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しるし(詩集)

明日の虚像

作者: さゆみ



ダマスクローズの紅茶を飲もうとしたけれど

そんな気取ったフレーバーは香水飲み干すみたいで私には無理

ロゼの煙草とダージリンでいいわ


Sigh.(ため息吐きだし真実を押し込める)


今日はすごくいいことがあったわ

ひとつ嘘が剥がれてくれたの

がんばって働いたからだわ

嬉しくてまだ走れやしないけれど早歩きで歩いたわ


だからとっても喉が渇いてカフェでライムソーダを飲んで

外を眺めたら視界はぼやけてて

すぐ目の前を通る人の顔さえも分からないの


最近目が悪くなってしまったの

眼鏡が必要かしら

でもしばらくはこの方がいいわ

人間の顔が識別できないって最高級の歓びよ

みんなゆらゆら海藻みたいに泳いでいるの

気だるい世界を旅する気分はもっと味わうべきよね


そうそう嘘はまだたくさんあるから

剥がしていくのすごく疲れるの

でも確実に減らしてはいるのよ

明日も虚像の私はいるけれど

これ以上塗り重ねることはないと思うわ


でも真っ新にはなれないでしょうね

過去は置いて来たけれど過去の嘘は

今の私に塗り込められているからよ


塗り込められた嘘はもう現実にすり替えられたりしているの

だから虚像の私は消せないの

私がお墓に入れば消えるんだけれど

まだ剥がせる嘘が残っているから死ねやしないわ


Sigh.(ため息吐きだし真実を押し込める)


また眠れないわ

いやよ夜が明けてしまう

月が明るいわ

明るすぎる


あなたも虚像?






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― 新着の感想 ―
[良い点] カフェや紅茶など、おしゃれな香り漂ってる雰囲気に酔いしれました(笑) [一言] 感情をダイレクトに表さないところが凄いなと思いました。 例えや行動や場所、色んなものを交えながら感情を表す詩…
2013/05/29 22:50 退会済み
管理
[良い点] ジャズミュージックを聴いているような気持ちになるお話ですね。 色々な葛藤がリズム良く書かれていて良かったです。 [一言] この内容とは違うかもしれませんが、一歩一歩確実にっていう気持ちにな…
2013/05/29 14:28 退会済み
管理
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