第13話 ハリケーン襲来(初めてのマルガレータ)
◇◇ カールの配下 ハイド
アーレンハイト家の使用人達は小さな竜と云う存在に戸惑っていた 何故なら 竜とは災害の象徴である。 どんなに小さくても。。。 でも 小さな竜はカールの召喚獣でハイドと云う名で有ると紹介されたのだから戸惑うのも仕方が無い事だった。
始めカールのメイドであるシンディーがハイドに子犬のノリでミルクを与えた。 ハイドはご機嫌でグァーと小さく鳴き ミルクを舐めだした。 それを見た他のメイドたちも我先にとハイドへミルクを与え 今ではメイドたちのアイドル的存在になって居た。
10日も経つとハワードが柔らかい鶏肉を小さく切って与えていた。 これも美味しそうに食べている(実際の神聖皇竜ハイドは魔力を餌とし、ミルクや肉は食べないのだけど)
いまや、メイドだけではなく屋敷の使用人全てに認められ愛される存在になっていた。
(実はこの時点でまだ、フィリップだけはハイドの存在に気が付いて居ない。)
王都からマルガレータが来た。 フィリップとしては突然の来日である。
「マルガレータ どうした? 何かあったのか?」
フィリップとしては突然、王都に居る、マルガレータが来た事で王都で何か異変が起きたのかと思ったのだった。
「いいえ カールが目覚めの儀式を終えたので祝福にきたのよ」
フィリップはカールと云う言葉に少し引き攣りながらもそれ以上は云わなかった マルガレータに下手な事を云うと反撃に遭うのは長い付き合いから知っているからだ。
マルガレータはアグネスを探した。「アグネス! 王都から急いで来たわ 何処で話せる?」
アグネスの書斎に移動して二人だけで会談が持たれた。 マティルダは目覚めの儀式を終えた時、一緒にいた為に事情は知っている 先にマルガレータへ説明を始める。
「マルガレータ 態々、 息子の為に 王都から急いで来てもらって ありがとう!」
「アグネス 気にしないで でも あの懐かしい手紙にはチョットびっくりしたけど」
暫く、昔話に花を咲かせた後に 今回の本題を話し出した。
1.カールの目覚めの儀式後に気絶をして3日間意識が無かった事
2.儀式後のお披露目での挨拶と受け応えについて
3.カールの初めての授業の様子
4.自分も知らない魔法が使える事
5.そしてカールが女神から授けられた聖紋について
6.最後はオマケだが召喚獣として子竜を飼う事になった事
これらをアグネスはマルガレータへ話した。 聞いた内容は流石のマルガレータにとっても異常な事であった。
「全ての問題は3人が集まったら、順番に話しましょ まずはカールを紹介してちょうだい!」
アグネスの書斎にカールとハイドが呼ばれた。
「カール 覚えて居ないと思うけど 王都に居るマルガレータよ」
「マルガレータ母様 覚えて居ないので 初めまして カールです 宜しくお願いします」
「ハイド マルガレータへは念話を使っても良いわ」
グァー! 「マルガレータ様 ハイドです カール様の召喚獣として10日程前に生まれました 宜しくお願いします。」
「まぁ ハイド! 立派なご挨拶ありがとう 私がマルガレータよ! これからは宜しくね」
マルガレータは優しい目でカールと小さな子竜のハイドを見ていた。 嵐の前の。。。。
それから数日後、キールからマティルダがマリアを連れて来た。当初 マリアはお留守番の心算だったのだが、どうしてもカールに逢いたいと聞かなかった まぁ マルガレータも初めてだから逢わせるのも良いかと思い連れて来た。
つもる話も有るのだが、三人は早速 カールに付いて話し出した。
議題は
1.カールの目覚めの儀式後に気絶をして3日間意識が無かった事
2.儀式後のお披露目での挨拶と受け応えについて
3.カールの初めての授業の様子
4.自分も知らない魔法が使える事
5.そしてカールが女神から授けられた聖紋について
6.最後はオマケだが召喚獣として子竜を飼う事になった事
の6つの事になる
始めに、儀式後の気絶に付いては教会には手落ちが無かった、勿論 過去の経歴も大司教のエリザベート・イーストが詳しく調べた結果だとアグネスから報告がされた。
次は儀式後のお披露目での挨拶だが、確かに3歳児の挨拶では無い、早熟な受け応えだが。。。等 三人は各々の意見を話した。 話したが、それに由って悪い影響が考えられない事から経過観察とされた。
