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078:ノースサンド村調査 農業革命の支援者

「ランドさん。流浪の民になるくらいなら提案があるでごじゃるよ」


「はぁ。提案というのはなんでしょうか。」


ナナは、夜逃げされるくらいであれば希望の光になれるのではと思いチャンスと感じた。


「私は冒険者として流浪している身。ノースサンド村の人間ではありません。ですが、ここから死の森方面に隠れ里、村へと発展させようとする仲間がいるでごじゃるよ。」


「死の森方向にですか?聞いたことがありませんが、隠れ里というくらいですから、この国にも属していないということなんですかね。」


ランドさんは信じられないという気ではいたが、鮮やかにウルフ等を討伐した様子から少しだけ信憑性を感じていたようだった。


「そうでごじゃる。そこでは農業の研究が盛んで、『肥料』と言われる土壌を回復させることができる素材があるでごじゃる。それを使って、この地で農業をしてみてほしいでごじゃるよ。その間の食料や必要な物資は支援させてもらうでごじゃるよ。」


かなりの好待遇となるため、少し何を言っているかわからないとでも言う、ランドさんの様子。


「うーん。といっても少し信じられないでごじゃるよね。これが隠れ里で収穫できる野菜でごじゃるよ。食べてみてほしいでごじゃる。」


そういって、布袋から野菜を取り出し差し出す。

錬金術を施した布袋であり、保存に適した錬金術アイテムがあり鮮度が落ちないようになっている。


「これは…見たことがない野菜ですが、その隠れ里で採れたものですか?すごく綺麗だ。」


生でも食べれる野菜であるトマトを渡した。


「丸ごといってみるでごじゃるよ。私も食べてみるでごじゃる。」


手本にとナナは新鮮なトマトにかぶりつく。

その様子を見たランドさんは、意を決して食べてみる。


「な、なんだこの味は。とても美味しい。そして水分たっぷりで、爽やかな酸味…」


一気にトマトを食べていくランドさん。


「す、すいません。一気に食べてしまいました。いえ、それくらい美味しかった。こんな食べ物があるなんて…」


とても感動しているランドさん。

これはいけるかとナナは感じた。


「これはトマトと言う野菜でごじゃる。さすがにトマトは隠れ里でしか栽培できないでごじゃるが、普段育てている野菜を『肥料』を使って育ててみないでごじゃるか?」


少し考えている様子のランドさん。

少し時間が必要だろうか。


「わかりました。夜逃げするしかない身です。そのヒリョウと言われるものを使って、もう一度やり直してみたいと思います。ぜひ、よろしくお願いします。」


交渉が成立。

単独で判断したが、エリスさんは止める様子がないので問題ないのだろうとナナも判断。


「ありがとうでごじゃる。『肥料』の効果が広まれば、世の中は変わるでごじゃるし、ランドさんの生活も変わるでごじゃる。全面的にサポートするので一緒に頑張るでごじゃるよ。」



その後、ランドさんの自宅に招かれて、家族を紹介される。

ランドさんはまだ若く20代。妻も同じ年らしく、幼馴染で恋愛結婚なんだとか。

両親が農家だったらしくそれを受け継いでのことだったのだとか。その両親は最近他界。

子どもは4人いて、まだ子どもだった。

仕事に子育てととても忙しい状態の様子。



「では、当面の食料を置いていくでごじゃるよ。近場で魔物を狩ったドロップ品やノースサンドで買った食料なので、特に目新しいものではないでごじゃるよ。定期的に来るでごじゃるから、節約は不要でごじゃるよ。家族全員しっかり食べるでごじゃる。」


ランドさんたちは驚いた様子だった。


「自分たち用に、こんなにたくさんの食料を見たのは初めてかもしれません。なんとお礼を言えばいいのか。必ずお返しできるように仕事します。」


「そのあたりはちゃんと『肥料』の効果が出たら相談するでごじゃるよ。あと、子どもは食事が基本でごじゃるから1日最低2食はしっかり食べさせるでごじゃるよ。私たちは数十年先まで考えた提案をしているでごじゃる。なので、この話は、子どもの育児含めてしっかりやるでごじゃるよ。」


ランドさんは子どもたちを見つめている。何か思うところがあるのだろう。


「子どもにはまともに食べさせてあげることができずにいました。そうですね。数十年先まで考えてやらないと子どもも不幸になりますよね。はい。わかりました。しっかり食べさせます。」



今後、肥料を運び出すことを約束しナナたちはランドさんたちの農場から離れた。




「(という、顛末だったでごじゃる。なので、『肥料』や食料の輸送を頼みたいでごじゃるよ。ししばらくはノースサンド村を拠点に調査結果を報告とランドさんの支援のための活動をするでごじゃるよ。)」


「ナナ。了解だ。これからの支援者を見つけられて何よりだな。まあそっちで冒険者業をして支援金や支援物資を調達するってことなんだろ。わかったよ。」


「(そちらの物資を換金してもいいとは思うでごじゃるが、派手にやると目立つので、基本はこっちで調達するでごじゃる。なので、私たちが食べる食料や物資補給はお願いするでごじゃるよ。)」


「もちろんだナナ。しばらく、こちらには戻れないのかもしれないが頼んだぞ。休憩にいつでも戻っていいからな。」


「(嬉しい言葉でごじゃる。お付き人できないのはさみしいでごじゃるが、先陣切るのもピースの民のリーダーとしての役割でごじゃる。)」



農業革命の第一歩をナナが進めた形になる。

結構強硬策で支援しているため、そのうち領主との問題も出てくるであろうが、相手にメリットが大きい話だから為政者であればよい関係を築けるだろう。と、今は信じておく。


エリスの計算だと問題はないとのことだったので、それを信じているのが大きいが。

面白いかも…

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