080:フラウ男爵家の見聞(ノースサンド村長)
「イヴ。現在向かっている場所は、我々の領地で一番人口が多いノースサンド村だ。わかっているとは思うが我々の領地にとって一番の要所となる村だな。」
フラウ男爵家にとって砦とノースサンド村が主要な資産と言える場所になる。
今回はノースサンド村への見聞となる。
村長宅に向かって馬車を進めているところだった。
「お父様。承知しています。今回は減税措置のお話と納税猶予が与えられるだけという、現状を考えると厳しいお話をしなければいけないですね。」
「うむ。そうだな。だが、弱腰でもいけない。我々も施策を打ち出す必要はあるが、彼らも打開策を打ち出す義務はあるからな。」
最近では浮浪者が増えて、盗賊団への流入、口減らしによる子どもの奴隷商人への流入などが問題となっている。
特に冒険者業以外の農業や畜産業といった業種を担っている村人の生活が苦しくなっている。
そのため、この不景気が関連する業種へも広がっていることもあり、ノースサンド村の人口自体も減っている。
「盗賊団といった輩も問題だからな。ダンたちが制圧するような動きもしているが採算性も無いからな。フラウ男爵家以外のものが討伐した際は報奨金を出しているから財政圧迫の要因になっているしな。まったく困ったものだが、このような世の中では、盗賊団が勢いづいていくのも仕方ないことなのだろう。」
フラウ男爵たちはノースサンド村に到着し関所を通過。
ノースサンド村の村長たちが出迎えに来ていた。
「フラウ様、いつもご足労いただきありがとうございます。ささ、お疲れでございましょう。案内いたします。我々の馬車を追尾願います。」
村長が乗ってきた小型の馬車の誘導に従い、村長宅に向かい入れられる。
「簡単なものではございますが果物でございます。どうぞお寛ぎください。」
ダンジョンで採れたものであろう食材たちが並んでいる。
接待に使う食材というと、ダンジョンで採れたものが相場である。
この規模の村の村長であればダンジョン産の食材はなんとかなる代物。だが、年々、品数は減っていたり、品質も落ちてきているように思えるので、だんだん厳しくなってきているのだろう。
「ありがたくいただこう。」
冷たい紅茶類や果物などをいただく。イヴは果物が好きなので好んで食べる。
そのあたりも情報をしっかり仕入れているのだろう。
馬車は揺れるため体力消耗が激しい。
そのため、到着後は果物やお菓子類のものを休憩用に出されることが多い。
その後、応接室に招かれて最近の情勢や景気の話などの報告を受ける。
「なるほど。特に農作物類は魔物の襲撃や盗賊団の強盗などで特に被害を受けているか。我々も帝国からの要請で戦争のための出兵、大手の盗賊団撲滅に向けた討伐戦で人手が足りない状況だ。村人が依頼を出している現状もあるようだが、フラウ男爵家として冒険者ギルドに依頼をする予算も可能な限り出すとしよう。」
「それはとてもうれしい話でございます。」
「そして税金ではあるが、例年に続き減税措置を行うが、今回は納税猶予を与える条件だ。しっかりと体制を整えて、納税を行うように。」
「とても苦しい状況ですが、承知しました…。ですが、ご配慮いただきありがとうございます。他の領地であれば、略奪に近いような徴収をしているところもあると聞きますし。」
実際のところは税金が払えないのであれば、子どもを奴隷として売渡し、それで賄うなどをしているのも現状だ。
「我々は一時しのぎにしかならないことはしない。共に打開策を出し、施策を打っていきたいので協力を頼むぞ」
「はい。もちろんでございます。明日は、冒険者ギルドにてギルド長や各業界の代表が集まっておりますので、会議出席をお願いいたします。」
村長に案内されて冒険者ギルドに向かう。
一番豪華で整備されているのは冒険者ギルドである。
冒険者ギルドは大組織であるため影響力も強い。
帝国内での影響力もかなり大きい。爵位こそないが、冒険者ギルドの総帥は帝王の次に影響力があるとされているほどだ。
夕食をいただき村長宅のゲストルームに宿泊する。
明日は冒険者ギルド長含めた現場に近い人間たちが集まった会議になる。
ここからでしか打開策は生み出さないと思っており、
重要な会議として認識している。
「さて、今年はどういう会話になるだろうか。」
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