問題は此処からである、午前のシンディーの授業である。 礼儀や挨拶、ダンスを一度で覚えてしまった。 その後、文字の習得の為に始めた絵本の朗読を中断させ 文字の構成を聞き その組合せを尋ねた。
そして全ての文字の基となる記号の組み合わせを聞き 発音から文字の組合せを想像していく そんな異常な行為から約1時間で大体の文字の構成と仕組みを理解してした。
「マルガレータ どう思う? カールはまだ3歳よ」
マルガレータもその話を聞き、話の内容をそのまま一緒に居たマティルダに尋ねた。
そして、マティルダからもその通りだと聞かされた結果 「カールは天才じゃ無く 賢者だ!」とマルガレータは宣言した。
賢者とは世界の理を理論を持って解き明かす、人知を超えてた存在である。 賢者の瞳は世界の深淵を見渡すと云われている カールはそんな存在だとマルガレータは話した。
この世界にはまだ女神の使徒と云う存在は一般には認知されておらず。 それに近い存在として賢者が居た。 ただ、女神の使徒は教会に於いて司教以上の聖職者には秘匿事項として語られていた。 その使徒の存在を認知できるのは聖女宮にいる4人の聖女と教皇のみであった。
この世界には創造神たる女神を祭る中央神殿がある。 その中央神殿は5つの島から成り立つセントリック諸島と呼ばれ その中心にあるセントリック島に存在していた。
そのセントリック諸島には『賢者の塔』と呼ばれる場所が有った。 その『賢者の塔』には全世界から知識を求めて人々が集まり研鑽が積まれていた。 その『賢者の塔』はセントリック諸島の中でアテロニア島に存在した。 そのアテロニア島では毎年、若い学生たちが自分たちの英知を披露する祭典が開かれている。 その祭典こそ『知の祭典:クーナ』である。
ここで云われている賢者とは『世界の理を理論を持って解き明かした人知を超えてた存在』 『賢者の瞳は世界の深淵を見渡す』と云われている者たちの事ではなかった。
ただ 知識を求め真の賢者に成ろうと研鑽を積んでいる者たちを指していた。
(実際には賢者はお伽噺の神話の世界の話である)
そして、午後から始まった剣技の授業である。此処でも信じられない事が起きていた
マルガレータは理解できないだろうが、身体強化が出来るってことは、一流の剣士であり そのままどこかの騎士団に入れるレベルであるという事である。
この話しはマティルダからその凄さを延々と説明された、マティルダでさえ幾多の試練の後にやっと習得した技術だったからだ
それは魔術の世界では天才と云われたアグネスからも別の観点から説明がされた。 魔術の世界では初めに魔力の存在を感じ、その魔力を体中に淀みなく無意識に巡らす事の難しさが説明された。 到底 3歳児で出来る事では無いと云われた。
此処でも3人は色々な可能性を話し合う
更に次だ 魔術の世界では天才と云われたアグネスが知らない魔術をカールが使える事を!
マルガレータは学生時代に天才と云われたアグネスが密かに物凄い努力と研究をしていた事を知っている。 その努力と研究を以って、知の祭典:クーナに毎年、挑み何回も優勝をしていた事
それだけではない、世界の拘り関わる聖紋だ 通常は才能により歪められた三角から四角 まれに五角形など多角形が存在する カールは綺麗な正七角形だった これが意味する事は 全ての才能が均等に配置されている事だ。
あと分からないのは正七角形を覆う丸だ これは今までの歴史の中に存在しない。(実はこの丸は神の加護、言い換えれば使徒を意味していた)
まだ続く、カールが召喚獣にした子竜のハイドの事だ マティルダは見た事が無いだろうが、念話が使え、意思の疎通が出来る。 ただの子竜では無い
一日では結論など出ない、明日はカールに魔法の実技をさせる予定になっていた。 その結果を踏まえ 更に会議を行う事にして長い一日を終える。
マリアはカールを探していた。 そして見つけたマリアは「あにちゃ。。。?」カールの手の中に居る子竜を見つけたからだ。
「あにちゃ なに?」
「この子は俺の召喚獣でハイドって云うんだ 仲良くしてくれ」
「うぁ~~ かわいい はいど おいて。。。」
マリアには竜への恐怖心など無い ただ自分と同じくらいの大きさのハイドにお人形の感覚を抱いたのだった。
ここからハイドの受難が続く。。。。。
この世界に於いて主人であるカール以外には無敵の存在であるハイドが唯一、苦手とする存在がここに誕生したのだ。




