魔王と参謀と最終決戦
「報告です。魔王様、NO2が敗れました」
「…そうか」
魔王軍参謀の私の報告に、魔王様は短く答えた。
「監視によるとNO2との戦闘は終始勇者PTのペースで進み、NO2は成す術もなくやられたそうです。そして現在勇者達はこの魔王の間の扉の向こう、セーフポイントで休憩中と思われます」
セーフポイントは天界の神々が地上に作った我々魔族が立ち入れないような結界だ。こんな魔王城の中にも無理矢理作ってくるあたり、天界のやつらの意地の悪さと、我々魔族をどれほど排斥したいのかが見て取れる。
「今の内に勇者達の情報を整理します。先刻魔王城に攻め入った勇者達は城の警備を歯牙に掛ける事無く突破、城内を探索しながら各所の宝物を回収して回りました。要所に配置した魔王軍の幹部達も難なく倒し、勇者達の戦闘力は私達の予想を遥かに上回るものだったと言えるでしょう」
「………」
勇者達が旅の途中で入念な訓練を行っていた事から、雑兵では相手にならないという予想は立っていた。しかしNO2を含め幹部までも相手にならないとは…セーフポイントがある以上元より消耗戦には持ち込めない、勇者達は万全の準備を整えて魔王様と戦う事が出来るだろう。
「…いよいよだな」
「はい」
勇者がここまでの強さを持っていたのは予想外だったが、この展開になる事は想定内の事だ。というか…万全の勇者と戦う事は、魔王様からすればむしろ望むところなのだ。例えセーフポイントが無かったとしても、魔王様ならあえて安全地帯を作ってでも勇者達を回復させたかも知れない。
「早く来い…そして、存分に戦おうじゃないか!」
そう、魔王様が地上へ侵攻した理由はただ一つ。自身と同等以上の強者と戦いたい、ただそれだけだったのだから。
なんで魔王城に勇者側が有利な施設があるのだろうかと