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戦女の恋

恋の形は様々なれど、戦女にできるのはただ一つ

見つめあう恋も

抱きしめられて守られる恋も

私にはできない


殻に閉じこもっているような閉塞感

甘やかされてダメになっていく堕落感


私には少女たちの焦がれる恋は

どうあがいてもできない


私は戦女いくさめだから


もし私に恋ができるとしたら

それは背中合わせの恋


自らに降りかかる火の粉は

いくらでも切り捨てる

戦女には


恋物語のような

暖かく甘い恋はできないのだ


優しく口説く唇も

掌中の宝をそっとなでる手も

私にはいらない


むしろ邪魔になるだけ


血まみれのこの手に

剣を握り続けるこの手に

触れられるのが恐ろしいから


もし恋ができるなら

それは背中合わせの恋


私を守らない

私に守らせない


真っすぐな背中


お互いの背後で

己の戦いを全うできる背中


時にその背中を隙間なく押し付けて

同じ呼吸で休息する


同じ夜空を見上げて

花の舞う木の下で

わずかばかりの休息を分かち合う


私は戦女


私にできる唯一の恋は

背中越しに聞こえる

鼓動に

気配に

安堵する


そんな恋だろう

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