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密やかに花は散りて
月夜の晩のお花見は密やかな愛を紡ぐ
満月の夜
貴方と見上げた桜
街灯もない
ひっそりとした丘の上
青ざめた月光が
薄紅に魔法をかける
発光する桜
さらさらと舞い散る
花冷えの夜
暖かいつないだ手
貴方と二人
うっとりと見上げる
雪のように
しんしんと散り逝く花
このまま時が止まったら
世界に二人きりでいられる気がした
ふいに強い風
花吹雪にのせて
唇がふれる
熱を帯びた貴方の唇
離れがたく愛おしい
ずっとこのまま
この熱を感じていたい
少し離れて
また近づいて
唇に花びらをのせて
深く深く口づける
花は散る
やがて新しい命を生むために




