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異端武術白書   作者: 流浪の空手マン
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はじまり

思いつきで書き始めたものです。

続けば良いなぁ…

私はよくいるフリーのコラムニストだ。


テーマは主に武術や武道、格闘技といったものを取り扱っている。

ただ、この辺りは有名格闘家や、著名な武術家の占有に近いので、私も含めた一般コラムニストでは雑誌に掲載されるなど夢のまた夢、である。


では、一般の格闘系フリーライターは何処に記事を出すのか。


それはネットだ。


昨今は雑誌よりも読みやすく、スマホで簡単にアクセス出来るネット記事に需要が高まっている。

しかも記事の人気が出れば、雑誌からのオファーもあると言う。

ただ私自身はあまり功名心は無い。

年齢もあるが、一番はこのライター業を趣味でやっているからか。




私がいつも記事を書くときは、行きつけの喫茶店の一番奥のテーブル席を借りさせてもらっている。


喫茶店にしてはやや明るめの室内。席数は多くない。奥に長い店内は、隠れ家的なとても居心地の良い雰囲気を纏っている。


お客さんはそこそこ。ただこの辺は喫茶店が乱立し、なにかワンポイント足りないこの店の客入りはどうしても残念なものになってしまう。


でも問題はない。なぜならこの店は建物のオーナーが暇潰しで営業しているお店だからだ。

だから看板も非常に分かりにくい。明らかに儲ける気が無いと思う。




私がこの店を知ったのは、若いときに入っていたある武術館でのこと。

古流に分類される武術を教えていたその武術館で、私よりも少し年上の、堂の入った同門生が居た。オーナーである。

私はその頃から物書きの真似事をしていた。書くのが好きだったからだ。

そのオーナーとはなぜか気が合い、良く話すようになっていた。

好きなこと、やりたいこと、カッコいいと思うこと、これからのこと。

そのなかで、二人で不満に思ったことがあった。


武術界の現状だ。


武術と聞くと胡散臭いモノのように思われる。

気や超能力などと一緒くたにされて、嘘つき呼ばわりされることもある。

じゃあリングに上がれよ、なんて暴論も良くあることだ。


一般の人は武術に興味がない。

興味がないから理解しようとしない。

まぁ、仕方ないとは思う。スポーツならともかく、武術と聞けばどこか物騒な響きであることは否定しようが無いし、実際本質的な部分で人を傷付けるものであるから。



そこでコラムだ。


一般の人にも分かりやすく、興味を持って貰える様なコラムを書きたい。


それが私のやりたいことであった。


そこにオーナーが、『では私は隠れ家のような喫茶店がやりたいので、そこで記事を書きませんか?あなたの記事を一番に読ませて貰いたい』と提案をくれた。


かれこれ15年前の話である。





「今回の記事はいかがですか?」


一通り文を書き終わり、背伸びをして凝りを解していると、オーナーからコーヒーと共に進捗を確認する言葉を貰った。


「悪くは無い」


「口癖になってますよ、それ」


自身の意識してないところで誤魔化しが癖になっていたようだ。


オーナーの上がった片方の眉が、まるで()()の呆れを証明しているようだった。


ご拝読ありがとうございました。

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