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月蝕が世界を変えた

月蝕が俺の世界を変えた

サークル仲間と海辺の温泉に行った

バカみたいに飲んで食って騒いだ夜


ふっとお前が部屋を出ていくのに気が付いて

どこへいくんだと聞いてみた


月蝕を見に行くとお前が言った

月になんか興味なんてなかったけど

なんとなく女の一人歩きはよくないと

俺もいっしょに海岸へいった


海はざわざわとおとなしく波を立てる

月夜がこんなにも明るいことを

俺は初めて知った


お前はぱたりと砂浜に転がって

月を見上げている


月はゆっくりと欠けてきた

いつまでこんなもの見てるんだろうと

ふっとお前の顔を見たら


ぞっとするほどきれいな目で

月を見ていた

そして……


真珠のようにこぼれていく涙が

月のように輝いている


月は陰に食い尽くされて

星が強く存在を主張して


俺の鼓動が突然速度を速めていく

涙の理由が知りたいような

知りたくないような

複雑な気持ちが胸を押しつぶす


目を閉じて

お前は言った


地球の影が月を食べても

きっと月はずっと地球をみてるんだろうなと……


そしてそっと目を開いてゆっくりと起き上がると

帰ろうかと言った


俺はお前の手をひっぱって

その体を引き寄せて抱きしめた


せめて月蝕がすむまで

冷えた体を温めていたかった


どうか俺を好きになってと願いながら

強く強くお前を抱きしめた


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