泣き虫
私はそんな普通なデートもやっぱりいいなぁと思っていた。その後色々な乗り物に乗り私達は普通のカップルの様にその時間を楽しんだ。辺りはいい感じに暗くなってきていた。
「暗くなってきたし、そろそろ夜桜を楽しみますか」
「うん!見に行こう!」
彼女は私の手をとり、桜の見えるポイントまで引っ張って行った。
なんか今、凄い幸せだなぁと私は感じていた。
「うわぁ!綺麗だね!」
「だね!でも姫ちゃんの方が綺麗だよ。」
私はお約束の台詞を言ってみた。見事にスルーだ。
私達は暗闇にライトアップされた桜を十分堪能してから最後に観覧車に乗ることにした。ここで問題が一つある。私は観覧車が1番苦手な乗り物だった。あのゆっくりとした動きでどんどん高度が上がっていくのが本当に怖かった。そんな事を知らない彼女は一人ノリノリである。
「最後に観覧車なんてロマンチックだよね。夜景も見えるし、上から見る桜も綺麗なんだろうなぁ。」
「そうだね…」
言葉数少なく私は言った。
渋々、私は乗り込んだ。
「あのさ、話ししていい?」
「う、うん。何かな?」
「どしたの?緊張してるの?もしかして怖いとか?」
図星である…
「実は観覧車だけは苦手でね…なんか怖くて。」
「そうなんだ。ごめんね、私知らなくて。でも隣に私がいるから平気でしょ?」
彼女は心配そうな表情で、そう言ってくれた。こういうツンデレみたいのに私はめっぽう弱い…。
「手握っていい?」
と、私は言った。
「いいよ。でもこれならもっと怖くないでしょ?」
彼女は隣に来て私を抱きしめてくれた。そしてその状態のまま語りだした。
「私達さ、この先もやっていけるよね?一緒にいて楽しいし、ドキドキするし、それに、あっちの相性もいいでしょ。」
「もちろん!この先も、来年もずっと俺は姫だけを好きでいるよ!だからうちらはやってけるよ。」
お互いに顔は外を向いたままの会話である。
「私ね、逢えた事に感謝してるの。でき婚で、なくなく結婚してしまって、今まで毎日が辛かった。旦那は最悪だしもう嫌になってた。そんな時にあなたが現れた。とにかく私に優しくて一緒にいると心の底から癒してもらえる。だからずっと一緒にいたい。ワガママで嫌な女かもしれないけどどうかこれからも嫌いにならないで下さい。」
「うん。大丈夫、大丈夫だからさ、もう何も言わないでいいよ。ありがとう姫。俺はどこにも行かないからね!本当に愛してるよ。」
彼女は泣いていた。顔がグシャグシャになるほど泣いていた。私はその姿を見て思わずもらい泣きしてしまった。
「姫ちゃん…泣かないで」