070:ノースサンド村調査 酒場「バーフロント」
「さてと、ギルドカードを手に入れたでごじゃるし調査を進めるでごじゃる」
冒険者ギルドでギルドカードを手に入れたので調査を進めることにしたナナ。
まずは周辺散策ということでぐるりと歩いて回ってみる。
飲食店のような露店などは全く無いが、人通りはそれなりにあるようだ。
冒険者や傭兵といった種類の人たちが多い印象だ。
商店はあるが、武器や防具といった類の店や生活用品などがある。
食品類はどうかというと、目立ってあるわけではなかった。一般流通は少ないということだろうか。
「食べるものは売ってる様子は無いでごじゃるね。」
もう少し歩いて観るとマーケット広場のような場所があった。
そこには一般市民と思われる人も多くてそれなりに人が集まっていた。
「ようやく、食べるものが売ってるでごじゃるかね。見てみるとするでごじゃる」
こういったところで人々がどういうものを食べているのかがリアルにわかる。
事前情報通りある程度の種類はそれなりに流通していた。
しかし、どれも低品質な食料ばかり。
低品質なのはわかっていたが、その中でもかなり痛んでいたりして、美味しく食べれるものではなかった。
麦飯を主食として食べているため、麦は売っているのだが、どれも小さく劣化したものが多かった。
正直こんなものを売るのかとすら思ってしまうほどだ。
おそらくは農業で収穫したものだとは思うが、鮮度は低く古い麦なのだろう。
「(うーん。とてもじゃないでごじゃるが食べるものではないでごじゃる。)」
ナナたちは食料を別途持ち込んでいるため、特に調達する必要はない。
不足した場合は周辺待機しているピース民から補給を受けることになっている。
あとは随時、周辺で魔物を倒し調達するような運用だ。
「あっちは、魔物討伐で得られた食料でごじゃるね。こっちは割と品質がいいでごじゃるね。」
品質が良いといっても、死の森で得られる食料に比べると、それなりのものにはなる。
「どうだい。お嬢さん。これはオークの肉だ。仕入れたばかりの代物だ。品質もここらじゃいいものだよ。それに、そこまで流通しないものだから買うなら今だぜ!」
このあたりで得られるドロップ品はエリスから情報を仕入れている。
ただし、マーケットに流れてくる商品はいくつもの業者を経由しているため相場は高くなっている。
そのため、一般市民には手が届かない高級品となっている。
買えるのは戦争で稼いできた傭兵や稼げている冒険者となる。ここらでは冒険者が良い商売相手となっている状況だ。
「うーん。少し高いのではないでごじゃろうか。もう少し値引きしたら買うでごじゃるよ。」
「いやぁ。うーん。まあそうだな。少し値引きしてやるよ。」
高いのは高いが、何も買わないのも怪しいと思ったので、マーケットでは標準的な相場で買うことにした。
「毎度あり!このオーク肉なら、この近くの酒場のマスターが喜んで調理してくれるだろうよ。頼んでみな。」
「わかったでごじゃるよ。そうするでごじゃる。」
食料が乏しいのもあり、食料持ち込みで調理してもらうのも立派な手段の一つなのだろう。
昼間ではあるが酒場で情報収集もいいだろうと向かうことにした。
冒険者ギルドで換金した資金はそれなりにあるので、今日暮らすには十分だ。
このあたりもエリスのアドバイスに従っていた。
近くにある酒場「バーフロント」に向かい入る。
男性も女性も冒険者中心で歓談しているようだった。おそらくそれぞれパーティーなのだろう。
レベルやスキルさえあれば、性別は問わずやっていけるのが冒険者。
最初にやっていけるかはスキル次第というのもあるので、スキル次第とも言えるが。
「マスター。食料持ち込みで調理したもらいたいのでごじゃるが。」
オーク肉を差し出す。
「おぉ。嬢ちゃん。いいオーク肉だな。俺はな、肉料理が得意なんだ。よし、ここは初めてだろう。サービスで調理料は無料でやってやるよ。何を飲む?」
「では、ビールを頼むでごじゃる。」
意気揚々と調理に向かったマスター。
店員がカウンターに案内してくれて、ビールを持ってきてくれた。
「ほかにご注文はございますか?」
「そうでごじゃるね。じゃあこのナッツを」
冒険者が仕入れたきたであろう品目がメニューに多かった。
割とここは良い店の類なのだろう。
冒険者を見渡しても、それなりの装備をしているように思えた。
ビールは、それほど美味しいものではなかった。
原材料があまり良くないのだろう。
麦などは、農業で得られるものを使うだろうし。ここらで作られたものではないかもしれないが、品質は低いのがよくわかる。
「(うーん。レオさんにビールを作ってもらって飲みたいでごじゃるね。)」
そうこうしているとマスターがオーク肉を調理して持ってきてくれた。
ステーキにしたようだ。
周辺にジャガイモなども乗っててサービスなのだろう。
「いやぁ、なかなかいいオーク肉だったな。作りごたえがあったぜ。野菜類あるがこれはサービスだ。一部、相場程度に手数料はもらっているがな。」
それなりに良いオーク肉を調理できたのが楽しかったのだろう。
あと手数料というのは、依頼した品の一部は手数料として持っていかれるものだ。
なので、調理料と現物自体の一部を渡すことで、調理してくれるというものだ。
「まあでもこれだけのステーキを作ってくれたのでごじゃる。感謝するでごじゃるよ。」
オーク肉は美味しかった。
岩塩を調味料にしたもので、焼き加減はとても絶妙だった。
恐らく【調理】スキルがあるのだろう。
「ふう。満腹でごじゃる。」
オーク肉か。いいなぁといった黄色い声も聞こえつつ、ステーキを食した。
「マスターご馳走様でごじゃる。このあたりの農家はどっち方面でごじゃるか?あとはダンジョンか迷宮があれば教えてほしいでごじゃる。」
「ん?ノースサンドには来たばかりか?農家は、ここから西に向かったほうにあるが、今年は不作だからな売れるほど食料はないと思うぞ?それならダンジョンがその先にあるからそっち行ったほうがいいだろうな。ノースサンドに流通する物資はほとんどそこからだからな。」
「ありがとうでごじゃる。行ってみるでごじゃるよ。」
「おう。またいい食料手に入ったらいつでも持ち込んでくれよ。俺も助かるからよ。」
エリスから聞いていたので知っていた情報だが。ちゃんとコミュニケーションとって動くのも大事なことだ。
人の繋がりというのも大切にしないといけないし。
このマスターは悪い人ではないと思われる。一応エリスの分析結果等は確認するつもりだが。
では新しい情報も得られたことだし、動きますか。
面白いかも…
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