表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第四話 僕と新たなる出会い

僕は段々白んでいく空の下、息を切らしながら走っていた。

「あれ? ここ、どこだ……」

 新聞配達の途中で、思いっきり道に迷っている。

 何度も地図を見直し、周りを確かめた。

 ――確かにここら辺で、合っているはず……

 でも、見る先には家そのものが立っていない。配達用の白いショルダーバックの中には最後の新聞紙の束が入っている。

 ――あぁ……誰かに聞けないかな……でも、今の時間に人が出歩いてるはずないよな

 僕が困って考え事をしていると、後ろから話し掛けられた。

「あ、あの……何か探し物していらっしゃるのですか……?」

 いきなり話しかけられたことに驚いて、僕は振り向いた。

 そこには棒よりも少し背が低く、月の光で銀色に輝く白のワンピースを、着ている少女がこっちを見て立っていた。

 ――あれ? さっきまで誰もいなかったような……そんなに僕は気づかなくなるくらいに考え事をしていたのかな?

 僕から反応が見られなかったのか、少女は小首をかしげて、

「あの……どうかされましたか?」

 と聞いてきた。

「あっと……ごめんなさい。急に話しかけられて驚いていただけです……」

「それは……こちらもすみませんでした。ちょっと見過ごせなかったので、つい……」

「あの、それだったらちょっと聞いてもいいですか?」

 ここのことについて、知っていそうな人を見つけ、僕は少しほっとした。

 ここまでの経緯をその少女に伝えて、地図を見せた。

「説明したとおりなんですけど、ここって分かりますか? 何故か何度探しても見つからないんです……」

 地図の行き先を指して少女に尋ねた。

 少女は、少し顔をしかめたがすぐに、

「あぁ、ここ私の家がある場所ですね」

「えっ! そうなんですか……よかった」

 僕はバックの中にある新聞の束を掴む、そして少女に渡した。

「はい! これ、今日の新聞です」

「ありがとうございます」

 少女は少し笑った。その時、太陽が顔を出して、日の光で少女の顔が、可愛らしく見えた。

「それでは、僕はこのへんで帰ります。ありがとうございました」

 僕はペコリと頭を下げて、お礼を言う。そして、すぐに地図を見ながら走って帰った。このあと、社長さんに遅れた理由を問いただされる羽目になった。

 終わった頃には、もう五時を回っていたので、

「学校があるのでもう帰ります。お疲れ様でした!」

 と言ってから、急いで家へと走って帰った。

 ――まだ家にいるのかな……

 家を出る前に、風邪をひいてしまうかもと思って、毛布を掛けておいた幼馴染のあいのことが気になった。

 ――まぁ、自分の家に帰っているだろう……時間的に……

 息を切らし家へとたどり着いた僕は、鍵が空いているかも確認せずに、ドアノブを引いた。しかし、ガタンという音がなっただけで、扉が開くことはなかった。

「あ、あれ……? まだ愛は帰ってないのか?」

 僕はポケットに手を入れた。指先に冷たく少しトゲトゲした物が当たり、それを取り出す。それは、少しばかり古くなった僕の家の鍵で、鍵穴に挿して回すと、カチリと音をたてた。

 さっきまで閉まっていた扉を開けた。次の瞬間、いきなり目の前に人が飛び込んできて、僕をギューッと抱きしめた。

「おかえり、つかさ!」

 抱きついてきたのは寝ていたはずの愛で、しかも今朝と服が違い中学校の制服になっていた。

 僕はいきなりのことで驚いていたが、すぐに口元が緩み笑顔で、

「ただいま、愛……」

 僕には『おかえり』と言ってくれる家族がいない……でも、家に着いて『おかえり』と言われる。それだけで、嬉しさが込み上げてくる……

「あれ? でもなんでまだいるの……?」

 愛は照れくさそうに顔を背けた。

「つ、司を、待っていたの……」

 消え入りそうな声でそう言った。でも、声が小さくて僕は聞き取れなかった。

「えっ? なんて言ったの?」

 と聞き返してしまい、愛を怒らせてしまった。

「な、何でもない! それより、ご飯……作って」

 怒った愛の顔は少し赤く熱があるのかと思った。

 ――うーん……なんて言おうとしたんだろう……

 でも、そんなこと聞き返すことなんかできず、呆れたように言う。

「はいはい……いいけど、時間ないからそんなに作れないよ?」

「ううん……平気だよ」

 そんなやり取りの末に、僕たちは家の中に入った。僕は大急ぎで制服に着替え、いつもどおり眼鏡をかける。

「うん、よし!」

 鏡を見てそう言った。

 ――本を読むときは、眼鏡がないと読めないからね!

 そのあと、すぐにキッチンへと向かった。一階に下りてすぐ愛に、

「ねぇ、司はなんで眼鏡かけてるの? そこまで、目が悪いわけじゃないよね?」

「本を読むとき読めない時があるからだし、それにイメージ的にこれが一番落ち着くんだ」

「へぇー……メガネかけてない方が、いいと思うけど……」

 愛が言った言葉は途中から聞き取れなかった。でも、また聞き返したら、怒り出しそうなので聞き返すのを止めた。

 ――なんで、いつも途中から聞こえなくなるくらい、声が小さくなるのかな……?

「うん? そう……? それはいいや……ご飯作っちゃうよ、急がないと学校に遅刻しちゃう!」

 朝食は作る時間すら惜しかったので、トーストとサラダに飲み物、ヨーグルトと、簡単なものばかりになった。

 朝食を食べ終わった頃にはもう六時近くになっていて、走っていくことになった。

 もちろん家の鍵は締めないとね! 鍵を締め終わると、牛とから愛が叫んだ。

「司、早く行くよーっ!」

「ちょ、ちょっと待って!」

 愛が走るあとを追って、僕も駆け出した。

 家から学校まで意外と距離もあり、入り組んだ道も多い。だから、息を切らしながら夢中で走る僕には、曲がり角のすぐ近くを歩いている人に気づけなかった。

 そのせいで、思いっきりぶつかってしまう。

「きゃっ!」

「うわっ!」

 どんっという音とともに、二人分のに悲鳴が重なった。

 僕はとっさに、倒れそうになったその少女の手を掴み、倒れるのだけは免れた……。


 こんにちは、愛山あいやま 夕雨ゆうです。

 今回でやっと4話目突入です。4話目の最後のシーンもうちょっと続けようかと思ったんですが、時間と疲れの問題でこんな終わり方になってしまいました。

 新たな出会いとは少しドキドキしますよね? 私は中学校の入学式とかは、すごくドキドキしましたよ。どんな人がいるんだろう? 友達できるのかなーって、ワクワクとドキドキでした。でも、近場の学校だったので、顔見知りが多かったですね。

 ちょっと、脱線しましたね……すみません。自重します……

 4話目を自分で書いてて、新しいキャラを考えるのはすごく苦労しました。それに先週は年始で忙しかったので、なかなか進めれませんでしたからね。

 次回は、つかさのこれからを大きく揺るがす人物が登場と、言ったところでしょうか……

 それでは、また今度会いましょう!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