天使と出会った日
四話
私が初めて彼女と出会ったのは二年前、地元である東京で一人暮らしを始めた頃だった。私の部屋に突然現れた彼女は可憐で、白いワンピースを揺らす姿は天使のようだった。13歳ほどの幼い見た目に相応な、無邪気な笑顔を私に向けて、彼女は言った
「こんにちは!やっと会えたね。藤田真理子」
18歳の夏、私は白い天使に出会った。
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5日前、私の部屋に突然現れた少女。彼女に関して、わかったことは大きく分けて四つだ。
・とても可愛らしい
・私以外の人間には姿は見えない
・食事や排泄などを必要としない
・私に対して、なぜか好意を持っている
「私が真理子と出会えたのは、私が真理子を愛しているからだよ。私は真理子を迎えに来たんだ」
意味が分からなかった。
「あなたはどこからきたの?どうして私を愛しているの?迎えに来たってどういうこと?」彼女はその大きな瞳でこちらをじっと見つめてニコニコと笑うだけで、私の質問には答えてくれなかった。不気味で、謎だからけの少女に、私は恐怖よりも美しさを感じた。引き剥がすことのできない引力のようなものが、彼女と私の間にはあったのだ。
ペンを机に置き、ノートを閉じる。ノートの表紙には「天使日記」と私が数分で考えた題名が書かれている。私の頭を整理するため、彼女のことはこのノートに書き残していこうと思う。もしかすると彼女はただの幻覚で、私の頭がおかしくなってしまっただけなのかもしれない。でも、だからこそ、このノートは私が正気であると証明するための小さな抵抗でもあるのだ。
大きく背伸びをすると、強ばっていた肩や背中周りが緩んだ。集中していたせいか少し背筋が曲がっていたようだ。薄暗くした部屋の中は静かで、窓からは街灯の光が差し込む。窓際のベッドの上には天使のような少女がちょこんと座っていた。窓から差し込んだ街灯の光が美しく整った少女の横顔を照らす。その様はまるで一枚の絵画のようだった。1K6畳の小さな部屋で、少女との奇妙な生活は今も続いている。