第12話 ハリケーン襲来直前(初めての召喚獣)
◇◇祝福が得られない卵が一つ。。。。。
戸惑う、女神と事情の分からないカールを見守るハイドの妻たち
「ディアナ様 どうされたのでしょう?」
女神はカールに説明をしだした。
転生体は本来1つである事、旧いハイドから新しいハイドへの転生、器だけが新しくなるだけで有った事
そして転生体である卵に女神が祝福と云うエネルギーを与え、この世界を管理する使命を授けている事に、余計とはいえ元は神聖皇竜のハイドである、愛着も有るが祝福は1度限り それも一つの卵だけである。
「ディアナ様 もし良かったら 私が頂いても宜しいでしょうか? 元々ディアナ様一人で見守る事を私も同席したことが原因のようです。」
「カールさま 卵を差上げる事は構いませんが、祝福を与えないと孵化しませんよ それにこの世界で皇竜は一匹のみ、二匹の神聖皇竜は災いになります。」
「ディアナ様 祝福は私も行う事は出来ませんか? もし出来るのなら 私が居る世界:ルミナリアへ連れていき、私の友達にしたいのですが可能でしょうか?」
暫く、考えていたディアナは自分の眷属であり尊敬する担当上級神のユピテルと自分の力の一部を引き継いだカールならこの世界の者にも祝福を与える事が出来るかもと考えた。
「カールさま それでは私は祝福を与えます よく見て覚えて下さい。」
ディアナは一つの卵に手を添えて静かに寿ぐ「汝 神聖皇竜たるハイドに我が力と知恵の一端を授ける、この世界を幸せに満ちた世にせよ! 祝!」こうして光に包まれた卵は孵化した
「カールさま、どうですか、出来そうですか?」
「ディアナ様 多分出来そうですが、この世界で私がもう一つの卵を孵化させるのは止めた方がよさそうですね、混乱が起きそうです」
女神とカールはハイドの転生を見守った後、残った卵を抱きかかえ元の世界へ戻った。
その頃 竜が君臨する(ドーラ)では無事に神聖皇竜のハイドが無事に転生体として生まれ、女神から初乳代わりの魔力が与えられて、配下(皇后竜:ジーン)に祝福されていた。
神聖皇竜以外は普通に伴侶から卵が産まれ育てられる。
「さぁ カールさま この卵に祝福を!」 頭の中に女神の言葉が届いた、ディアナはこの世界へは直接、現れる事が出来ないのだ これは女神の持つ、膨大なエネルギーの為に災害が起こってしまう事が理由だった。
カールは静かに卵を置き、祝福の準備(頭の中で先程のディアナの言葉を思い起こしている)
カールは卵に手を当てて、「汝 神聖皇竜の片割れたるハイドに我が力と知恵の一端を授ける、この世界を我と我が友達と共に幸せに満ちた世にするため力を貸せ! 祝!」 少し文言を変えて祝福の言葉を唱えた。
卵はディアナが行った祝福と同様な光に包まれ孵化をした。 神聖皇竜ハイドの誕生である。
この世界の竜達は新たな自分達の主が生まれた事に気が付き 一斉に祝福を行った!
神聖皇竜ハイドも初めて見た物を親と認知するカールの瞳をのぞき込み、自分の波長(魔力)をカールへ伝える これが初めての意思疎通と甘えであった、そしてカールからは産れたばかりの神聖皇竜ハイドへはミルク代わりに自分の魔力を注ぎながら、話しかけた。 この世界の事、自分がどうして此処に居てどの様な存在なのかを そして今後の事などである。
「ハイド 誕生 おめでとう 元は別の世界の皇帝だったけど、女神の力によりハイドはこの世に望まれて生まれました そして創造神たる女神様よりの祝福も預かってますよ。 ありがとう そしておめでとう!!!」
言葉とは言霊である、産れたばかりの純真な神聖皇竜ハイドの心に温かな波と成り届いた。 こうして神聖皇竜ハイドは誕生と同時にカールとの永遠の絆が生まれた。
そして、この言葉は波長(魔力)として届いたと同時に言葉を覚えた 発音は出来ないが、念話として相手に意志を伝えられた。
「さて、ハイドの事をアグネス母様にどの様に話そう 。。。 神聖皇竜とは話せないし」
あ そうだ、闇魔法で使える召喚獣と云う事にしよう
カールはハイドへ魔力を少しづつ注ぎながら今後の事を考えていた、ハイドが聞いている事に気が付いたのはハイドをアグネス母様へ紹介した時の事だった。
色々と作戦を練ったカールは昔、まだ綾小路敬之で有った頃 子犬を飼って貰う為に思案した事や 息子の綾小路秀幸から 子猫を飼いたいと相談された時の事を懐かしく、思い出した。
屋敷に戻り、今日の報告をする為に母の書斎へ向かう、まるで上司に報告をするよな懐かしい気分だ
「母様 いま 入っても宜しいですか?」
暫くして「カール どうしたの? 珍しいわね。 入っても良いわよ」
カールはまず、今日の魔法の練習報告をした(実際には何もしていないのだが) 内容は他の母様たちに見せるための魔法をどうするかと考えて練習をした事、中でも闇魔法の召喚獣をどうするかと考えた事を話した。 考えた結果、近くの山の頂上に卵があり、それに魔力を注いだ事を話した。
近くの山の頂上まで行った事は怒られたが、これは想定済みである、竜の卵がその辺に有る訳がない
その卵に魔力を注いだら、卵が孵化した事を慎重に話し出した。
「母様 その卵から孵化した赤ちゃんが自分を親と思い、物凄くなついているです 召喚獣として育てても良いでしょうか?」と話した。 勿論 竜である事は話して居ない アグネスもまさか竜だとは思って居ないし召喚獣を卵から育てれば忠実だと考えた結果 ちゃんとカールが面倒を見て育てる事を条件に了承をしてしまう。
後から考えれば、孵化した物を先に見て於くべきだったと気が付いたのだが、既に言質を与えた後だった その後、カールが連れて来た神聖皇竜ハイドを見て何度目かの溜息と頭痛に襲われた
ハイドは念話でアグネスとカールへ挨拶をした。「アグネス様 この度、カール様の召喚獣になりましたハイドです 宜しくお願いします。」
アグネスは産れたばかりの赤ちゃんが子竜だった事にも驚いたが、いきなり念話で話し来られた事にも驚いた、勿論、カールもであるが、カールは当然といった顔をしてやり過ごした。
この後、アグネスは屋敷の使用人全てにカールの召喚獣としてハイドを育てる事を話す、勿論 ハイドが話せる事は勿論、秘密である。
その後、屋敷ではハイドの部屋をどうするかで揉める事となったのだが カールが自分の部屋で育てると云い 納得してもらった。
当の本人であるハイドにしたらカールから魔力を貰いながら塒は自分で探そうと考えていた。
この世界ではハイドを傷つけられる存在など居ない。 ハイドはカールに甘えながら自由気ままに過ごしていた。




