うちのダンナ詩集 木槿とクレマチス 作者: 陸 なるみ 掲載日:2021/09/06 秋口の優しい午前の光に 宗旦木槿(そうたんむくげ)のシルクの花びらが揺れる 花の奥の秘密を曝して 赤紫のクレマチスが絡む ふたりして耀(かが)よう 淡い灰色の細い指の枝 水鳥の足跡のような翠(みどり)を纏って 支えるのも重たかろうに 同色だから同類だから木槿は 声もなく微笑む 強くもない体で私を支えた 剛く繊細な貴方とはびこる私 貴方を枯らしたのは私 貴方を咲かせたのも私だ 陽は死をも言祝ぐ 絡んでも包(くる)んでも脱がしても 二度と届かない貴方の中の花芯(しん)は 薄クリームに空を目指す 地を這ってこんがらがって のたうち廻って私は見守る 貴方の花芯(かしん)は 薄クリームに突き上げて 空を目指し振り向かない