flower destiny~希望1~
午前11時僕は、学校にいた。僕が通ってる学校は、一応頭いい進学校らしいのだが、実際、先生の話も興味のある内容ではないし、その生徒達もバカばかりである。僕はずっと窓側の席で、ずっと空を眺めているだけだ。
昼休み、僕は、外にある桜の木の下に向かった。僕はぼっち気質の為、屋上に行きたいのだが、屋上は立ち入り禁止の為入ることが出来ない。この桜のとこは人通りが少ないところに生えてるし、しかもそこそこ日照りがよく、ぼっち気質の僕にとっては最高の場所なのだ。ここでカルピスと、カツサンドを食べるのが学校で唯一落ち着ける時間である。
「なんでこうなってんだっけな...。」
僕は決して、話せる友達がいないからとかそういうわけではない。ただ、一緒にいると息苦しいというか、正直に言うと話してるうちに孤立化するからである。ただいるだけであれば、一人で居たほうが楽というのが僕の考えだ。
「まぁ、いい、今を生きていこう」
それでいいんだと思ってる。そして僕はカツサンドをほおばった。
「なあ、青葉、放課後カラオケでも行かないか!女子もいっぱいいて楽しいぜ!風音を来るから来いよ!」
「うん、でも放課後お母さんに買い物頼まれてるから...。」
「うーんそっか、んじゃ、また誘うわ」
「うん、ごめんね」
どうせ行ったって、一人ただ居るだけになるんだ。わかってる。
所詮僕は一人なんだよ。
放課後、僕は帰り道を歩いていた。もちろん一人だ。親しい友人がいるわけじゃないし、漫画のように昔からの幼馴染もいやしない。それが僕にとっての普通なんだ。
僕はその帰り道で、あと少しで家に着くというところで、小さな茶っこい猫を見つけた。その猫はすぐに僕に近寄ってきた。
「...ち、近くに誰もいないよな?...うん、よし!」
そして僕はしゃがんでその猫を撫でた。僕は猫が大好きだ。正直この世の何よりも。好きな理由かわいい、以上!!
「この毛並もふもふ最高だな...さいこ...」
猫が僕のほうを向いたときだ、その猫は僕に「こっちへ来い」を言った気がした。そしてその猫は、僕の手元から降り、何処かへ向かっていった。僕もすぐさま追いかけた。
その猫は狭い道やらやたら狭い道ばかり通る。僕も必死に追いかけた。
僕もなんで追いかけてるんだろうとは思ってる。でも何故か自分自身が追いかけろと言ってる気がした。
馬鹿らしいのはわかってる。でも、追いかけた。
必死に...。必死に...。追いかけた。
辿り着いた所は、広い花畑だった。しかも、もう夕方なのに、昼のように明るい場所だった。僕も周りの風景など気にしないでがむしゃらに走っていたから、ここが花畑ということ以外わからない。
そして猫はさらに奥のほうに向かっていった。僕も追いかけた。
突然猫が動きを止めた。ここが目的の場所なのか?周りを見渡した。
そこにいたのは、麦わら帽子被った少女だった。
その少女はずっとオレンジの花を見ていた。なんの花か、分からないけど、少女はずっとその花を見ていた。少女が僕の存在に気付いたのか、こっちによってきた。
「ねえ、アザレア、お客さん?」
「うん、お客さんだよ。」
猫がしゃべった...。ここやばいな...。これは逃げるべきか。
「私言ったはずだよ友達なんて、いらないよって。」
ここはまさか魔女の館とか?ま、まさかね...。
「いや、寂しそうにしてたからさ。ちっちゃな猫のおせっかいさ。気にするな。」
とにかく僕は、ここには求められてないみたいだ。
「じゃ、じゃあ、私は帰りますね!じゃあ...。」
「そこの人待ってください。」
少女は僕を引きとめた。
「せっかく来てくださったのに、何もなく帰ってしまうのも何なので、少しお話でもしましょう。」
「あ、ああ...。」
僕は少女と話すことになった。
「君はよくここにくるの?」
「いや、ここに住んでます。」
「住んでる?」
住んでるってここ花畑だし、近くに何もないぞ??建物もないし、住める場所なんてどこにもないぞ。
「そ、そうなんだ...。」
「はい、私とこの子たちは一心同体なので」
「そうなんだ...。あ、そういえばさっき見てたオレンジの花って何?なんとなく気になってんだけど」
「あ、その花はガーベラって子です。新しく入った子なんですけでど、まだ弱弱しくて。さっきまでずっとつきっきりで面倒見てたんです。」
ガーベラか...。よく見てなかった。確か花言葉は...。
「希望...。」
「よく知ってらっしゃいますね。」
「小さい頃、本でみたことあって...名前聞くまですっかり忘れてたけど。」
花言葉は小さい頃、母親が買ってきた花図鑑でよく勉強していた。だからよく知っている。
「男が花言葉に詳しいというのも、女っぽくて気持ち悪いかもしれないけど。」
「いえ、むしろ素敵だと思いますよ。」
