう────」


 それがユウキの最後の言葉だった。


「マオ~、心の声がぁ~洩れているよぉ~?」


「えっ!? 洩れちゃってました?」


 ダメだねぇ。これは、「てへぺろ」モノだろうね!


「だから、洩れているって……。まあ、それだけ動揺しいているってことよね」


 リオの言葉にサキも頷きながら、頬に手を当てて「あらぁ~」と言っている。これはボクの悪癖で、この癖を知っているのはユウキたち、幼馴染み勢だけである。


 過去にリオと拐われる前は、今のような「です。ます。」調ではなく普通だった。変更したのは、ボク自身を理解してから無理矢理に変更することになった。これには結構努力して大変だった。

 それでも、癖として体に染み付いているのは変わりなく、『今回のように動揺した場合』と『興奮してハイテンションのとき』は昔のように話してしまう。


「それでも、ラビット相手ではなんとか(・ ・ ・ ・)顕れない(・ ・ ・ ・)でよかったな!」


 ユウキの言葉は真実で、興奮し過ぎると『徹底的にボコボコにして、説教をしてしまう』ことがあるからだ。このときの説教は、基本的に正しい。


 ──理不尽な言い方を無視できたら……の話だ。


 戦闘時のボクは普段と比べられないくらい、『戦闘的思考』が強くなってしまう。これに関しては、血統的・覚醒した特異性の反動的なもので、コントロールは難しい。

 現状は、ユウキが言ったように『なんとか』のラインで、コントロール出来るようになったくらいだ。現状で『ブチキレ』したら、完全暴走状態になってしまいかねない。

 そのことを危惧した父様と、母様により『言葉使いの矯正』をすることになった。とは言っても、完全な丁寧語とかはダメなので、基本的なところ──「です。ます。」調になったというわけだ。


 そんな訳で、混乱したときとかは、昔使っていた言葉使いになってしまう。


 別件だが──うちの学園では、ボクの"過去の出来事(負の遺産)"により、平和だ。(その平和を乱す愚か者には、『圧倒的な暴力と(ボディ)言う名の肉体言語(ランゲージ)』で、平和について話し合った)


 学園で語られている、ボクの伝説? は色々ある。


 ──曰く、この街中の暴走族はボコボコにされた。


 ──曰く、危険な人が逆に命を対価に脅された。


 ──曰く、悪いことをした人は地獄を見た。


 ──曰く、女に無理矢理に手を出したヤツは、男としての一生を終えた。


 他にも色々あるが、この全ては真実であり、ボクが現在進行形で行っている事でもある。警察には感謝され、この街に関してはとても平和である。


 話が反れてしまったが、ゲーム内のステータスが多少高くても、ボク自身のスペックは恐ろしく高い為、コントロールがしにくいとかの弊害はない。

 それに対する1番の問題は、『戦闘本能の暴走』と言える。ゲームという事で、簡単に暴走しないように注意しないと!


「それじゃぁ~、魔法についてねぇ~」


 詳しく語ると長くなるので、簡単にまとめて要点を上げる。ちなみに、この説明はサキの主観が中心にある。


 ①魔法を使うための最低スキルは〈魔法才能〉があること。


 ②そのままでは発動できないので、〈属性魔法〉か〈精霊魔法〉が必要であること。(〈精霊魔法〉はエルフ専用)


 ③魔法は『詠唱発動』と『無詠唱発動』の2種類ある。(サキが先ほど使っていたものは、『完全詠唱発動』というらしい)


 ④魔法の発動自体は簡単だが、イメージ力が強いほど簡単である。(イメージが鮮明であるほど、多種多様なことが出来るらしい)


 ⑤魔法の中には、属性の無い(・ ・ ・ ・ ・)〈無属性魔法〉がある。(但し、最弱の威力になる)


 上記5点が、魔法に関するルールと言う話だ。まだ入手経路不明の〈召喚術〉もあるらしい。


「それじゃぁ~、〈無属性魔法〉を使ってみるねぇ~」


 次にラビットが出たら、実演してくれるらしい。

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