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第17話 王都のサロンは大パニック(羨望の的 天才マルガレータ)

◇◇ マルガレータの主戦場


やっと借金を完済したマルガレータはお礼の手紙をアグネスへ出した。 後は王宮でのパーティーである。 


王宮でのパーティーは王国中の貴婦人や婚活者が笑顔と爵位を剣とし着飾った衣装と宝石を盾として集まる決戦場である。 マルガレータとアンナは最高の防御を胸に輝かせ決戦の地に降り立った。


最早、借金と云う名の後顧の憂いは無い、思う存分に戦える。


決戦は舞台に立つ前から始まって居るのである。 劇的に改善したアーレンハイト家の財政は完璧である。 マルガレータは使用人や侍女など家人に軍資金と云う名の小遣いを多めに与え各家の使用人達に甘味やお茶をご馳走し家庭状況を調べさせた。


こうして調べた対抗馬になりそうな名家に対し戦闘を開始した。


何気ない挨拶から、最近の王都の服飾や宝石、芸術などの流行について散弾をばら撒く

これは目的の宝石だけを話題にしていては相手に目的を気取らされる恐れが有るからである。



多方面の話題から最近になり改善した家庭状況の事をチラつかせながら娘の結婚相手の情報採取を行う。 あくまでも娘の結婚相手をメインとして探して居ますと云うスタンスは崩さない。


女性の世界の戦場は気心が疲れるが駆け引きが面白い。 そんな戦場を渡り歩き 敵陣営に近づいて行った。  その相手はライハルト侯爵家である。


ライハルト侯爵家は代々、外交畑を歩む知性派である。 現当主はマルガレータの一つ年下で アールハイム・フォン・ライハルト侯爵である

 

「ライハルト侯爵さま お久しぶりです。 たまには魔法談議がしたいとアグネスが申しておりましてよ」マルガレータが笑顔を振り撒きながら話しかけた。


「あははは マルガレータ先輩 お久しぶりです。 アグネス先輩は今でも魔法の研究をされていられるのですか?」


「領地に魔法の練習所を設け日夜 新しい魔法を求めているみたいですわ!」


「それは素晴らしい!  アグネス先輩の研究論文は毎回 胸躍らせる内容でしたから」


「ライハルト侯爵さま この()はアグネスの娘でアンナですわ アンナも学院では魔法の才に秀でておりましてよ!」



「ライハルト侯爵さま 始めまして 私 アンナ・フォン・アーレンハイト アグネスの娘でございます」 両手でスカートを軽く持ち上げ綺麗なカテーシーを行い 挨拶をした。


「ほぉ~ アグネス先輩のお嬢様ですか」


「隣に居りますのは 私の息子で現在 外交官の見習いをしている クルトです。」


「只今 父より紹介されました クルト・フォン・ライハルトと申します 宜しくお願いします。」


こうしてお互いの紹介が終わり話し始めるのが貴族の習わしになって居る。


そして 貴族の世界では必ず 男性は女性の何処かを褒めなくては成らない これは、暗黙の習わしになって居るのである。


「マルガレータ先輩 綺麗なネックレスですね 形も素晴らしい 私も外国に色々と行きますが その様なデザインのネックレスは見た事が有りません。」



「まぁ~ ありがとうございます ライハルト侯爵さまにお褒め頂けるとは 嬉しいですわ!」


周りの女性たちの中でライハルト侯爵が褒めたネックレスはどんなだろうと騒ぎになる、ちょっとしたパニックである。  


実はこれがマルガレータの作戦であった。 その後 同じようなやり取りを会場の彼方此方で行う アンナもデビュタントを終えて何回もこの様なパーティーを経験しているから場慣れだけはしてきていた。


パーティーも終盤に達しようとして来た頃に マルガレータは王妃様や公爵夫人の集まっている場所へ向かった 本日、最大の山場である 娘のアンナは先程のクルトと話して居る 学年が一つ違いで在ったが 同じ時間を共有した若い者同士 話が合っていた。


「王妃様、ロットウェル公爵夫人 お久しぶりでございます。」


「まぁ~ 本当にお久しぶり お元気でして?」


「はぃ ありがとうございます 中々、領地経営は学生の勉強とは違い上手くいかないものですわ」ここがマルガレータの正念場である。


「アーレンハイト伯爵夫人は何をやらせても天才だって云われてましてよ 初めは多少 手古摺っても 最後にはちゃんと帳尻を合わせるって 流石ですね」



ちゃんと今回のアーレンハイト家の財政修復の内容が伝わっていた 流石、王家と公爵家である。


「いえいえ 本当に難しいと実感を致しております。」 今度は少しネックレスを見せるように話した。


やっとこちらの意図に気づいた、ロットウェル公爵夫人はマルガレータの胸に鎮座するネックレスに気が付き 目を見張った。 その価値に気が付いたのだ。


「マルガレータさま、そのネックレスは本当に素敵ですね! どちらで御求めに成られたのでしょうか?」


マルガレータの周りの人々も驚きの声を上げる 実を云えば王妃のヒルダ・フォン・ハイランドも気が付いて居たのだ でも自分から素敵とは云えなかった それを知っているからこそのロットウェル公爵夫人の言葉だったのだが。


