第 2話 覚醒前もうすぐ覚醒 。。。。。
お約束の「見知らない天井」では無い。
今日は俺の誕生日、そして目覚めの儀式が有る 窓から差し込む柔らかな日差しと囀る小鳥の声で目を覚ました。 窓を開けると新緑に覆われた木々が目に入ってきた。
俺は貧乏伯爵家の5男、カール・フォン・アーレンハイト3歳、父はフィリップ・フォン・アーレンハイト、母は第1夫人のマルガレータ・フォン・アーレンハイトに俺の母である第2夫人のアグネス・フォン・アーレンハイト、更に第3夫人のマティルダ・フォン・アーレンハイトだ
父と母達は学院での同級生らしい そして学院でも美人で有名だったとか その中でも常に主席を争い賢者の塔が有るアテロニア島で行われる知の祭典であるクーナの常連だった頭脳明晰なマルガレータ母さんと王宮筆頭魔導師に将来は確実と云われた天才魔導師のアグネス母さん、そして近衛騎士団との模擬戦でもいつも上位に居る天才剣士であったマティルダ母さんの三人からの猛烈なアタックに一人を決められず三人纏めて貰ったそうだ。。。。父さん談なので真実は?
夫人としての序列はやはり頭脳明晰なマルガレータ母さんに軍配は上がったようだな、マティルダ母さんは脳筋だから(誰にも言ってはいけない 後が怖いからね)
貴族も上級に成ればなるほど美男美女が多くなる それは当然の事だった。 美と才能に恵まれた母達は国内外から三女帝と呼ばれていた。 でもよくそんな美人で才能ある母さん達が平凡な父さんの処にお嫁に来たよな。。。。不思議だ! 今でも学院の七不思議の一つらしい
そして、この世界は中央に5つの島を持つ諸島と4つの大きな大陸からなっている、北のノーチック大陸 南のサウランド大陸 西のウエスティン大陸に東のイーストウッド大陸である。
中央の諸島はこの世界を作った、至高なる創造神で女神を祭る セントリック諸島
そして俺の住んでいるアーレンハイト家は東のイーストウッド大陸の西岸にある 領地の大半と云うか殆どは魔物が生息する森と小さな騎士爵家が50程からなる騎士爵連合家を含んでいる。 ただ この騎士爵連合家も元々はアーレンハイト家に属していたらしいのだが、度重なる失政と魔物の暴走で我がアーレンハイト家から離れ独立国の様相を呈していた。
通常騎士爵家で1~3の村や町を持ち、男爵家で2~5の村や町を持つそして子爵家だと10前後の街を持ち 伯爵家と成れは20前後の街を持つはずが、我が領地には15個ほどの村や町と2つの街が有るだけである。
その2つの街に代官として第2夫人の母と第3夫人のマティルダ母さんが暮らしている
元々、我がアーレンハイト家は60万人を誇る街が30以上あり、大小の村落は100以上存在する大公家で有ったらしい? 幾多の魔物の暴走による人口減少と政策不備による失政で降爵になったらしい 10年前にも大規模な魔物の暴走が発生し元々、120家有った騎士爵連合家は50家までに減って居る また、町も東側にあった街が2つと15個ほどの村や町になっている 次回、同様な魔物の暴走が発生したら全ての街が消滅してしまうのではないかと。。。。。 そんな悲惨な状況に陥っているとは まだ3歳の俺は気が付いていない。
今日、此処には父フィリップ・フォン・アーレンハイト、そして俺の母である第2夫人のアグネス・フォン・アーレンハイト、更に第3夫人のマティルダ・フォン・アーレンハイト、俺に異母妹のマリアを含め5名しかいない 後の兄や姉達6人は王都の学院に行っているので此処には居なかった。
第1夫人のマルガレータ母さんには長男のアウグスト・フォン・アーレンハイトと4男のジャン・フォン・アーレンハイト、次女のカトリーヌ・フォン・アーレンハイトと3人の子供がいる。
