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第26話 やっと母達との練習(戦略戦術論の輪が広がる)

◇◇戦略戦術論の輪が広がる

カールを待っていたのは、マティルダと領軍幹部だった。


 アグネス母様からの手紙をカールから受け取ったマティルダ母様は今日から2週間の間、カールを有効に使うべく、部隊編成に取り掛かかる。


マティルダは先ず、100名の指揮官を教育する前に副官とも云うべき領軍幹部を集めた。


これはカールがもたらした新しい考え方をマティルダと領軍幹部が議論を重ねた結果、素直にカールから全て聞いてしまおうと云う事になったようだ。


カールはまず、アグネス母様へ伝えた戦術と同じ様にマティルダと領軍幹部へ、攻撃の陣形に付いて話した


「では 基本の陣形を10個程 話します。」


 1.攻撃を重視する陣形


 2.守備を重視(全員の守備を重視)する陣形


 3.とにかく突撃!する陣形


 4.総大将を守る陣形


 5.真っ向勝負する陣形


 6.奇襲をする陣形


 7.横槍入を入れる陣形


 8.状況に応じる陣形


 9.両翼で攻める陣形


10.おびき出す陣形


この話は、一部はお馴染みの陣形で大部分は初めての陣形だった。


 最近使って居る砂入りの箱を活用し陣形の意味を話す事にする。 


「これから、各陣形が持つ、意味をはなします。 質問は最後にお願いします」



 1.『攻撃を重視する陣形』は複数の敵に対し魚のうろこの形で、最も近い敵から攻撃する作戦です。


 2.『守備を重視する陣形』は守りを重視すると共に敵を内部に誘い込み、鳥が翼を広げた形で、敵を取り囲むように1体ずつ撃破していく作戦です。


 3.『とにかく突撃!する陣形』は最も攻撃的な作戦で、矢の形を作り、ひたすら総大将に突撃します。


 4.『総大将を守る陣形』はとにかく総大将を真ん中に置き前後左右を固め、守り抜く作戦です。


 5.『真っ向勝負する陣形』は横一列の形から、1対1の真っ向勝負をしかけるている今の作戦です。


 6.『奇襲をする陣形』は敵の総大将に対し伏兵など奇襲すると効果的な作戦です。


 7.『横槍入を入れる陣形』は敵が攻めている時など半月の形で、敵を横から攻撃する作戦です。


 8.『状況に応じる陣形』は鳥が群れで飛んで居る時の形で、敵との兵力差に応じて作戦を変化させます。


 9.『両翼で攻める陣形』は三つ又の形で、中央が戦っている間に両翼から敵総大将を狙う作戦です。


10.『おびき出す陣形』は囮になる部隊が居て敵をおびきだし、出てきた所を集中攻撃する作戦です。


攻撃の陣形は領軍幹部には新しい驚きと共に受け入れられた。


 やっぱりアグネス母様よりは反応が良い。


 一番多く質問が有ったのは何故、1対1ではダメなのかと云う事だったが 何回も云うようにダメではない 場合によっては有効的な手段だと繰り返して説明したが、他の陣形のインパクトが強すぎたのだろう。


