085:フラウ男爵家の見聞(冒険者ギルド会議 ギルド長ノルン)
フラウ男爵は、冒険者ギルドの代表者との会合だ。
「フラウ男爵、ノースサンド村への視察お疲れ様でございます。」
「あぁ。いつもノースサンド村を支えてくれてありがとう。冒険者ギルド長ノルン。変わりないようだな。」
冒険者ギルド長のノルンは元冒険者であり、名実ともに実績を上げてきた実力者だ。
冒険者ギルド内でも権威のある存在だ。
「ノルン。ここは辺境の地とはいえども、ダンジョンを保有している領地でもあり、死の森に一番近い村だ。帝国内でも重要な場所だ。各種方面で貢献してくれている冒険者ギルドの存在は大変ありがたいもの。」
冒険者ギルドからの貢献は非常に大きい。
冒険者たちがいなければ、ノースサンド村の維持は難しい。それだけに無視もできない存在だ。
「いえ、我々冒険者ギルドの活動がノースサンド村の成長に繋がるのであればギルドとして本望です。最近は、冒険者の数も増えており、拠点にしている者も増えている状況です。しかし、食糧不足は深刻でありダンジョン産の食糧需要は増えており、物価上昇が続いている状態です。」
今、このテーブルに並んでいる軽食類もすべてダンジョン産だ。
こういったものの物価上昇が続いているのも状況だ。
「食料品を中心に物価上昇している現状は報告で聞いている。一般住民の農業生産量が減っているのが大きい。農業に関して言えば、短期的に解決できるものではない。ノースサンド村周辺の魔物による被害も大きくこういったことには予算を割り当てる予定だ。冒険者ギルドとしても依頼として積極的な協力を要請する。」
最近は魔物による被害は無視できないほどに増えている状況だ。
ダンジョンからの魔物氾濫いわゆるスタンピードは発生していないからいいが、魔物はダンジョンだけではなく周辺も発生する。
この発生量が増えているのが問題なのだ。
「もちろんでございます。通常であれば、冒険者ギルドが仲介手数料としてマージンを取るのですが、ノースサンド村への貢献施策として、仲介手数料は全て冒険者に還元し、依頼を受けてもらいやすくする方針です。」
「これは助かる。冒険者が受ける利益が増えるのであれば、依頼も受けてもらいやすいでしょう。」
「ええ。警備依頼となると、それなりに低いレベルのパーティーが受領することが多いです。物価上昇は食品類だけではありません。低レベル帯のパーティーは、この物価上昇に影響を大きく受けており生活に苦労しているため、冒険者ギルドとしても対応をしたいと思っているところなのです。」
食糧不足は、全体的な需給バランスを崩している。
ダンジョンにおいても需要が増えている食糧を優先した活動になっており、その他の物資についても供給量が減っており、物価上昇を巻き起こしている。
それによって全体的に物価上昇や品薄が続いていたのだった。
「ふむ。やはり、食糧全般は、一般の農業から供給することが重要だな。何もかもダンジョン産に頼るのは限界であろうな。」
「ええ。ダンジョンでも食糧は獲得できますが、基本的には高級品として扱われるものが多いです。それを全住民を賄うのは不可能でしょう。」
魔物やダンジョンから得られる品は、普通に生産するより基本的に品質が高い。
それゆえ、本来であればダンジョン産は貴族や富裕層、民が生産するものは民衆向けにというのが理想の姿だ。
ダンジョン産ですべてを賄うのはノルンが言う通り不可能だろう。
全兵士を冒険者のように扱えば、もう少し状況は良くなるのだろうが、公平性の問題や盗賊問題そもそも戦争が多く発生している情勢を考えると不可能。
「ノルン殿のいう通りだな。この状況を乗り越えるために引き続き、フラウ家に力を貸していただきたい。」
「もちろんでございます。冒険者ギルド本部に掛け合い、さらなる支援ができないか検討していきます。」
「助かる。状況に進展があれば、手紙をはじめ、こういった場でもかまわないし男爵家に来てもらってもかまわない。」
もともと冒険者だったノルンは、地域経済の発展が冒険者たちが自由を維持して実力発揮できるものと理解しており、協力的だ。
冒険者ギルドの幹部も冒険者出身が多いが帝国本土の人間も混ざっているため調整ごとが多いのが実情だ。
なかなか支援となると進展しない。
やはり戦争への支援や帝都周辺への施策が中心になるのだろう。辺境のしかも男爵領となれば優先度が下がる。
「では私は次がございますので、これで失礼。お会いできて光栄でした。では、お茶を運ばせますので、ゆっくりとお寛ぎください。」
「うむ。ご苦労であった。引き続きよろしく頼む。」
今回の会合もそれなりに収穫はあっただろう。
だが、根本的な解決にはまだまだ遠い。
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