048:ワーウルフの出産
ワーウルフであるルナがそろそろ出産を迎えるらしい。
エリスが報告してくれた。
ワーウルフが出産を身近に体験することは、非常に特別で奇跡的な出来事とされている。
もちろん邪魔しないようにそっとしておくつもりだ。
エリスが介助をすることで調整していたらしく、エリスはルナに付きっきりだ。
生命の誕生と成長のプロセスを示すことは、俺たちとエリスとの絆を深めることにつながるだろう。
「ルナの経過は順調か?何かあったらポーションなどは惜しげもなく使っていいからな。」
本体のエリスはルナの傍にいるため、今会話しているのは球体のほうだ。
「レオ。特に問題はありません。母体の健康状態も問題ありませんし、まだ兆候があるだけで出産は始まっていません。ポーションは万が一の場合に使用することになりますが、ワーウルフの出産はあまり重いものではないとされているため大丈夫でしょう。」
それでもなんとなく心配というものだが。
ワーウルフが出産する前には、数週間から数日前に、自分の体の中で新しい命が成長して、頃合いになると出産を示す明確な兆候を示す。
この期間中、ワーウルフはより穏やかで、寝ていることが多く、食欲が減退する。
そして、出産は人間の姿ではなくワーウルフの状態で行う。そのため、ここしばらくルナはワーウルフの姿で生活していた。
出産前、ワーウルフは産道を通じて出産するために、自分の身体を準備する。
それには、陣痛の開始、そして子どものワーウルフ自身が体内への収縮が含まれる。
これらのプロセスは、出産前にワーウルフが不安やストレスを感じることがあるため、彼女を落ち着かせ、安心させることが重要だった。
そういったケアもエリスが実施していた。
出産の瞬間には、ワーウルフは通常、床や布でくるまれた場所を選んで、そこで出産する。
ルナはしばしば自分の体の中で子犬を助けるために、舐めたり、かんだり、引っ張ったりする。
これは、子どもを正しい位置に移動させたり、出産のプロセスを促進したりするために行われるとか。
出産場所は、ルナが住んでいる小屋の一部を分娩室のような状態に改造している。
万全の体制である。
そして、深夜帯にエリスが報告してくれた。
「レオ。出産が始まりました。私は現在、サポートをしています。」
「そうか。頼んだぞ。俺は特にやれることもないからな。」
出産中はルナを励まし、安心させることが重要。
ルナに水を与え、温かいタオルで身体を拭いたり、必要に応じてエリスが助産師のような役割を果たしたりする。
これは信頼関係があるからできることで、通常のワーウルフは一人で出産する。
こういった体制自体が奇跡であろう。
また、子どものワーウルフが正常に生まれたかどうかを確認するために、彼らが吸っている液体を取り除いたり、彼らが息をしていることを確認する必要がある。
こういった作業は、エリスが代替する。
ワーウルフが出産すると、子どもはしばしば母犬の乳首を見つけ、授乳を開始する。
子どもは最初の数日間で急速に成長し、彼らは眠り、食べること、そして彼らの兄弟たちと遊ぶことを通じて成長していく。
「レオ。1匹目が無事に産まれました。さっそく母乳を飲んでいますよ。」
「おお。いよいよ産まれたか。会えるのが楽しみだな。明日の朝が楽しみだな。」
1匹産まれるとその後は順調に産まれていく。
2匹3匹と産まれ、結局は6匹産まれた。オスとメスが3匹ずつだったとのこと。
ワーウルフは、強力な魔物が存在するエリアに生息している性質上、他頭数を産んでいくが生存率も低いため、最終的には2匹程度残ればいいほうのようだ。
また、出産自体もハイリスクであるため、障害に何度も生むわけではないとのこと。
特にルナの場合はパートナーが既に亡くなっているので、今後は産むことがないだろう。ワーウルフは一夫一妻制らしい。
話は少しそれるが、よくわからないのは魔素から誕生する魔物も多い。そのため、繁殖するという機能はそもそも必要なのだろうかと疑問に思った。
そのあたりはエリスが分析しており魔素が暴発しているからこそ起こっている現象であるため、過去は繁殖による増殖が普通だったようだ。
魔素からの誕生は生態系のバランスをある程度維持するための救済措置であったとのことだった。
「レオ。体力の消耗が激しかったのもあり、ポーションを投与しました。また傷口の回復のために使用しています。」
ポーションがあれば感染症のリスクもなくなるので万能なのだ。
「もちろん問題はない。命の危険にさらされなくてよかったよ。」
翌朝、ルナのところに向かった。
ルナは人の姿をしていた。その状態で子どものワーウルフを面倒見ていた。
細かい育児は人の姿のほうがいいみたいだな。
「ルナ。おめでとう。元気な子どもが産まれたね」
「ん。エリスに助けられた。ありがとう」
「ルナ。問題ありません。そもそもここにいれば危険のない出産でしたから。私は少し補助しただけです。」
まあワーウルフ史上、一番安全な出産だっただろう。
「ん。普通一人で産む。これは珍しい話。でもこれが安全。」
可愛い子どものワーウルフがルナに甘えて過ごしている。かわいいな。
「ルナ。ちょっと抱っこしても大丈夫か?」
「ん。問題ない。抱っこしてあげて。」
一番最初に産まれたのは女の子だったようで、この子を抱いてみた。
しっかりと腕の中に包まれてくれた。居心地はいいようだ。
初めてなりに落とさないよう優しく抱っこする。
この子たちも家族のようなものだ。
大事に育てていきたいと思う。
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