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第11話 カール 女難の相!(許可された交際宣言に父達の思惑!)

◇◇ 大事な報告があります

屋敷に戻りカールは母、マルガレータの元へ向かった。


「マルガレータ母様 カールです。 実はお話をしたい事が出来ました。」


マルガレータはカールが執務室に入るなり発した言葉に、また 新しい商売の元かと期待をしてカールから出される次の言葉を待った。


「実は。。。。 」カールから発せたれた言葉はマルガレータの予想もしなかった内容だった。


5歳に成り、学院に入りまだ1月も経って居ない そんなカールが交際を申し込まれた。それも一気に3名の女性からだ!


昔、自分も同じことをした事など頭の隅から消え失せていた。


マルガレータは急ぎ、娘のカトリーヌを執務室に呼びだした カトリーヌから事の次第を詳細に聞く為である。


カトリーヌとしても何故、こうなったか等 分からない 突然に始まった嵐のようなものだった。


マルガレータはカトリーヌとカールから話を聞き、事実だけを把握した。


突然、交際を申し込んだアンネ・フォン・グリューネに釣られるようにして交際を申し込んだクリスティナ・フォン・ハイランドとアメリア・フォン・ロードメア


アンネ・フォン・グリューネは財務卿であるクリーク・フォン・グリューネ伯爵の三女である。


クリスティナ・フォン・ハイランドは云うまでも無く国王の第四王女だ


そしてアメリア・フォン・ロードメアはこの王国の魔導師を率いるキース・フォン・ロードメア導師の長女だった。


「カール! 良かったですね 三人のお嬢さんを泣かせないように大事にしなさい 良いですね!」マルガレータとしては、現時点ではこうとしか云えなかった。


三人とも家柄としては文句は無い。

こうなってしまったら、後は相手の家から何か云ってくる事を待つしかなかったのだが


カールは成人しても爵位は継げない五男である、まぁ カールなら官僚としてもそこそこは出世するだろう、と気楽に考えていた。


さて、領都に居るアグネスとキールに居るマティルダに手紙を書いて報せなくっちゃ。。。



◇◇アンネ・フォン・グリューネ。。。。

食後、アンネは父の書斎を訪ねた


「お父さま 実はお話があります。」


「なんだ 突然に怖い顔をして?」


「実は今日、生徒会室でカトリーヌ生徒会長を見届け人としてカール・フォン・アーレンハイト様に正式に交際を申し込みました。」


財務卿としてクリーク・フォン・グリューネ伯爵は当然、カール・フォン・アーレンハイトの事は知って居た、寧ろ娘のアンネより知って居るかもしれない。 だが、知識と心は別である。


「アンナはカール・フォン・アーレンハイトと知り合って、まだ一月も経って居ないだろう? それでどうして交際を申し込むようになったのだ?」


アンナはカール・フォン・アーレンハイトを見た瞬間に好意を抱いた事を話し、一緒に回った騒乱の一週間で見せた姿に年下だけど男らしさを感じたと話した。


続けて、アンナはカールに交際を申し込んだ切っ掛けと成ったクリスティナとアメリアの事も話した


グリューネ伯爵はアンナから話された交際の申し込みからこれは正解かもと思って居たのだ、アーレンハイト家としての財政は改善され 更にカールは五男だけど、個人の才覚で将来は大成すると思われたのだ。


