第三話:分岐点
月日が経ち、良輔との日々が恋愛から、慣れに変わりつつあった。
『付き合ってそろそろ7ヶ月か、マンネリの時期なんじゃないの??』
昼休み、高校に入学してから常に一緒にいる裕美が言った。
裕美とは放課後も共に行動してたため、良輔のことも良く知っていた。
「マンネリするまで付き合ったこと無かったし、よくわかんないんだけど、いきなり態度ってかわるもんなのかな?」
『まぁ、男ってそんなもんじゃね?好きだァ、お前だけだァとか言って余裕で浮気するし、飽きたら態度ガラッだよっ!』
裕美は当たり障り無く適当に恋をし、適当に遊ぶ、そんな女だった。
麻奈美はサバサバしたそんな裕美が好きだったが、昔に何かあったんだろうと聞けずにいた。
裕美の言う通り、確かに最近良輔の様子がおかしかった。
二人でいても素っ気無い態度。
バイトと言っては会うことを拒否され、毎日会っていたのが週2日程に変わっていた。
(前はバイトがあっても少しでも時間作って会ってたのに……。マンネリか……、飽きたって事とは違うのかな。今日良輔と話してみよう。)
授業が終わり、カラオケに行く気にもなれず、家路についた麻奈美は、良輔の学校が終わるのを待って携帯に電話を掛けた。
しかし、出ない。
もうすでにバイトに行ったのかとも考えたが、いつもよりまだ1時間も早かった。
何度か掛けてみてが、繋がらない。
(しょうがないや、バイト先に迎えにいこうかな。)
この時、少しでも思い留まっていれば、麻奈美の人生は変わっていたのかもしれない。
秋の日暮れ、冷たい風の吹き始めた9月だった。