手術2
電話の内容はこうだった。
「手術はおかげさまで無事に終わったよ。」
「とりあえず良かった…。凄く心配で心配で……。もう大丈夫なの?」
「まだ今度の検査次第みたいなんだけど、一応手術は成功だって言ってた。」
「そうなんだぁ、でも成功したんだからいい結果が出るといいね。よく頑張ったね姫。エライ!」
「とにかく今は体中痛くてしょうがないよ。麻酔が切れてから物凄い痛さでさ…点滴で痛み止め入れてるんだけど中々効果がでないみたいで…。ご飯ももちろん食べれないからお腹も減ってるよ。そのせいか寝たいんだけど眠れもしないしもう最低だよ。」
「そうなんだ、凄い痛いのかぁ…。だから電話越しにたまにハァハァ聞こえてたのか。相当辛そうだね………。」
彼女が凄く痛くて苦しいのに、私はしたくとも何も出来ない…これ程自分自身の立場を悔しく思った事はない。
今まで生きてきた人生の中で、自分にとって1番大切な愛する人が病気で苦しみもがいているのに、隣に居てあげる事すら出来ないのが馬鹿みたいで仕方ない。私は自分を呪った……。
「でもね、私今痛くて苦しいけどあなたの声聞いていると気のせいかもしれないけど少し痛みが弱くなってきた気がするの。」
その言葉を聞いて、私は思わず泣き出してしまった。
「ごめんね…グス…俺…俺…姫が…そういう状況なのに…グス…隣に…居てあげる…ことが…できないなんて…情けないや…。」
「泣かないのっ!それはしょうがない事でしょ。あなたのせいじゃない。私だって許されるならあなたに隣に居てもらいたいよ。そうすればどんなに安らげるか……。」
確かに、隣にいる事が出来ないのは、どちらのせいでもない。私達の関係はそうせざるを得ないのだ。私が行って関係がばれてしまったら余計大変な事態になりかねない。今は耐えるしかないのだ。だけれども…、わかっているからこそ余計私は辛かった。
「逢いたいね………。ダメだってわかってるけど姫に逢いたいよ。」
「私だって逢いたいよ。早く逢いたい…。」
「ごめん、泣いたりしちゃったし無理な事も言ってしまったね。俺は情けない男だよ。」
「そういうことは言っちゃダメ。わかった?…もう二度とそんな風に言わないで。私の好きな人なんだからさ。」
「わかった。もう言わないよ。ごめん。」
「とりあえず私は大丈夫だからさっ。心配してくれるのは有り難いけどそんなに心配しないでいいよっ。私は本当に大丈夫!」
「了解!そうだよね、あの姫ちゃんだもんね。」
「あの姫ちゃん?まぁよくわからないけどその姫ちゃんですから。また電話するよ。久しぶりに声聞けて安心感貰えたよ。今日はよく眠れそうだ。ありがとうね。それじゃまた。」
「なんかあったら、なくてもいいから電話もメールもしていいからね。ゆっくり休んでね。おやすみ。」
「うん。おやすみぃ。」
とにかくわかった事は手術は上手くいって、後はまた検査してその結果待ち。
それにわりかし姫も元気だということ。
検査の結果は一週間後だ。その検査結果が良ければ姫は帰ってこれる。早く結果でないかなぁ。私はその日が待ち遠しかった。案外ガンも治療が早ければなんとかなるもんなんだなぁ。私はそんな気持ちでいた。
神様が姫を助けてくれたのかな…、もしそうだとしたら祈ったかいがあるもんだ。神様ありがとうございます。私は素直に感謝していた。
けれど…検査結果が出る日。私は神様を殺せるなら殺してやりたいと思うんだ。だって…結果…彼女は…。