そこにアンナから同時にクリスティナとアメリアからもカールへ交際が申し込まれた事実に更にカールに対する将来性を感じた。


「アンナ 交際の申し込みの件は了解した。 頑張りなさい!」


アンナが書斎から立ち去った後、グリューネ伯爵は小さなガッツポーズをした。


王国の閣僚でカールが入学試験で満点を取る天才だと知って居たからだ。


中には何とか自分の娘をと考えている貴族も居た。





◇◇クリスティナ・フォン・ハイランド。。。。

クリスティナは自分の立場というものを知って居た為、カールに申し込んだ交際の件を、どうやって父。。。いいや国王に話そうか思案した。


国王とは宮中で繰り広げられる幾多の権謀術数にたけた人である。

正攻法ではダメだろうと考え、まずは同じ女である母に相談しようと考えた。


クリスティナは国王の正妃であるヒルダ・フォン・ハイランドの元へ向かった。


ヒルダは娘からの恋の相談に喜びを感じていた。

そして、三人の女性から同時に告白されたカールと云う男の子。その子との出会いから今までの事など全てである。 


恋敵は財務卿の娘アンネ・フォン・グリューネと王国魔導師長の娘アメリア・フォン・ロードメアかどちらも強敵である。


でも自分の娘が、そんな強敵が同時に交際を申し込むほど素晴らしい男の子に出会えた事を喜んだ。


「悩んでも仕方ありません、私も一緒に行きますから陛下に早く報告をしましょう。」


クリスティナはヒルダと一緒に国王の元へ向かった。

国王の執務室では今日の決裁事項は全て終わり、宰相のミューゼル侯爵と雑談をしていた。


「お父さま、少し宜しいでしょうか?」


第四王女と王妃の登場に宰相であるミューゼル侯爵は席を外す事にした。


「では陛下、本日はこれまでとし、私は退出いたします。」


「あ 待って、ミューゼル侯爵様も一緒に聞いて頂きたいのですが!」

クリスティナにしたら、もしもの時に陛下を宥めて貰う人材として侯爵の同席を依頼したのだった。


「どうした? 二人そろってここに来るなんて珍しいの~」


「実は本日、生徒会室で。。。」先程、母のヒルダに話した内容を話し出した。

実は国王であるハンス・フォン・ハイランドは政務で見せる顔と家庭人としての顔に大きな隔たりがあった。 ハンスは静かに娘クリスティナの話を聞いて居た。


話を聞いた、ハンス・フォン・ハイランドは優しい眼差しで「そうか クリスティナにも好きな男の子が出来たか? 良かったな!」と笑顔で答えた。


クリスティナやヒルダ王妃は思いもしない反応に逆に戸惑いを感じた。 王女とは最も高度な政略結婚に必要な存在である。


それが相手は伯爵家とは云え相続権も低い五男である。 激怒される事を想像し宰相のミューゼル侯爵に同席を頼んだのだ。


実を云えば国王と宰相は密かにカール・フォン・アーレンハイトの天才性に目を付けどうにかして身内にと画策をしようとしていたのだ。


学院の入試結果を知っている二人にとって、云うならば最も高度な政略結婚の相手としてカールを見定めていたともいえる。


その為、国王と宰相にしてみれば渡りに船である。


残る問題はカールが五男で伯爵家の相続権が無い事だったのだが、最近 何やらアーレンハイト家の嫡子たちが動きを見せていた。


今の時点ではまだ、5歳児で有る 暫くは様子見で充分であろう。


こうして 悩みに悩んだクリスティナは無事に父である陛下の了承を得た。





◇◇アメリア・フォン・ロードメア。。。。

昔、父のキース・フォン・ロードメア導師はカールの母アグネスを部下にしようと画策をした経歴があるらしい


アメリアは父にどの様に切り出そうか悩んだのだが、正面からぶつかる事にした。

「父上 今日は大事なお話が有り参上いたしました。」


キースはメチャメチャ緊張している娘に戸惑いながらも話しを聞く事にした。


「実は今日、生徒会室で生徒会長を立会人としてカールと云う男の子に正式に交際を申し込み、受け入れられました。」


アメリアは一気に交際宣言をした事を父に報告をした。

「アメリア! 話は分かったから、まずは落ち着きなさい」と執務室にあるソファーに娘を座らせ、普段は自分が落ち着く為に入れている紅茶を娘の為に入れた。


暫く無言の中 父娘で紅茶を飲んでいたが、やっと落ち着いてきた娘が話し出した。


学院の入学式で出会った、カール・フォン・アーレンハイトと云う男の子 何だか一緒に居ると落ち着いた気持ちにさせてくれる存在だと話しそれが今日、突然 先輩のアンネ・フォン・グリューネがカールに交際宣言をした。 そして釣られるように第四王女のクリスティナ・フォン・ハイランドが交際宣言をしだした。気が付いたらアメリアも交際宣言をしていたと話した。


キースとしては今 王城の中でもトップシークレットに近く誰もが狙っている存在であるカール・フォン・アーレンハイトに対し自分の娘が恋をした。 そしてカールはあの天才魔法師であるアグネスの実子である


キースは事の展開に付いていけないながらも笑顔が零れていた。


娘たちはカールの天才性を女性としての本能で嗅ぎ取ったのだろう。


これで性格に問題があれば困るのだが、色々な処から話を聞くと 性格は至って控えめながら要所要所に天才の煌めきを見せる大人しい性格らしい。


カールの目覚めの儀式に参加した者はみんな褒めていた。


まぁ あの3人の天才が育てたのだ、変な性格に育つはずがない!


さて、これでカール獲得レースに一歩先んじる事が出来た。

問題が有るとすれば、カールが伯爵家の相続には遠い五男だと云う事だけだ。


でもまだ5歳児だ、これから成人するまでに10年は有る、何が起こるか分からない。

そしてカールなら十分に期待する事が出来る!   待つのも有りだな!


「お父さま カール君との交際はダメでしょうか?」アメリアは恐る恐る父の顔を見ながら問いただした。


「アメリア 詳しい話は出来ないが、良くやった! カール・フォン・アーレンハイトとの交際を許す!」



こうして、三人の娘たちは自分達が心配していた事も起こらず、カール・フォン・アーレンハイトとの正式な交際の許可を得ることが出来た。



この時、何故 許可が出たのかは婚約を獲得するまで気が付きもしなかった。


カールは突然の交際相手の出現に振り回される日々が始まるとは、まだこの時は気が付いて居なかった。

段々カールの女難の相が。。。 

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