これはアグネス母様にも話したのだが、魔物相手と人間相手では戦略も戦術も違ってくる事に気が付いて欲しい。


「皆さん 聞いて下さい。 今、話した内容は魔物相手では有効だけど、人間相手では不向き、またその逆も有るのです。 その事を理解して考えてください。」


「俺は2週間いますので、その間に皆さんが考えて理解し物にして下さい。 皆さんで話合いをした後で 質問は何時でも聞きます。」


其処から幹部達の戦術と云うか陣形に付いての話し合いが続いた。


「マティルダ母様 幹部達には少し考える時間を与えました やはり戦術は自分達で考えた方が理解も進むと考えたからです。 宜しかったですか?」


カールは先程の話から幹部達には考える時間が必要だとマティルダへ説明した。


マティルダも幹部達には考える時間が必要だと思って居たので丁度良かった。


「カール 戦術の話は良いとして その後ろに居る子狐は何だ?」


カールは衛星都市キールへ到着後、直ぐに会議に成ったのでヨウコをマティルダや幹部達に紹介をしていなかった。


幹部達にはヨウコは俺の新しい召喚獣であると話した。


そしてマティルダにはヨウコの正体を正直に話した。「マティルダ母様 ヨウコです この前、産れたばかりですので宜しくお願いします。 今はハイド兄さまの妹分です」


ヨウコは念話でマティルダへ話しかけた。 マティルダもハイドの件が有ったので余り驚かなかったが、少し呆れていた。



その後 マティルダ母様と俺はハイドとヨウコを連れ、マリアの元を訪れた マリアは俺の後ろに居るヨウコに始め気が付かなかったが マティルダ母様から紹介されると目を見開き 可愛い子狐のヨウコを一目で気に入ったようだった。 これでハイドもお役御免かと思われたのだが やはりハイドはまだまだ解放される事は無さそうであった。



こうして、試行錯誤をしながら領軍の新しい体制が少しづつ型を取りつつあるのは嬉しい事だった。

5つの部隊はお互いが攻守を入れ変えながら、どの陣形に対してはどの陣形が有効であるかを確認していった。


魔物に関しては種類ごとにまとまる傾向がある、更に言えば家族、一族ごとに纏まり 多くても数百匹なので個別撃破を心掛けるようにする。 等と今までの個人主義から部隊の連携を重視した訓練に移行していった。


後は、各部隊の指揮官の育成となる。 幾ら優秀な兵士が居てもその兵士を指揮する指揮官がヘボではどうしようもない! 5名の副官に率いられた100名の指揮官は戦略に従い、決められた戦術を理解すべく初めての座学に追われていた。 次は戦術に伴う陣形である もう 毎日 慣れない事の連続にボロボロの状態であった。



そんな指揮官とは別にカールは5名の副官たちに自分達の存在意義を考える様に指示を出した。


存在意義と云われ、 自分達は何故今ここに居て領軍の指揮をしているのか 改めて問われ副官たちも戸惑いの色を浮かべた。


次はマティルダ母様の番である、カールは母様の執務室に出向き 戦略の幅を広げた方が良いと話した。


「カール! いま 魔物を相手に戦う戦略 人間を相手に戦う戦略の2つを作成したよな 他にも何か有るのか?」



「本当にその二つだけで良いのでしょうか? 他にも何か有りませんか? 考える時間がある 今だからこそ決めて於かねば成らない事は有りませんか?」


カールはマティルダ母様を始め、5人の副官に100名の指揮官、そして領軍を過労寸前に成るまで動かした。


その間にカールはマティルダ母様へ出した第三の戦略について纏めていた。

その第三の戦略は民衆をどの様に避難させるかと云うものだ。


魔物に対しまたは他国からの侵略に対処が出来れば、それで良い もし出来ない場合の避難、退避戦略である。


5人の副官に出した命題 存在意義だがこれは民衆を守ると云う事が絶対的な命題と成る。

積極的守護は民衆を襲う敵を排除する事。 消極的守護は民衆を直接、守ると云う事になる


更に守ると共に避難の方法も考えなくてはならない。


この命題、存在意義が5人の戦略であり、これに基づき戦術を決めることである。


これらが物に成るまでは まだまだ 先は長そうである。




あぁ~ マティルダ母様へ第三に戦略について説明するかなぁ

 気が付いて欲しかったのだが。。。。。 無理だったか


また、5名の副官も含めて話すか。。。。 


仕方がないな マティルダ母様と5名の副官を鍛えれば、その下の100名の指揮官と領軍は任せられるからな。。。。。 任せられるよね?





俺はまだ3歳児だぞ。。。 !


よし! ハイド、ヨウコと一緒にマリアと遊ぶぞ~~



その頃、ハイドはマリアと一緒に遊んでいたが、ヨウコは、衛星都市キールの中を冒険とばかり、色々な処に出没した、キールの住民は勿論 ヨウコの事は知らないから 問題になるが その度に領軍が出動し説明をしたため 直ぐにヨウコの事はキール中に知られる事になった。


民衆の中にはヨウコを捕らえようとした者も当然いたのだが、捕らえる事は出来なかった。


そして中にはヨウコからの反撃に会い、負傷する者も出る騒ぎが起きたのだが 何故か負傷者は誰も名乗り出る事は無かった。


いまでは愛嬌があり小さな子狐のヨウコはキールでもアイドルの座を仕留めていた。







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