第 8話 カール 食事は大事!(バターとチーズ!)
午前中 マルガレータと料理長のクックへパンの秘密を話した。 何日か前にカールが腐ったワインを貰った時から順に話していったのだ、そして小麦から胚芽も取って丁寧に粉にすると真っ白になる事も話した。
これらの事はアーレンハイト家の秘密にする事をマルガレータは料理長のクックへ誓わせた!
「カール ありがとう 此れからは今までよりもっと美味しいパンが食べれるわ」
「いいえ 何でもありません 処で母様もクックも ミルクは何処で手に入れているのでしょうか?」
「カール様 ミルクですか? 何のミルクでしょうか? 王都だとヤギのミルクが一般的ですが 余り飲まれていないのが現実です」
「カール ミルクなんかどうするの?」
「え~ぇ 実はミルクが有るともっと美味しいものが作れるのですが ヤギか。。。。」
悩んでいるとハイドから念話でビックカウと云う魔物が居て、そのミルクが美味しいと話してくれた。 そしてビックカウは魔物としてはとっても大人しく肉も美味だとか。。。。
「母様 ちょっとミルクの当てが出来たので、少し入手をしてきます。」
カールはそう告げて、ハイドを連れて屋敷を後にした。
王都から転移魔法で領都まで戻り、そこから魔の森の中へ ハイドにビックカウの魔力を聞いて探す事 2時間 やっと見つけた。 牛の倍はある とりあえず魔物なので用心だけはしてビックカウの群れに近づいた。
小さなビックカウと一緒に食事中らしきビックカウからミルクを分けて貰う(こっそりとであるが)
大きな瓶に3つ 頂いちゃいました。
その瓶を持って王都へ転移 まだ 夕食までには時間がある。
食堂で一人、バターとチーズ作りを。。。
3つの瓶の内1つの瓶を水魔法で少し冷やしつつ、風魔法を使い撹拌をする。
瓶の中が水分と乳固形分に分離した。。。。 「よし! バターが出来た。 此れに少し塩分を加えれば結構 美味しいはずだ」
バターが出来た所でマルガレータ母様と料理長のクックに見つかった。
「カール何をしているの? その白い物は何?」
カールはマルガレータ母様と料理長のクックに白い固形物の正体を話しながら、次の瓶の中にミルクを魔法で温めながら酢を少しずつ加えていった。
今回は実演しながらの説明の為に二人の理解は早かった。 出来上がったチーズに少し塩を加え味を調えてから二人に試食をして貰った。
口の中に広がる芳醇な香りと後味の爽やかさ
クックに朝 作ったパンの残りが有るか聞いたら少し有ると云うので そのパンを貰い、少し炙ってから初めに作ったバターを塗り チーズ同様に二人に試食を依頼した。
これも素晴らしい味にマルガレータ母様よりクックの方が目を白黒させながら驚いて居た。
「カール様 これは何でしょう? 作りたてを試食したチーズも素晴らしい味でしたが いまパンに付けて頂いたこれはまさに至福の味でした。」
最後に残った瓶で本当は生クリームを作る予定だったのだが、これもマルガレータとクックに見せながらバターをもう一度、作った。
「マルガレータ母様 今回 ビックカウと云う大人しい魔物のミルクを使ってバターとチーズを作りましたが。 出来れば、領都かキールで作ってみてはどうでしょうか?」
マルガレータはカールの一言で、最近の悩みが一気に解消された。 そう マルガレータはアーレンハイト家の財政で悩んでいたのだった。
長年の借財はカールから貰った宝石や鉱石で返済できたが、主だった産業と云う安定した収入がワインしか無かった。
普通、メインが一つでも有れば良い方なのだが、農作物には波がある為 安定させるためにはメインは2つ、3つと多い方が良いのである。
ここでカールが齎したバターとチーズに、何より白いフワフワのパンである。
これらを巧くすれば安定的な収益があげられる。
マルガレータは学院卒業後で久々に胸が高鳴った。
まさにカールからの提案は神からの福音のようだった。
「カール ありがとう 良い提案ね 出来たら私の執務室でもっと詳しい話をしましょうか!」
「はぃ 母様 出来たらクックも共に話したいのですが 良いでしょうか?」
「え。。。。 カール様 私もですか? 私はただの料理人ですよ!」
カールは執務室でマルガレータとクックに今後の事を順を追って話し出した。
話の内容はアーレンハイト家の関係者を寄り親とし店を寄り子とした形態で飲食店を作ると言うものだった。 いままでに無い斬新な発想だ!
