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夢見る心  作者: 姫姫姫
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手術4

こうして検査結果が私にも伝えられ、私も彼女が選択した決断を支えていこうと思った。




一度めの手術から一週間後、彼女から電話がきた。




「元気してる?今度の手術の日が決まったから連絡したの。」




「元気してるよ。姫に負けないくらい元気だよ。俺が思ってたより元気そうだね!声が明るくてハリがあるもんね。とりあえず良かった。少し安心したよ。」




「あなたのおかげだよ。毎日毎日励ましのメールをくれて本当にありがとう。どんなに勇気づけられたか。あなたが居てくれるから私は手術を受ける決心がついたもん。私、頑張るからね!」




私は彼女が言うように、あれから毎日メールを送り続けて彼女を励ました。今の私に出来ることといったらそれぐらいしかない。でもやらないよりはやったほうがいいはずだ。ほんの少しでもいいから彼女の力になりたかった。




「次の手術まで時間が以外とあるんだね。暇になっちゃうでしょ?」




「まぁね。でもポータブルDVD持ってきてもらったからこれで暇潰しかな。後は他の患者さんとも仲良くなれたからみんなでお喋りしてるよ。」




「へぇ〜、友達出来たんだね。それは良かった。それなら少しは淋しさ紛らせられそうだね。」




ところがそうでもないらしい……。もちろん一人でいるよりはいいのだろうが、病棟がガンの病棟だからまわりはその入院患者ばかりなのだ。




「うん…。でもね楽しい事だけじゃないんだ…。私は二人の友人が出来たんだけどさ、その二人が結構病状が酷いんだよね。一人は私より年上で髪の毛が全部薬の副作用でなくて帽子を被ってる人。もう一人は私と同い年で頭包帯ぐるぐる巻きで同じく薬の副作用で髪の毛が殆ど無くなってしまっていてニット帽を被ってる人。それにその人は腕や脚がスッゴいむくんでしまってパンパンになってて二倍くらいになってしまってるんだよね。」




「そうなんだぁ…。それはキツイね。」




彼女は相当ショックを覚えたにちがいないだろう。同じ病棟を散歩しているだけで彼女の目に飛び込んでくるのは今までとは掛け離れた別の世界だ。




「でも明るくなったよね?普通はショックで逆になりそうな気がするんだけど」



でもそれにはちゃんとした理由があった。




「そうだね。第一に私にはあなたが毎日メールで励ましてくれてたからってのもあるけど、その友人の二人のおかげもあるんだよね。私より年上の人はね、病状が判明した時にはすでに遅くて末期がんて診断されたんだって。それで手術もダメもとで何回かはしたらしいんだけどやっぱりダメみたいで結局は抗がん剤の治療なったんだってさ。医者がいうには限りなく治る可能性は無いに等しいんだって………。そしてね、それを知ったその人の旦那さんが急に離婚してくれって言ってきたらしくて…。私、その話し聞いて、なんて言っていいかわからなかった………。でも本人は笑い話として話ししてくるんだよね。そんな状態で旦那さんまで失って…それなのにその人は希望を捨てずに前向きに毎日を生きてる。もうひとりの同い年の人はやっぱり早期発見じゃないみたいで抗がん剤治療を今試してるんだけど思いのほか副作用が酷くて苦しんでるんだよね。そりゃ毎日むくみっぱなしで鏡で自分の姿を見るのも当時は嫌だったらしいよ。その人は結婚はしてないんだけど同棲してた彼氏さんは

いたらしいんだけどこれまた最初だけは毎日のようにお見舞いに来てたのに段々と薬の副作用で髪の毛やらむくみなどのせいで前とは違う自分になってしまったらしいの…そしたらその彼氏さんはお見舞いにくる回数も減り、ついには疲れたから別れてくれって言ってきたんだってさ。その人もそんな辛い思いをしたのに今ではとっても明るくて私達のムードメーカーみたいな存在なの。二人とも共通していえるのは病気のせいで今まで一番信じてきた人に裏切られ捨てられたということ。しかもおそらくは二人とも助からない可能性の方が強い…。それなのに二人ともとっても明るくて前向きなの。そんな二人に比べたら私はラッキーかもって思ったんだよね。私の場合は早期発見だったから次の手術が上手くいけば抗がん剤を飲むこともなく打つこともしなくてすむ。それになにより私にはあなたが居てくれる。だからさ、私なんかがくよくよしてちゃ二人に申し訳ないって思った。だから私は今まで以上に明るく前向きに生きていこうって決めたんだよね。でも…、もしあなたも辛いなら別に

無理しなくていいんだからね」



なるほど…。そんなことが彼女の周りで起きていたなんて。メールではその二人については一切ふれていなかった。でもその二人の友人のおかげで彼女は色々な事を感じ考え、前向きに明るくなったのだ。そんな彼女の事をこれからもずっと支えていこうと私は思った。




「全然無理なんてしてないよ。それに俺は何処にもいかない。信じて欲しい。」



「わかっていたけどやっぱりそう言ってもらえると嬉しいや。私はあなたがいてくれたからここまで元気よくなれた。それにあなたのおかげで勇気や希望をもたせてもらえた。本当にありがとうね。私、絶対ガンなんかに負けないからね!」



「うん!その意気だよ。それからさ……姫ちゃん、うちらはこれからもずっと一緒だからね!姫の傍には俺がいるからね。次の手術頑張ってね。」




「私頑張る。それに私もずっとあなたと一緒にいたいよ。 また連絡するね。あと、スタバでコーヒーでも飲みながら毎日楽しみにメール待ってるからね。」




「スタバ!?病院にスタバなんてあるの?」




「うん。病棟の一階にスタバがあるんだ〜。晴れてる日で身体の調子がいいときなんかはコーヒー買って三人でテラスに言ってお茶してるんだよね。」




最近の病院はスタバまで入ってるのか……、凄いな。




「手術まであと五日かぁ。それまで有意義に過ごすとするかな。また連絡するね。電話で喋れそうな時は電話しようね。それでは。」



「了解!また明日ね。」




私はそれからも毎日メールをし、電話もした。

五日後に再手術。




そして運命の手術の日が訪れるのであった………。


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