そして俺の母さんで第2夫人のアグネスは長女のアンナ・フォン・アーレンハイトと俺の2人の子供がおり領都ルーンに住んでいた。
更に第3夫人のマティルダ母さんには次男のエーリッヒ・フォン・アーレンハイトと3男のロベルト・フォン・アーレンハイトそして3女のマリア・フォン・アーレンハイトと3人の子供がおり衛星都市キールに住んでいる。
まぁ 王都の屋敷は第1夫人のマルガレータ母さんが仕切っていた。
そして今日は俺の3歳の誕生日、そして目覚めの儀式として教会に行く
この世界では3歳の誕生日に目覚めの日として教会に行き、本人の隠れた才能を目覚めさせ顕現化させる。 その目覚めの儀式に基づき将来の進路を決めるのだ、大抵は大それた目覚めなどなく親の家業を継ぐのだがたまに剣や魔法、そして賢者への才能を顕現させるものがいる、その者達は将来を約束されるのだが。。。。
この世界では貴族として3歳の目覚めの儀式、5歳の学院入学、そして7歳のデビュタントに続き15歳で成人して色々な進路へと続く大イベントとなる。
そんな事で俺は人生初のイベントに臨むべく準備を行っている。
実は今日から俺専用のメイドと従者が付いたのだ。 貴族の子弟は目覚めの儀式に望む時に専用のメイドと従者が任命される これは家に居る限り従ってくれる。
俺のメイドは15歳のシンディーと17歳のハワードの兄妹だ。
まあ メイドと従者は云わば俺の教育係という事だ メイドからは貴族としての礼儀や作法を習う また、従者からは文武の両方を習う。
このメイドと従者によって教育内容が違ってくるらしい 長男や長女にはやはり優秀なメイドと従者が付く でも、オマケの5男の俺には新人のメイドと従者らしい しょうがないよね
「シンディー~ 俺の洋服は是で良いの?」
「はい カール様の衣装はこちらになります。 今日の目覚めの儀式でどのようなご神託が下るか 楽しみですね カール様の母君は上級まで使える天才魔導師ですから、魔法の才能は有ると思いますよ 姉君のアンナ様も魔法の才能は有りましたから きっと大丈夫です」
「そうか、ハワードは魔法の才能は?」
「私は魔法も剣術も中級ですのでご安心ください!」
「凄いね 魔法も剣術も中級なんね うちの領内ではハワードだけじゃないのかな」
そんな話をしながら着付けをしている所にアグネス母さんと異母妹のマリアが来た
「まぁ~~~~~~~~ カール! 素敵 格好良いわよ」
「あにちゃ」。。。。
兄や姉とはだいぶ年が離れているせいか異母妹のマリアは俺の後を良く付いてくる
俺としても年の離れた兄や姉より異母妹のマリアの方に親しみを覚えていた。
「では カール 目覚めの儀式に行きましょう」 母に急かされ、馬車に乗り込んだ。
馬車の御者を務めるのはハワードのようだ これも従者としての務めになるようだった。 そしてシンディーはハワードの横に座っていた。
最後に父と母が乗り込んで教会へ向かう 兄や姉たちは王都にある教会で目覚めの儀式を行ったらしいのだが、五男であるオマケの子は地元の教会で目覚めの儀式を受ける
所で母達は目覚めの儀式でどのような神託を受けたのだろう いつか聞いてみたい
今回 御者を務めるハワードは成人してまがなく、御者としても新人だった。
当然 馬車は動き出すと共に大きく揺れた。 馬車の動き出しを如何にスムーズに行うかが、御者としての技量だった。 これは新人御者であるハワードの課題だった。
そして、ここは王都ではなく、アーレンハイト家の領地である領都ルーンである。 領都ルーンはアーレンハイト家の屋敷を中心として街が形成されていた。
これから向かう教会はどこでも人通りが良く、人々が集まる所に建てられておりアーレンハイト家も例外ではなかった。 その為、屋敷から教会まで馬車で有れば僅かな時間で着く事が出来た。




