第4章:最初の奇跡 Dai 4-shō: Saisho no Kiseki (Chapitre 4 – Le Premier Miracle)
黒衣の男たちが迫る中、エルランは震える手で印を結んだ。
神霊ハルトの声が、心を静めるように響く。
> 「お前はまだ弱い。だが、“奇跡”は力ではなく、意志から生まれる。」
柱の陰から飛び出すエルラン。
男たちの視線が集まった瞬間、彼の背に輝く光の翼が広がる。
> 「っ――神の加護!? 退け!」
だが遅い。
空から降るように、柔らかい光が神殿全体を包み込んだ。
荒れ果てた地が再生し、崩れた壁がよみがえる。
そして、男たちはその場に膝をついた。
> 「こ、これは……再生の奇跡……っ!」
> 「これが……俺の……力……?」
> 「いや、お前の“意志”が私の力を引き出した。」
その日、「最初の奇跡」がこの地に刻まれた。
そして――彼女は現れた。
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> 「ふふ……これが神の力ってわけ?」
神殿の奥に立っていたのは、紅の髪と刺さるような瞳の少女。
戦闘服をまとい、腰には魔具を携えている。
> 「名乗らせてもらうわ。“火の魔女”メイリスよ。」
> 「君は……誰? 味方……なのか?」
> 「あんたが神の器なら、ちょっと調べさせてもらうわよ。」
少女は杖を構えたまま、エルランに微笑んだ。