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異端武術白書   作者: 流浪の空手マン
2/3

act.1 『武術と格闘技』

この作品は独自の観点からまとめた個人の意見になります。

特定の団体、組織を中傷する意図はありません。

あしからず。

今日も今日とて記事を書く。



私の主だった現金収入は、実は記事ではない。

いや、細々と広告収入があると言えばあるのだが、とても生活費として胸を張れる金額ではないのだ。

ではなにか、と言えば。


少し離れたところに、貸しガレージを開いている。


土地は昔安いときに購入していた。

家を立てようと思ったのだが、先立つものが土地で消えてしまったので、仕方なく月極駐車場を開いたのだ。

そして紆余曲折あり、少し前に新しい工法とかで短期でガレージが建てれる、との謳い文句に飛び付いた。


結果としてそれは当たりと言っても良い結果になったわけだ。

減価償却はまだ終わっていないが、ガレージに入っている人たちを見るに、しばらくの期間は出ないだろうと思う。




とまぁ、収入に関しては問題ないので、ニッチな記事を書こうと日々奮闘しているわけだ。


進んでニッチな記事にしようとしているのは、単純にバズり目的である。

オーナーには不純だ、と不評であるが、まずは興味を持って貰わねば始まらない。


とは言え、武術があまりにもイロモノ扱いされるのもまた問題だ。


故に、定期的に基本となる知識を投下していくことが必要だと、私は感じている。


別にオーナーに忖度したわけでないことはここに追記しておく。







皆は『武術』と『格闘技』の違いを分かるだろうか。


よく、殺す技を『武術』、生かす技を『格闘技』や『武道』と分類されるのを見る。


が、それは間違いである。






格闘技や武道でも人を殺めることは可能である。

逆もまた然り。


では何が違うのか。


武道は格闘技と武術を説明した後の方が分かりやすいため、先ずは格闘技と武術の違いから説明していこう。



『格闘技』とは?


一言で表すならスポーツだ。


人と人がルールのもとで競い会う競技。殆どの格闘技が1対1で戦うもので、制限時間や禁止項目で安全性を高めたスポーツである。


勝ち負けがポイントやダウン等で決められ、禁止されている行為を行った場合は反則負けもある。


指定された範囲内、またはリングと呼ばれる場で競い合い、そこから恣意的に離れると試合放棄とみなされ敗北を宣告されることもある。


相手が技術的、体力的に優れた場合でも、挑むことは良しとされる。


日々の練習で培った技術、体力を試合と言う形で表現する、そんなスポーツだ。


ありきたりな説明ではあるが、どの競技もそう外れてはいないだろう。


そう、スポーツなのだ。




では『武術』とは?



武術を説明するに当たって、密接に関係している武術の成り立ちから説明していきたいと思う。



今より遥か昔の世界は、技術的にも倫理的にも未成熟だった。

力が尊ばれ、個人の武力がルールよりも優先された時代が有った。


力や体格に優れた者が、自らに劣る者を搾取し、支配していた時代。


力に劣る者は家族を、仲間を守るために決断した。


そして彼らは団結した。


武術の始まりである。




武術とは純粋な技術では無い。


武術とは共同体から生まれたのだ。

弱き者が団結し、強き者に抗う術を模索した。そこに武術の『源流』がある。


やがて国が成り立ち、法が民を守護するようになっても、弱き者達は自らを守る術を継承し続けた。

それは仲間を、同朋を守ると言う意思。

洗練された技術などはまだ後世に遠いが、共同体の根幹である『共に生きる』と言う意思は、古くから現代に至るまで継承され続けてきたのだ。


武術の本質はここだ。


『共に生きる』


その為に子を守り、教育する仕組みを整えた。


礼儀を教え、社会で生きる知識を伝えた。


合理的な思考を培う術を教えた。


理不尽をはね除ける技術を鍛えた。


武術は、そんな人々の生活の中から発展してきたのだ。



武術とは、共同体を運営するための実学である。


それは時代を経ても変わらなかった。


戦国の世が終わり、徳川が治めた江戸時代。武術は評価され、流派を囲う藩も現れる時代。


その中でも武術は組織の運営術を『戦闘』をテーマに広げていった。


より伝え易く、一定の成果が上がるように伝わり易く。

そうして伝えられる人材を育成するシステムを整えた。



武術を分解してみれば分かりやすいかもしれない。


武術は、

・礼儀

・社会常識

・集団生活のいろは

・合理的思考

・哲学、思想

・戦闘技術

から構成される。


『集団生活のいろは』は、集団の中でのコミュニケーション術はもちろん、一門と言う組織を運営する方法も含まれる。


『合理的思考』には戦術理論、戦略理論などで構成されており、その流派の経験や考察が秘伝として継承されていることも珍しくない。


そして『戦闘技術』。教え易く、伝え易くを求めた流派ほど、技の良し悪しよりも身体を制御する術を伝えるようになった。

これは最近よく聞く『古流体術』『身体活用法』の一端であろう。



この戦闘技術がやがて時代に合わせて武道となり、ルールが洗練され格闘技へと変わっていった。


武術の本来の役割は時代に合わない部分は縮小され、コミュニティとして若人を教え導く術として現代に最適化されていった。



武術よりも技術的に洗練され、ルールで公平化された格闘技に、リングの上で武術と比べれば優劣は明らかだ。


勝利条件を自ら決めるのが武術である。自分に有利な戦場を設定し、そこに引き込むのが武術である。勝つべくして勝ち、負けそうな戦いは回避するのが武術である。戦うことよりも、危険に近づかない護身術を学ばせるのが武術なのである。



武術と格闘技を競わせることがいかにナンセンスか分かっただうか。




武術は古い時代の実学である。

様々な出版物に溢れた現代、ビジネス学や帝王学と言った専門的なメソッドは無数に有る。

最近注目されたとはいえ、参考にはされても武術が本来のあり方を示すには、時代が変わりすぎた。


格闘技や武道とは、移り変わった時代のなかでも先人達が武術のあり方を模索した結果なのだと、私は思っている。


どれそれが優れている、と言うものではない。

時代に合わせて変化した、只それだけなのだから。










校了、っと。


私は背もたれに身を預け、息をついた。


まぁ、適当にまとめればこんな感じか。

実際のところ?

どうだか知らんよ。()()()は間違えてないと思うが、あとは独断と偏見で定義付けしたようなもんだ。


「へぇ、悪くないですね」


「おわっ!?」


いきなり肩口から声がして、出したこと無いような声が口からでた…

と言うか、ビックリして腹筋固めたからお腹いたい…


私が恨めしげに睨むと、オーナーはしたり顔でカウンターに用意していたコーヒーを持ってきた。


そんなものでは懐柔されんぞ!


「もうお昼なので、クラブハウスサンドはいかがですか?」


「…ボロネーゼも所望する」


彼女は上品に笑うと、分かりました、と言って厨房へ消えていった。


ふむ、この腹筋の痛みとトレードと言うことだな。

決して懐柔されたわけではない。




決して!


ご拝読ありがとうございました。

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