ここに王妃、公爵夫人連合対伯爵夫人の攻防戦が始まる。


 マルガレータが今回、身に着けていたのは大きなファセットカットされたルビーを中心にサファイアがアクセントになったネックレスであった。


ネックレスやペンダントの価値を決めるのは宝石の色や大きさもだが、何と云ってもカットやデザインだった。 


全てのカットや研磨が光を反射し見せるという事の為に計算されつくしている。 斬新で見事なカットと研磨である。 シャンデリアから注がれる光を反射し太陽の光のようにキラキラと輝いている事が全てを物語っていた。


今日、今だけはこのパーティーの主役はマルガレータだった。


宝石とは多くの人々が欲しいと思った瞬間、付加価値が生まれる。 それは他よりも良く観られたいという欲求なのかもしれない。


皆が欲しがっている物を自分が持って居ると云う 欲求 これが頂点に達する。


最早 王妃であるヒルダ・フォン・ハイランドも欲しくてたまらなくなって居たのだった。



マルガレータは今 このこの瞬間を狙い、最大の爆弾を用意した。


「王妃様 このネックレスはアーレンハイト家の他の妻達から私が頂いた 大切な物ですので 差上げる事は出来ません。」


王妃のヒルダ・フォン・ハイランドを始めロットウェル公爵夫人や周りの人は出所不明で有る事にガッカリする。


マルガレータは更に言葉を続けた。

「ですが 別の物でしたらどうぞ!」と小さなハンドバックから今 身に着けているネックレス以上の物を二つ取出し 王妃ヒルダ・フォン・ハイランドとロットウェル公爵夫人へ差し出した。


「これは いつも我がアーレンハイト家を気に掛けて頂き 心を痛めて頂いたお礼にどうぞ御笑納下さい。」


マルガレータの爆弾がさく裂した瞬間だった。


二人がマルガレータから渡された物はネックレス用としてカールが作った宝石箱であった。 これは箱を開けると上蓋にはチェーンが掛けてあり下段にはペンダント部分が目立つように配置されていた。


 この演出だけでも驚きなのだが、中に入っていた物は先ほどマルガレータが着けていた物より数段、上だと見て取れた。


二人は大きな目を見開き 声を出す事も忘れて暫く身じろぐ事も出来なかった。


そして、二人が硬直している間にマルガレータは娘を連れて会場を後にする。 綺麗な去り際である。


残ったのは綺麗な宝石箱に収められた極上の宝石にアーレンハイト家と云う家名 更に流石 稀代の天才と謳われたマルガレータの評判で有った。


そしてこの出来事は瞬く間に貴族家の女性の中を駆け回ることになった。


マルガレータは最高の演出で宝石の価値を高めた。 勿論、この演出を支えたカールの宝石や宝石箱なども重要なのだが、それらに対して何倍もの付加価値を与えたのはマルガレータの演出だった。


これはその場に居合わせた娘のアンナでは到底、出来る事ではなかった。




当然 贈り物には返礼をするのが常識! そして返礼には贈られた物と同等かそれ以上の物をする事が必要である。 それは上位の貴族にとっては当然の事である


この世界でマルガレータが贈った以上の宝石は存在しない 従って 返礼は金貨と成る。


二人はマルガレータから贈られた宝石の価値について考える事に成った。

悩んだ末に、王宮に出入りの宝石商を呼び、鑑定をさせる事になったのだが。


「王妃様 公爵夫人様 申し訳ございません このような素晴らしい品を私は見た事がございません。 このネックレスを支える台座やチェーンはミスリルだと思います そしてこの大きな宝石はルビーです そしてこのカットですが、私にはどのような方法でカットしたのか分かりません そしてルビーの周りで光り輝いているのは金剛石(ダイヤモンド)と呼ばれる特別な宝石でございます」宝石商からこのように話されて二人は困り果てた。


そして宝石商に対してこの宝石を買うとしたら幾ら出すかを尋ねたのだ


その結果としてマルガレータは白金貨10枚を得る事になった。




皆さま ありがとうございます


日々の寒暖差に風邪なのか花粉症なのか分からず、家の中に閉じこもって居ます。


今の処 三月の中頃までのストックは出来ました。


後は皆さまの温かな励ましのお言葉さえ頂ければ 一気に三月末までのストックは(笑)


評価ポイント 頂くと嬉しいものですね!

後は感想とレビューを頂けるように頑張りたいと思います。

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[気になる点] ここ数話、執筆者が交代したのではなかろうかと思うほど文章が雑になっている印象があります。 情報収集を情報採取と書いてみたり、「(笑)」も地の文章につけるならまだわかりますが、会話文の…
[気になる点] 「居る」という表現が散見されますが、余り拘って漢字にすると返って文章が読みづらく感じます。どうしてもという理由がなければ平仮名もご検討ください。 〉皆が欲しがっている物を自分が持って居…
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