「そう言ってくれるとうれしいよ。」
「男性の方ってあんまり花に興味ない方が多いので。」
「まぁ、ほとんどが女子っぽいからとかそういう理由だろうけど。」
「花をそうゆう風に興味持ってらっしゃるのはとてもいいことだと思います...えっと、何と呼べば...?」
「僕?僕は、青葉。君は?」
「私はカエデです。」
「カエデちゃんか...カエデちゃんは本当に花が大好きなんだね」
純粋な子なんだな...。
「花しか友達がいないんで...。」
「友達いないの?」
「私はこの通り、不愛想なので周りの方が寄ってこないんです。まあ、いいんですけど...。」
「あー。」
確かにさっきから話周りのしてるけど一回も笑顔を見せてない。人間は笑顔な人間には、寄ってくるが、不愛想な人には寄ってこない。まあ、当たり前っちゃ当たり前なんだよな...。
「笑ったらかわいいと思うんだけど...。」
「私もなぜ笑えないのか分かりません。笑えばいいのはわかっているんですが、まあ、仲が良い人間なんていないんで、必要ないのですが。」
「まあ、こういってる僕は偽善で笑ってるだけだから、実際変わんないけど」
人前で笑顔にならなかったら、今よりも孤立する気がするから、作り笑いでいいから、過ごすんだ。
作り笑いさえ作っておけば、生活で困ることはないのだ。しかし、作り笑いはとても精神に来るもので、苦しくなる時だってある。でも、何とか生きてきてるわけで。
「貴方、目が生きてない...。」
「え......。」
彼女は、そういって僕の目を見ていた。僕はこの少女の前でずっと笑顔でいた。なのに何で...。
「なんで、そう見えるの?」
「いや、目を見たらなんとなく。悲しい目をしてます。」
なんで、心から笑ってない笑顔ってそんなにばれやすいものなのか?いや、ぼっち気質の僕は、そうゆう人前での容姿は、とても気を付けていた。しかも、小学校の時からだ。今までばれてこなかったのを見ると、十分完璧に作り笑いが出来てたはず。なのになんだ、「悲しい目」って、なんで、なんで。
偽善の仮面の下がわかるんだよ。
「まあ、いいです。」
この子は何者なんだよ。心理学者なのか?でも中学生にそんな知識があるのか?
「......」
僕はずっと少女を見続けた。
「少年、もう時間だ」
時間?なんだそれ。
「もうそんな時間ですか...時というのは早いものですね」
よくはわからないが、僕はもう帰る時間らしい。まあ、ただでさえ夕方からかれこれ数時間この場所にいるのだから、仕方ないっちゃ仕方がない。
「じゃあ、僕帰りますね。お話楽しかったよ。」
「私も楽しかったです。ありがとうございました。」
そして、少女は俯きながら
「また、来てくださいね」
僕は笑顔で「またくるよ」といった。僕がそういうと猫がとびかかってきた。その時だ。謎の光に包まれて、僕は目をつぶった。
目を開けると僕は、家の前に立っていた。腕時計の時間を見ると、僕がネコと会った時の時間だった。
僕は目を疑った。僕は確かに、数時間は過ごしたはずだった。なのに、時計は最初の時間を指している。
僕は何をしていたんだ。
もしかして、僕は気絶していたのか?ポケットを弄繰り回すと、中にガーベラの花びらが入っていた。僕は確かにあの場所にいたのだ。
だが、ほんとそこにいたとしかわからない。
どこにあるのか、そんなのわからない。
とにかく考えても仕方ないので。部屋に戻ることにした。
部屋に戻ると、僕は日記をつけた。その日にあったことを細かく日記に書いた。
カエデという少女は何者だったのかは全く分からなかった。
でも、あの言葉が心に残っていた。
「悲しい目をしています...か...。」
僕の偽善の仮面の下を、見つけた人。
彼女ならもしかしたら...。
―「お見送りお疲れ様、アザレア」
「おつありな、で、あの少年はどうだった?」
「とても楽しい方だったですよ」
「そうだったんだろうな」
「なぜそう思うのですか?」
「お前、いつもより顔がにやけてるぞ」
「そうかもしれませんね」
「まだ、あの時のことおもってるのか?」
「はい...。だからまだ...。」
「まあ、あの少年で変われればいいな...。」
「......はい」
―午前1時、私はカッターを手にベッドの上に座っていた。
今日も傷が増えた。ベットのシーツは血で所々赤色ににじんでいた。
「また傷が増えたなあ...。」
誰も私を見てくれない。誰も本当の私を見てくれない。
「どうせ...。どうせ...。」
そういいながら私はカッターナイフで肌を傷つけた。切った所からは赤い血が出ていた。
傷跡は私の苦しみの数だ。何かをしないと耐えられない。
わかっちゃいるけど止められない。
泣きたいけど泣けない。泣く力がないよ。
そう思いながら、私はまた肌を傷つけた。