表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢語り  作者: 小蟻花音
崩壊―Break Down―
2/4

開始―beginning―

「おはよう。」

「おはよう。ディベート考えてきた?」

 今日も予鈴と同時に教室に入る。教室には約7割くらいのクラスメイトが来ていて雑談を楽しんでいる。聞こえてくるのは専らテレビの話題。だが、私は寮生活故テレビをあまり見ないのであまりついていけない。

「ねぇ、昨日の番組見た?」

「ジャニーズ―くんかっこよくない?」

そんな中私たちのグループと相手のグループだけは今日のディベートの打ち合わせをしている。今日は決勝戦。相手のグループは強敵。副会長の瀬川さんがいる。相手チームの試合を見ると、立論(主張)はほかのグループと大差はないが、矛盾点を突くのがうまい。少しでもぼろが出ると、負けてしまう。それゆえ、最初の立論の私の責任はかなり大きい。チームメイトと綿密に打ち合わせを重ねる。なんにせよ決勝戦だ。作戦を立てておいて悪いことない。


気が付くと1時間目まであと5分。1時間目は美術だ。移動教室なので急いで移動しないと遅刻してしまう。うちの学校は中高一貫校で、高等部と併設している。中には高等部の校舎にしかない特別教室がある。美術室も例外ではない。急いで高校棟へ走る。途中元担任で生活指導の岡野先生が「5分前には移動しとけ」などいろいろお小言を言ってきたが、気にしているわけにもいかない。とにかくグループの5人で美術室に向けて走った。


昨日からよく走っている気がする…まぁ…いいか。


チャイムが鳴ると同時に、美術室に駆け込み、ぎりぎり間に合った。必死な私たちを見て美術の先生は「次遅れたら遅刻扱いだからな」とからかってきた。美術の時間も先生の目を盗んでは原稿の確認をしていた。途中瀬川さんに見られそうになったときは少し焦ったが・・


次の時間は最も退屈な公民。ノートを取りながら、今日の生徒会選挙の進行台本を読んでないことに気が付き目を通す…ってあれ?やけに私の読む量が多いんですけど…初期であるはずの私がなぜ会長や副会長より読む量が多いんですか?…これを当て振ったのは瀬川さんと顧問の岡野先生だよね。気が付くと隣の席の夏野ちゃんがこっちを見ている。どうやら、私が進行台本を読んでることに気が付いたみたいだ。ルーズリーフに「なんで私だけ読む量が多いの?」と書いて先生にばれないように渡す。返ってきた答えは「花音が喋るの遅いから聞き取りやすいだろうっていってた。」あとで抗議しよう。私は人前でしゃべるのは大の苦手なのだ。


退屈な公民の時間が終わり、次はディベート。ディベートは会議室棟の1室で行われる。つまりまた移動教室だ。最初は教室で行っていたが、あまりにも白熱した試合になり、隣のクラスで授業していた先生からクレームが来たのだ。

 クラスメイトから「がんばれ」という応援の言葉をもらう。原稿や資料を持ったことを確認し、教室から出る。瀬川さんと「今日は負けないんだからね。」という会話をしながら会議室へ向かう。職員室前に来たところで、川本先生が声をかけてきた。

「加藤先生が少し遅れるから、会議室棟のカギを開けておいてほしいって。神田さんと瀬川さんに頼んでいい?」

「わかりました。」

私たちは了承した。川本先生は微笑みながら、カギを私たちに渡した。

「それじゃあよろ…」

言葉は突然途切れた。その瞬間私たちに大量の赤いものが降りかかってきた。それが川本先生の血だと理解できたのはすぐあと。先生の頭が頭が床に転がり落ちたとき、先生の背後には大きな鎌を持った大きな人影が現れた。


―逃げなきゃ―


私はその場に立ち尽くしていた瀬川さんの手を引っ張って全速力で駆け出した。声にならない叫びをあげて…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