アーレンハイト家からはノウハウを提供する。 売上、若しくは利益から何%かを貰う
これを直接、アーレンハイト家が行うと何かと世間や他の貴族家にも障りが有るでしょうから当家の御用商人にやらせるのはどうでしょうか?
もし、既存の御用商人に問題が有るのなら新しい御用商人を決めても良いかもしれません。
そして原料のミルクや菌についても、その御用商人に管理や育成を任せてしまえばマルガレータ母様の手を煩わせる事は無いと思いますよ。
「次はクックの出番です クックには私と一緒に商品の開発を手伝ってもらいます。」
「最後はマルガレータ母様が宝石をお売りに成ったのと同じ様にこの食材のお披露目をして頂ければ良いかと。。。。」
「カール! 貴方は私を使い過ぎです」
マルガレータは小さく笑い カールを抱きしめた。
何でも最初に成したものにアドバンテージはある。この世界でのフランチャイズ的な形態で構想が進められた。
幸いな事にマルガレータの一番下の弟が商家に婿に入って居た。
この世界、次男以降は自分で何とかする位の才覚がないと生きていけない。
例え公爵家、侯爵家、伯爵家で有ろうと爵位が無限に有るわけでは無いのだから当然であった。
マルガレータは婿に入った弟のジョンビーノ・アスターを新たに御用商人にして全てを取り纏めさせることにした。
夕食の時間に成ったので、話はいったん中止となり 各自で考えを纏め整理する事にした。
その他の詳細は夕食後にまたこの執務室で行われる事に成り クックは執務室を出ていった。
クックが居なくなると、マルガレータはカールに問い掛けた。
「カール! 何故、クックをこの話の中に入れたの?」
「はぃ マルガレータ母様 今回は食に関する事です、その内容はかなり専門的な物に成っていますので、クックの発案とした方が都合が良いからです!」
マルガレータはカールの話を聞き、その政治的な考えに感嘆をした。
確かに寄り親と寄り子と云う関係の店舗形態は今までに無いけど、マルガレータでも発想が出来なくはない。
しかし食の内容は高度に専門的な内容だった。 柔らかな真っ白いパンにバターやチーズを作り出すのはマルガレータの発想にはない、ましてカールが思いつくとは誰も思わない事だった。
クックは代々、このアーレンハイト家に仕えている家系で信頼が出来た。
そして いままでの御用商人を使うのも良いが、やはり弟のジョンビーノ・アスターが一番、信頼が出来る。
ジョンは小さい頃からマルガレータの後を付いて回り、姉弟の中で一番 懐いて居たからだ。
この一件で、マルガレータは今まで悩んでいた経済的な事を含めてカールを自分の相談相手として対等に接する事を決めた。
マルガレータは気が付いて居ないが、最も信頼が出来る参謀を手に入れたのだった。
時には斬新な発想をし、子供とは到底思えないような政治的バランスも持ち合わせていた。
マルガレータはカールと話して居ると5歳児とは到底、思えなくなっていた。
元々、宝石の時も同じような提案をしてきたことも有ったので最早、驚きはなかった。
さてこの後、カールの中にある引き出しにはどんなビックリ箱が潜んでいる事か?
マルガレータは考えるだけで笑みが浮かんできていた。
「よし カール! この部屋に勉強机を置いてやる。 これから毎日 学院が終わったら、私の執務室に来い」
カール!? もう直ぐ5歳の誕生日を迎える。 学院入学初年度の事であった。
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