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字融落下

字融落下 ―エジソンと父―

作者: 莞爾


「なあ、『霊界交信機』って知ってるか?」


 飲み明かしたAM5:43。俺は友人にそんな風に切り出した。

 白み始めた空が色彩を取り戻すまでの時間、気まぐれな会話でしかない。友人は首を傾げて膝を向ける。


「なんだよ? それ」


「エジソンの発明品だよ……エジソンは知ってるよな?

 あの蓄音機とか白熱灯とか発明した偉人のことなんだけど」


「知ってるよ」友人は笑いながら馬鹿にするなと俺の肩を小突く。


「はは、そのエジソンが発明した者の一つさ。霊界交信機。

 脳の情報伝達が電流と同じなら、死者の思考もまた一つの電流と考えたエジソンは、その微弱な死者の思考電流を拾える機械を発明したんだ」


「へえ」友人は山の向こうから溢れる朝日に目を細める。


「でも……それは今も沈黙している。エジソンは霊界から今も霊界交信機に話しかけているはずなんだけど、残念ながらまだメッセージは届いていないんだとさ」


 俺は話し終わると、アルコールに微睡む目で朝日を眺める。

 今度は友人が話し始めた。


「俺の親父がさ、『死んだら絶対にお前の枕元に出て驚かせてやるぜ』って言ってたんだ」


「へえ」


「まぁ昔からそういう茶目っ気がある親父だから慣れてるんだけどさ。

 未だに枕元には出てこないよ」


 早朝の空は雲が薄く広がり、街は少しずつ色づいていった。

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